個人商店の広告では「専門性」を大いに発揮しましょう

前回までにどのような人に向けて情報を発信し、どのような体裁の文章にするべきかを解説しました。

続いて検討するべきなのはどのような内容を掲載するかです。

文章の内容についてはさまざまなアプローチがあり、一概に「これが正解です!」と言えるものは存在しません。

半分悪ふざけで作成したようなものがSNSを通じて拡散されたり、おおまじめに書いた一文がほとんど効果を上げなかったりと、「なぜこれがこんな反響を」「予想しなかった商品・サービスに問い合わせが」という事態が数多くあります。

たまたま世の中で流行っているものに関連づけられた、偶然その地域共通の悩みに対応できた、など、外的な要因が絡み合うため、なにがお客さんの心を打つかは誰にも分かるはずがありません。

ぜひ、あなたの思考力をフル回転し、さまざまな内容を掲載していってください。

数打ちゃ当たると言いますが、まさにその通りです。

ただし、1つだけ注意点があります。

それが“専門性の発露”です。

あなた自身や商店が、取り扱い商品・サービスの専門家であることを表現してください。

実は、意外とできていないのがこの部分なのです。

専門家でなくとも商品やサービスの売買をしている時代

一昔前、いえ、二昔前は、商品やサービスを取り扱う商店というのは長く運営されたものばかりでした。

そのため、取り扱う商品やサービスの知識が豊富で「数十年前の商品からどのような部分が変化している」「この商品ではこの部分が変わらずに開発されているので信頼できます」など、長い経験に裏打ちされた信用できる情報を提供することが可能だったのです。

いわゆる職人気質の人も多く、なんならこの商品はあなたに合わないからこちらにしたほうがいい、なんて言われることもあったほど。

では、現在はどうでしょうか。

長く運営された商店は相当数なくなり、できて数年程度のお店が多くなりました。

中にはそれまで同商品やサービスの提供をほとんど経験していない新参の商店であったり、大手運営の店頭にはアルバイトスタッフしかいない、もしくは個人がネット上でのみ出店しているなど、専門性のある説明をできる人材がいない、経験している人材がいない状況が多々あります。

そもそも、専門性のある説明を期待していないので、店員の人に話しかける機会も少ないですよね。

以前、別件の取材でこの専門性を求める動きは「インターネット通販の普及などが背景にある」と聞いたことがあります。

インターネット通販では商品の比較説明が少なく、場合によってはあまり知られていないメーカーの商品を価格比較のみで購入してしまい実際に購入して失敗した、という経験が多くなったというものです。

そのため再度の失敗を恐れて専門店での説明を求めるようになった、とのことでした。

たしかに、自分自身の経験に照らしても同じようなことはあります。

モジカルの運営会社は小田原じてんしゃ工房という自転車屋さんですので、自転車を例に挙げてみましょう。

インターネット通販で購入した電動アシスト自転車はよく修理でお持ち込みいただきます。

この電動アシスト自転車、自転車の部分の修理であればある程度対応できますが電子パーツについてはほとんど対応できません。

なぜならば、電子パーツは汎用品ではないためです。

メーカーによってパーツの仕様や電圧、接続部の形状がちがうためにメーカーからパーツ取り寄せをしなければならず、取り扱いメーカーでなければ修理ができないのです。

ほかにも独自仕様のパーツが使われている部分はすべて同じ対応をする必要があります。

おまけに修理や調整時にメーカー指定のネジの締め付け数値なども分からないので正しく修理できるか不明なこともあります。

国内の大手メーカーならまだしも、北欧や中国で小規模なメーカーが制作している自転車の場合、パーツの取り寄せや調整のシビアな修理は代理店しかできないということがほとんどです。

この代理店が国内で東京にしかない(特に中国製は銀座に代理店が多いです)、パーツ仕様が特徴的で当店で取り扱いできないため「メーカーに相談してください」と話すしかないことがよくあります。

そうすると、消費者側からすれば「せっかく購入したのに修理できずに失敗した」となってしまいます(自転車の輸送はお金がかなりかかるため)。

さて、以上の話は、本来専門店であれば購入前に受けることになりますが、確かにネット通販ではこのような説明を受けることなく、価格などの比較のみで購入します。

まあ、店舗でもお店によっては上記のような説明をすることも少なくなりましたが…。

とにもかくにも、購入した後に「失敗した!」という経験が多くなることで「専門店で話を聞きたい」「専門店で購入するほうが安心」という需要が広がったのでしょう。

この動きに対応できる、ということを文章中で表現してあげる必要があります。

細かな商品説明や場合によってはここ数年でどのような市場状況になっているか、お客さんが想像していなかった商品・サービスの活用方法など、経験や知識をできるだけたくさん詰め込みましょう。

たくさんといっても、1つの文章に詰め込みすぎると情報過多となって伝わらないこともあるので、何回かに分けて表現するとこうかてきですね。

知識が豊富であることを見ただけでは想像できません

なぜこのように専門性を表現することが大切なのかを解説してきましたが、もう1つ大切なことがあります。

それが、お客さんは「今、目の前にいる人が専門性のある知識や経験を持っている人かどうか」を見ただけでは想像できないということです。

道ですれ違った人や電車で隣に座った人が、どのような知識を豊富に持っているか見分けることができる人がいれば、世の採用担当者から莫大な報酬をもらうことができるでしょう。

また「店舗を有しているから専門知識があるよ」というのも、ここまで解説してきたとおり、いまや通じない常識です。

だからこそ「専門性があるよ」「専門店だよ」ということを表現するために、言葉の力を使って店名や店舗の外観を変えた業種が多々あります。

飲食店で考えてみると分かりやすいかもしれません。きっとご覧になったことがあると思います。特定の食品の入った店名。

最近ではからあげがブームとなりましたが(2021年12月現在)「からあげ専門」とは銘打たず、「からあげ○○」のような店名や看板にからあげと打っている飲食店が多数あります。

実際訪れてみるとからあげ以外にもメニューがあったり、居酒屋のようにさまざまな商品を提供していたりすることもあります。そのため「専門」という言葉をあえて外している商店もすくなくありません。

しかし「からあげ」を強調することで専門店の様相を呈すため「からあげ食べたいな〜」という人には莫大な広告効果をもたらします。

言葉の力は絶大です。

あえて「専門店である」と名乗らなくても、該当の商品名やサービス名を記載するだけで見る・読む相手に強く印象付けることができます。

しかし、いますぐあなたの商店の名前に商品名、サービス名を付ける必要はありません。

上記の手法はすでに多くのチェーンストアで行われているために、チェーン店ではないか、という印象を付けるためです。

それよりも“専門店である個人商店”というすばらしい特性を活かしましょう。

専門性のある話をするときに必要なのは類推力です。

自分がどれか1つの商品やサービスを購入する際に、どのような話を聞きたいか、どんな情報を必要としているか、それをもとにあなたの商品・サービスの魅力を伝える専門的な文章を作成してみましょう。

 

 



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大学卒業後に新聞社に入社、その後ビジネス書の制作を得意とする編集プロダクションに転職。フリーでWEBや紙媒体での企画、編集、執筆、撮影などを担当し、現在はモジカル編集長。趣味の料理が高じてレシピ記事なども制作。