このレシピは時短料理ではなく、ちょっと凝った食事をしたいときにオススメのレシピです。
“簡単”“パパッと”とはかけ離れた調理工程ですが、香りや見た目に気をつかって、お客様にお出ししたり、たまのお休みにご家族と調理してみてくださいね。
ガザミの蒸し
ガザミ、とはワタリガニのこと。
スーパーの鮮魚コーナーでも半身なんかで売られているのをみかけます。
イタリア料理のお店なんかではパスタにしたり、中華料理なら卵と一緒に炒め物になったり。
いろいろな方法で調理されるんですが、活きのいいやつは蒸し物にするとおいしい。さて、それでは調理開始です。
ガザミをしめる
今回手に入れたガザミは活けモノでした。そのため、しめるところから解説します。
こんな感じで輪ゴムでハサミ部分を拘束します。
活けモノの場合、魚屋さんの方でこうしてくれることがほとんどです。
力が強いので、はさまれるとすごく痛い。
蒸すときもこのままにしますので、輪ゴムはそのままで大丈夫。
【手間をかけるレシピ】は、いつもひとりぼっちで記事制作しているんですが、今日はライターのなかもら君と一緒です。
彼は異常なほど料理ベタですが、大体の作業を任せることにしました。
ザッと水で洗います。
そしてキリなんかを用意しましょう。
口のところからキリを入れ…
奧に差し込んでぐりぐりと中枢神経を破壊します。
口元から入れて、背中側の甲羅を目がけて6〜7cmほどのところにキリを刺し、かきまわすようにしましょう。
ガザミはかなり暴れるので、冒頭の、輪ゴムでハサミを拘束しているのがいきてきます。
また、この作業をしないと蒸すときに暴れて足がとれたりしてしまいます。必ず実施してください。
活けじめについて解説すると、かわいそう、とかよく言われるんですが、僕達は他の命を食らわないと生きていけない生き物です。
心臓のあるものだけではなく、植物も同じ。食べる、という行為に感謝するためにも、一度は活けじめというものを経験してください。
そしてもうひとつ、この命をおいしくいただくために、手間をかけたレシピが必要だと思っています。
自分の手で魚の息の根を止めたり、鳥の内臓を切り出したあとに、パパッと簡単調理! っていうのは、冒涜のような気がして、僕にはできません。
余談でした。さて、くったりとしたらOKですが、中枢神経を破壊してもある程度は動きます。神経反射ですね。
味付け
で。ここからが味付けです。僕が手で開いたガザミの中央部。
ふんどし、という箇所ですが、ここに塩をひとつまみ打ちます。
こうすると、身に塩味が行き渡るんです。前に食べた蟹料理のお店で教えていただいたんですが、本当、全体にほどよく染みこむので大変重宝しています。感謝。
こんな感じにして、ふんどしをとじておきましょう。
蒸す
ガザミは横幅が広いので、家庭用の蒸し器に入らないということも。
そんなときは少しはみ出しても大丈夫です。茶碗蒸しなんかのように身を固める必要はありませんので。
熱が入ればOK、というような心持ちです。ちなみに、水から蒸し器に入れて蒸します。
いきなり熱い蒸気にさらすと前述の神経反射から、暴れてしまいますので。
蒸している間に、ここまでの作業を担当したなかもら君に感想を聞いてみましょう。
なかもら 手順は多いけど、難しくはないね。
簡潔すぎるコメントにびっくりですが、そう、出汁とりなんかと比べると気をつかう箇所は少ないですね。
アワビの酒蒸しのときにも書きましたが、活けモノに関してはあまり手を加えないほうがおいしいので、あえて余計なことはしません。魚介においては、新鮮さに優るものは、そうそうないんですね。
15分ほど蒸しました。鮮やかな色が鮮烈。
完成
完成です。
毛ガニやタラバガニなんかは甲羅に切れ目をいれたりと、食べやすくしますが、ガザミは可食部が少ないのでそこまでしなくても大丈夫。
甲羅部分を外すと味噌が…。ココ激うま。
ちなみに、実を言えば、僕は軽度の甲殻類アレルギー。
それでも食べたくなるほどおいしい。今回も食べた後、顔がかゆくなりましたが、後悔はない。
今の時期は特に魚屋さんに活けモノが出回っているのでオススメ。大体1杯1,000円くらいでしょうか。
それでは続きをいただきます。さようなら。
おい! なかもら! 味噌の部分食べ過ぎだぞ!!!!! 俺にもよこせ!!