ライターに依頼しているけれど、欲しい文章が出てこないときに見直す制作体制

ライター、と一言で表すと言いたくなるのが「いえ、火をつける方ではありません」というジョーク。

一回もウケたことはないんですが、打ち合わせ中に一度は言ってしまいます。あるあるかな、あるあるではないか。

さて、表題のコンテンツです。

ジョークと違って今回のテーマはあるあるですよね。自社で初めてブログメディアの運営をスタートさせたり、制作費圧縮のためDMや小冊子などの広告ツールの作成を制作会社に一括して発注せず、新設の部署が主導して制作したときなどによく発生するようです。

なぜかというと、ライターという職業は「編集者」という職業とセットで作業するものだからです。

編集者は指示を出したり修正を入れるのが仕事

編集者、という職業をご存知ですか? まずはこの職業について理解するところから始めましょう。

編集者というのは、雑誌や書籍、パンフレットや小冊子など、媒体ごとの方向性やクオリティーを管理する人のこと。

WEBサイトの制作やWEBメディア運営ではディレクターなんて呼ばれることもありますね(WEB制作はなんでも横文字になるのでこっちのがかっこいい)。

編集共有イメージ
お客様と打ち合わせを行い、これから始める制作には何が必要なのか、どのような理念があるのかなどを熟知し、これをライター、カメラマンやデザイナーなど、各実制作を担当するクリエイターと共有します。

そして、指示後に出てきた制作物が、自分とお客様が想定したものとなっているかを確認。

ズレがあれば修正を指示。使用目的に合致したものを納品します。

これらはまとめて、編集者が行う「編集」という作業に分類されます(ほかにもスケジュール調整とか、いろいろやることはありますが)。

お客様への初校提出前に、この編集作業を挟むか挟まないかは大きな違い。

企業の担当者の方で「編集」についてよく知らない場合、思い違いをされている部分があります。

それは、ライター、デザイナー、カメラマンなど、各クリエイターにおおむねのイメージを伝えれば、あなたが思っている通りのものが出てくるという思い込みです。

そんなことはありません。まずは、あなたの思い描くものを、頭の中から現実的に取り出す作業をする必要があります。

例えば、以前執筆者が、子育てをテーマにした定期刊行誌を作りたいと相談を受けました。

初回打ち合わせ時にお客様から伝えられた情報をまとめると「子育て世代のためになる内容」「キレイめな写真」「すっきりとして読みやすい」「使用カラーはカラフルに」「イラストを使用してほしい」とのこと。

以上の情報を何人かに伝えてみて、それぞれがどのようなものをイメージするか確認してみると良く分かると思います。

抽象的であるイメージから想像するものは、人によって全然違うんです。

そこで、執筆者はその場で下記のようにお客様に確認しました。

  • 「子育て世代のためになる内容」 最近は出産を経験される女性の年齢が高くなっていると報道などにもある。そう考えたとき、年齢の上限、下限はどこにもってくればいいか。また、ターゲットは子育て世代の男性か女性か。内容とは育児ノウハウか教育関連施設へのインタビューや紹介か
  • 「キレイめな写真」 スタジオなどを使用して背景にもこだわりのあるものがいいか屋外で自然などを背景にしたほうがいいか、子育てをテーマとした母親と子供が一緒に出てくるものがいいか
  • 「スッキリとして読みやすい」 スペーシーに余白を大きく扱ったものか、また、文字の級数(サイズ)を少し大きめにして読みやすいものとするか
  • 「使用カラーはカラフルに」 冊子のイメージを決めるカラーは明るいイメージの暖色系か、クールな感じの寒色系か、また、WEB制作などであるフラットデザインのようなベタッとした色使いをしたほうがいいか
  • 「イラストを使用してほしい」 イラストは3等身のようなデフォルメしたものか、男性か女性か、もしくは子供か、イラストレーターによって違う絵柄はどのようなものがいいか

など、その場で考えただけでも選択肢がこれだけ出てきました。

もっと踏み込むなら、そもそも判型(冊子のサイズ)は仕上がりA4か、A5か、また紙質はどうするか。

表紙は中面より厚くした方がいいか、ページ数はどうするか、など、制作には多くの情報が必要です。

そのため、イメージだけで制作を進めるのは危険です。このイメージの違いはファッションと似ています。

大人っぽい服装と聞いて、びしっとしたスーツを想像するか、ビジネスカジュアルを想像するか、また結婚式などに着て行くようなドレスを想像するか、人により千差万別です。

そこで必要になるのが、編集者です。

編集者は各業務についてある程度の知識を持っています

編集者の考え方
編集者はそれぞれのクリエイターの業務を一通り把握し、目的別に冊子や媒体の仕様をどのようにすればいいのか、概ねのパターンを把握しています。

そのため、あなたのこうしたい、ああしたい、という希望が実際に実現可能なのか、また、それを実現するために何が必要なのかをまとめて答え、いくつもある選択肢の中から、目的に合致したものを提案することができます。

お客様は、その提案をベースに、その後加えたいもの、削除したいものなどを考えることができるように。

また、慣れた編集者であれば、それぞれの作業の業界価格もおおむね把握しているので、必要な概算金額も割り出しやすくなります。

編集者のいない場合はどうでしょう。

あなた自身が各クリエイター達に相談・見積もり依頼をして、まず実施可能かどうかを判断します。

そうして集まった情報をまとめて、次に金額の確認です。初めての業務依頼である場合、どの程度の金額が適正か分からないので、見積もりをとる相手は1人ではありませんよね。

まして、その金額が高いのか低いのかも分からない場合があると思います。

WEB上ではでさまざまな制作会社の費用を調べることもできますが、その価格は適正な金額でしょうか?

