広告制作の実績を確認するときの魔法の言葉「企画はどちらですか?」

日々、たくさんの広告制作物が世の中に発表されています。

そして、それに付随するように、新規での広告制作に関する打ち合わせも行われているでしょう。

広告制作を依頼することになれている企業ならまだしも、個人商店や中小企業の中には、あまり依頼したことがない、ということも珍しくないと思います。

そんな状況での打ち合わせで、広告制作者、もしくは広告制作企業から、

「こちらが最近の実績です」

と、見せられる実績集。いやー、クライアントは有名企業や大企業ばかり、はたまたどっかで目にしたことのある広告制作物。うん! これだけ大きな企業などと仕事をしているからいいものが出てくるはずだ! ここにしよう!

そして数ヶ月の後、納品。

あれ、いや、なんかちょっと…。デザインなんかは同じ感じなのに、内容が…。

これ、わりと多く聞きます。

なぜか、それは広告制作という仕事の業態が大きく関わってきます。

間接受注と直接受注

ライターを例にあげて説明しましょう。

広告制作には、大きく分けて2通りの受注方法があります。

1つは、広告代理店などを通した間接受注。もう1つは、直接受注です。

前者は、いわゆる電通とか、大きな代理店だけではなく、大小様々な代理店が存在しており、これらの会社、もしくはこの代理店が依頼をした下請けの会社からライターが依頼を受けるというものです。

建設業と同じで、2次請け、3次請けと、いくつかの企業を通して依頼を受けるということも珍しくありません。

後者はクライアントとライターが直接契約をする形態です。

こちらは、近年クラウドソーシングの世界で増えてきたと思いますが、間にクラウドソーシングの会社を挟んでいるので、間接受注に近いとも考えられます。まあ、直接受注はよほどなれた企業でないと、個人的にあまり得策ではないと考えているので今回は省きます。

さて、前者のケースで実際の制作の流れを確認してみましょう。

たとえば、A社からとある代理店へ相談をします。

「新しく自社商品を対象にした通販事業を展開するので、PRのためにWEBサイトを作って欲しい」

それを受けた代理店側の担当者は、どのようなサイトを作るかを考えて、プレゼンを行います。

プレゼン資料はデザイン会社などに制作を依頼することもあるほか、サイトのコンセプト制作をWEB制作会社に依頼することもあります。

代理店の担当者はあまり動かないことも多いのですが、ケースを単純にするため、とりあえず、今回は正直ほとんどないであろう、代理店担当者が自前で考えたことにします。

プレゼンの結果、週5本のブログ記事にて商品特性を公開していくコンセプトが決定しました。

続いて代理店の担当者は自社に出入りのあるWEB制作会社に制作依頼をします。

「こういったコンセプトで、クラインアントはこういうデザインが気に入っているようです。なので、こういったサイトを作るのはどうでしょうか」

次にWEB制作会社がデザイン案を作成、代理店の担当者とクライアントのところに赴いて、制作についての細かいことを詰めていき、合意したら実制作に移行します(こんなに単純に進んだら奇跡)。

サイトが完成すれば、ブログ記事をアップしていく訳ですが、サイト制作と並行して、広告代理店、もしくはWEB制作会社はブログ記事の制作をコンテンツ制作会社編集プロダクションに依頼します。

「こういうサイトで、こういう記事をアップして、月に●●本アップ予定です。今制作を進めているサイトはこんな感じです」

そして今度は、編集プロダクションから月別の記事案をWEB制作会社が受け取り、修正などのやりとりをし、代理店側で確認。クライアントとの擦り合わせを持って、ついにどのような記事を制作するかが決定しました。

まだ工程は続きます。続いて、編集プロダクションが実際に記事を制作するライターを探します

本数によっては社内でまかなうこともありますが、概ね、フリーのライターに依頼することが多いでしょう。

なんとか、ライター5人が見つかりました。この5人を1チームにして、さきほどの月別の記事案に合わせて記事を制作していきます。

取材ものではカメラマンを新たに配置します。ライターの知り合いだったりもします。できあがった記事を編集プロダクションで編集して、WEB制作会社と代理店の担当者が確認してクライアントに提出。OKがでればWEB制作会社がサイトにアップして…を繰り返していく。

これはあくまでも制作体制の一例ですが、分かりましたよね。

実際には、もっとたくさんの会社が参加していることもあれば、少ないこともあります。

しかし、そもそも、クライアントの悩みを受けてその解決策となる広告制作物を企画して提案したのは誰か

そこが重要です。たとえ、制作の一番末端であるライターであっても、実績集にはA社の名前とサイト名、そして作成した記事などが掲載されます。

今回の例をもとにすれば、ライターに直接依頼をしても、あなたが「このサイトのコンテンツを参考に広告制作を行いたい!」と考えたものと同じような企画・内容は出てきません。

なかには企画をライターが担当することもあるので、一概に直接依頼をしても参考にしたコンテンツと同じようなものが出てこないという訳ではありません。

まあ、代理店をよい業態であるように書いていますが、実際には代理店は相談を受けているだけで、WEB制作会社が企画の全てを請け負っていたり、WEB制作会社がさらにフリーの広告制作者に依頼をしていたりと、形態はさまざまなので、あしからず。

しかし、だからこそ必要なのが、たとえ代理店が開いてであっても、依頼をする前に初回打ち合わせでこう聞くことです。

「企画も担当されたんですか?」

これは、別に脅し文句でもなんでもなく、普通に広告制作をしている人ならわりとよく聞くことです。

ただ、慣れていない人だと企画と制作が別々の会社や人が行っているとは考えにくいんですね。広告制作の仕組みを理解している人は稀ですから、悪いとか勉強不足ということもないと思います。

最近は動画コンテンツが流行っているので、私自身動画制作会社の人と初めての打ち合わせなどをする機会も増えてきました。

すばらしいショウリールを拝見し、いやー、すごい編集技術だなと感じることも少なくありません。

ただし、この会社にそのまま依頼をすれば、同じような面白い動画ができるかは別です。

動画の企画やコンセプトが面白いものであった場合、まずはその企画を作った人に相談しなければいけないからです。

企画というものは、いわゆる才能と経験というものが大いに影響するので、似せて制作したから同じような効果を得られるというものでもありません。

会社というのは、特色や取り扱う商品・サービスは千差万別で、1つ違えば企画も合わせて変える必要がある訳です。

広告は、企画によって内容が左右されます。カッコイイ、イケてるデザインではないものが、月に100万円以上の粗利をたたき出すこともあれば、非常にシンプルなものが万人に受け入れられることもあります。

それは、クライアントの悩みの解決にあった広告制作物であるから。

広告制作を行う企業・制作者は、対象となる仕事や物事のプロではないことがほとんどです。

最初にクライアントの悩みを聞いて、その悩みを解決するめに、なにをするのが一番か、WEBサイトを作りたいと聞いたときに、「こういう方法もありますよ」と提案されたことがキラーコンテンツになることもあります。

そして、この部分が企画とよばれる工程です。

これから広告制作を依頼するならば、是非この「企画」について気をつけてみてくださいね。



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