1年熟成の梅シロップを作ろう

梅シロップ 1年

僕の住む小田原では梅が名産です。

最近は家庭で自家製梅干しなどを作ることはあまりないようですが、少し前までは各家庭で微妙に異なる梅の保存食の作り方があったようです。

そんな中でも、我が家では梅干しのほかに梅酒を作っていました。

が、僕がお酒を飲まなくなったことで梅酒の登場率がほぼゼロに。ということでノンアルコールの梅シロップを作っています。

ちなみに、これを書き始めた現在は公開した本日からさかのぼること約1年前の2020年5月頃。そう、梅シロップは基本的に1年寝かせるのです。

梅シロップを仕込む

梅シロップ 1年

梅を漬け始めて3ヶ月くらいから飲めるのですが、1年寝かせると味わいがまったくもって変わります。究極のスローフード。

とにもかくにもまずは梅シロップを仕込まなくてはいけません。

が、実はこの仕込み作業、かなり楽です。

梅シロップ 1年

まずは大きな容器を用意し、そこに梅を投入。

梅シロップ 1年

梅のヘタはとらなくてもいいです。めんどいので。

とってもとらなくても味は変わりません。

漬け終わりに濾せばヘタ全部とれます。

梅シロップ 1年

梅を流水でザーザーと洗います。

こまかな汚れやゴミをしっかりと洗い流すためです。

梅シロップ 1年

その後、こうして水に浮かせるようにしてあげると…

梅シロップ 1年

ヘタやゴミが浮いてきたり、沈んだりします。

あとは梅を水の中からひろうだけ。浮かべるとかなり楽にお掃除できますね。

梅シロップ 1年

さて、漬け込み容器を準備。

梅シロップ 1年

僕は飲料用にも使用できる度数70%以上のアルコールで消毒し、キッチンペーパーで水分を除去した後に1時間ほど乾燥させます。

以前は飲用できるものを手に入れるのが大変なうえに高価だったのですが、菊水のやつが出たことで少し楽になりました。

梅酒とちがってアルコール分を加えないので、漬け込み容器の消毒作業は特に重要。

そして、梅と同量の氷砂糖を用意します。

梅シロップ 1年

漬け込み容器の準備ができたらまずは梅を1段敷きます。

梅シロップ 1年

その上に氷砂糖を敷き、

梅シロップ 1年

そのまた上に梅を、そしてまたその上に氷砂糖を敷いていくというように、何層か重ねていく作業をします。ミルクレープのイメージ。

梅シロップ 1年

そして最後に余った氷砂糖をすべて、一番上に敷き詰めます。

氷砂糖の重みで梅のエキスを押し出せるようにしましょう。氷砂糖は全部で梅と同量ですが、途中に敷く量は最後に一番多く敷けるように調整するといいですよ。

梅シロップ 1年

作業完了。

左に見えているのはこれから梅干しに漬ける方。

まだ梅干し3kg漬けると思うと、毎年のことながら若干疲れる…。

梅シロップ 1年

で、梅シロップはそのまま冷暗所で保存します。

最近では氷砂糖の量を少なくして甘みを薄くするのが流行のようですが、糖分が少なすぎるとアルコール発酵したりする可能性があります。

途中で火入れしたり(しかも漬け込み終わりにも火入れる)してアルコール発酵を止めればいいのですが、正直…、そんなんマジ面倒。

しかもアルコール発酵がうまく止まらないときもあります。

梅シロップって水や炭酸水で割って飲むので、わざわざそんな面倒なことしないで割材の量おおくすりゃいいんじゃね?

と、思っているので梅と同量にしています。

梅シロップ 1年

1日経過すると氷砂糖が少しずつ溶けていきます。

梅シロップ 1年

数日経過するとこんな感じ。

大分溶けてきましたが、上部にはまだ氷砂糖がのこっています。

しかし、一番上にもっとも多くの氷砂糖をのせたので全体の梅に溶液がまわっています。

この後氷砂糖が完全に溶けきったら、2日に一度ほど容器を揺すって梅の上下を変えてあげましょう(手間をかけられる人は毎日)。

また、ときおり蓋を開けてガスを放出してあげるとアルコール発酵しにくいです(こちらも手間をかけられる人はできるだけ多く)。

で、3ヶ月ほどして梅がシワシワになったら取り出して、残りの梅シロップは同じ容器でそのまま冷暗所で放置。

1年間梅シロップを熟成

そして、1年の月日が流れ現在…。

梅シロップ 1年

完成じゃい!!

一応、安全のために一度鍋で沸騰させて冷ましてから現在の容器に入れています。といっても、糖度高すぎて沸騰しませんけれど。

梅シロップ 1年

はあー、ここ数年毎年つくっているけれど、こんなに長い期間かかって作っても夏の間に飲みきってしまうんですよね。

なにせ、飲むとクエン酸の効果なのかかなり元気出るので。

夏バテに効くんです。

はかなく短い、一夏のお付き合い。せつないぜ。

梅シロップ 1年

原液のままひとなめ。

うんうん、いい感じに熟成されている。

数ヶ月経過しただけのものはもっと若い味で、深みがありません。

1年熟成は原液のままだと喉にまとわりつくような深いコクがあります。これがお水なんかで割るとちょうどよいおいしさになるのです。

梅シロップ 1年

サンペレグリノで割りました。

梅シロップを3〜5倍のお好みで薄めればちょうどよい味わいになります。

このにごったような色味も、1年熟成ならでは。

梅シロップ 1年

炭酸のはじけるときに梅シロップの香りが立ち上ります。

いい〜香りだ。

梅シロップ 1年

うまいねえ。

やはり天然のエナジードリンクのような感じ。飲んだ後、気のせいか少し元気なるような気がする。

さて、炭酸水で割るのもおいしいのですが、もっとおいしい飲み方は別にあります。

1年熟成梅シロップのおいしい飲み方

実は、濃度が高い溶液というのは、濃度が低い溶液となじむのに時間がかかります。

上下2種類のカラーに分かれたカクテルがありますよね。あれも濃度が高いものが沈殿し、濃度が低いものが押し上げられる性質を利用して、上下でカラーちがいの見た目にしたもの。

しっかりと合わせるには混ぜてから時間をおいてあげる必要があります(ポン酢やそばつゆのかえしなども素材を合わせるときは濃度がちがうために時間をおくとなじみがよくなります)。

梅シロップ 1年

梅シロップを水(できればミネラルウォーターなど)で割って、容器にイン。

冷蔵庫で一晩置いて寝かせます。

梅シロップ 1年

できました。画像だとわかりにくいのですが、濁りが少し落ち着きました。

これがうまいんだ。

梅シロップ 1年

一晩冷蔵庫に入れておいたことで氷を入れなくてもいいですね。

氷はすこしずつ味わいを変えるので、ないほうが好きです。

梅シロップ 1年

すっきりとしながら旨みを感じるような酸味と甘み。

鼻に抜ける香りは確実にやわらかになっています。

梅シロップはわりといろいろなお店に売っていますが、原液で購入して一晩なじませるのをオススメします。

さあ、そろそろ来年分の仕込みです。毎年のことながら…(以下略)。



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大学卒業後に新聞社に入社、その後ビジネス書の制作を得意とする編集プロダクションに転職。フリーでWEBや紙媒体での企画、編集、執筆、撮影などを担当し、現在はモジカル編集長。趣味の料理が高じてレシピ記事なども制作。