もしかしたら、制作会社から外注先である各クリエイターに依頼した後に、制作会社側で調整する費用が上乗せされていたり、クオリティよりも金額の安さで応えようとしている企業であったりと、あなたの考える制作物にかかる工数に合った金額であるかは分かりません。

そう考えると、準備の段階での労力は相当なものです。

少し話がそれましたが、編集者という職業について理解していただけましたか?

もちろん、編集者を介さず、自身で編集もしてしまうというライター、デザイナー、カメラマンもいますが、これは少数派。

すごく優秀な人材なので、なるべく手放さないよう囲い込みましょう。

私ならいっぱいごちそうします。胃袋を掴め!

「編集」していますか?

以上のようにお客様の好みや要望を現実的に制作物に落とし込む「編集」というのは非常に大切な作業です。

編集者は時に、お客様の分身のように媒体のことを理解し、指示を出します。

ライターに関してのみ言うならば、まずは編集者が、お客様の考える読み手に理解してほしいことを適切に把握。

それをライターへ指示。ライターが読み物としての文章に落とし込んでくれる、というのが良い流れです。

数回の修正指示でこの表現の部分を理解していただけるライターの方には、毎度頭の下がる思いです。
さて、これでようやく表題について説明できます。欲しい文章がライターから出てこないときに問題となるのは、編集者の不在です。

これは何も「あなたが編集者を雇っていないから!」ということではなく、読み手に理解してほしいことをライターに伝え、分かりやすい文章とするための修正の入れ方、つまり「編集」のやり方を知っているかということです。

文章は他の制作物に比べ修正がよく入る

そもそも、文章ほど人によって好みが分かれるものは珍しいと思います。デザインやイラストは、いわゆる万人受けするものという傾向がある程度ハッキリとしていますが、文章については本当に千差万別。

ライター、デザイナーなどからなる制作チーム内で、初校(一番最初にお客さんに提出する原稿)出し前に原稿を確認。

プロの目から見て、よしこれで大丈夫、と思っていても、お客様の側でガッツリ修正を入れられるということは珍しいことではありません。

これはライターの人が書いた文章が正しい文章ではなかったという訳ではなく、お客様の文章の好みと合っていなかったことが原因です。

そのため、初めてお仕事をするお客様であれば、文章には大幅な修正が入る場合がほとんど、という前提で執筆を進めていきます。

もちろん、修正がほぼないこともあります。この場合、事前に参考をいただいていることがほとんどです。

お客様が以前ビジネス本を出版していたり、社内広報誌などを定期発行していると、好きな言葉つかいのお手本になるので、方向性を見極めやすくなるんです。

また、例え修正が入ったとしても、2回目以降は修正後の文章を参考に制作するので、修正なしで掲載に至る、ということもザラです。

編集経験のある人間なら、この修正時に、どのように指示すればライターにとって文章の方向性が分かりやすいか、また元の文章を活かして修正できるかを経験から判断できます。

しかし先述の通り、最近は自社でブログメディアの運営をしたり、広報担当の方がクラウドソーシングなどで直接ライターに依頼することが多くなっています。

直接依頼をする際、編集という作業の経験がない人が担当である場合は注意が必要なんです。

修正依頼時には、ライターの側で理解しやすい修正を入れる必要があります。

これは、なにも修正する文章が分かりやすい、という意味ではありません。

なぜここに修正が入ったか、また、修正を入れることでどのような効果を狙ったものなのかなどを説明してあげることが重要です。

この修正の入れ方であれば、次回の執筆時にはその部分を理解しやすく構成することができます。

多くの直接依頼の場合、修正時に簡潔な指示だけである場合が多く、ライター側で修正の意味を理解しにくいという状況が発生します。これこそ、欲しい文章が出てこない原因です。

文章は1段落で完成している訳ではありません。

一部を変えれば、連動して他の箇所を変えなければいけなくなるときもあります。

そのため、編集者がいない制作体制であればあなたが編集者になる必要があります。

その場合は「なぜ」の部分を強く意識して修正を入れてみてあげてください。次回以降はスムーズに進行するはずです。

以前あったのは、担当者の方が執筆などの制作経験のない社員の方であったとき。

私が編集者として参加し、お客様からライターへの修正指示を確認したところ「つまらない」とだけ書いてある指示。

これは直接ライターの方に伝えるとモチベーションが著しく低下するだけではなく、本来どういう内容が欲しかったのかまったく想像できませんよね。

これでは編集とは言えません。「読み手の感覚でつまらないからしようがない」と思うかもしれませんが「その読み手の感覚を言語化して理論的に分析するのが編集という仕事」です。

もちろん人によりクセや好みがあるので、必ずしも正解と言えるものはありませんが、この部分が欠落してしまっている場合が多いのも事実です。

制作体制の様変わりというのは時代の流れによって変化するので、悪いとか間違っているということではありません。

ただし、編集というプロセスが上手に回らないとお客様も制作者も疲弊していくことに。

長く一緒に仕事をしているライターと編集者でも、媒体が変わったり、取り扱う内容が変われば、最初の数回は多くの修正を入れながら進行するというのは珍しいことではありません。

ひともじ編集部内にも、オウンドメディア系のサイトの編集を担当していた人間がいますが、すごく仕事のできるライターさんでも、最初の数回はやはりたくさん修正を入れ、やりとりを繰り返していくことで修正がなくなると話していました。執筆者も同じような経験はたくさんあります。

この文章の好みについても、腕のいい編集者であればある程度理解してくれます。

編集者の中にはライターを兼務できる人物もいるので、希望通りの文章が出てこない、という場合は、まず編集について勉強してみる、もしくは編集者探しから始めてみるのはいかがでしょうか。



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