個人商店は想いを伝えるための文章をなにに掲載するべきか

前回までに、ご自身の商店で“なに(商品の特徴、ちがい)を、どのような媒体で広告すれば人を自分や商店のファンにできるのか”までを解説しました。

上記のことを割り出したらば、次に“なにをするか”の検討が必要です。

広告制作を自分で行うということは、前回解説した通り“商品の特徴” “商品のちがい”を他人に伝えることができるようにしなければいけません。

そこで重要なのが媒体選びです。どのような媒体で商品の特徴やちがいを伝えるのか、媒体によって伝えるための手段がことなります。

たとえば、動画を投稿するYouTubeのような媒体ならば動画を自分で作成する必要があります。写真を投稿するインスタグラムのような媒体であれば撮影を自分で行う必要があります。

まず第一に言っておきますが、いずれも専門知識というものは必要ありません。

動画の撮り方や編集の仕方、撮影の必要機材や画像編集の方法、すべてネット上でこれでもかと言うほど解説されています。中には無料で使用できる編集ソフトや実際に使用されている機材まで事細かです。

体感的には2〜3サイト読めばとりあえず投稿を始めることができるでしょう。

そのため、動画の投稿なんてやったことない、写真の撮影なんてしたことない、という考えから媒体を絞るのはダメです。

これまでのクライアントの中で、ほとんどの方が「今までやったことないのでできない」というお話をされます。

そうだと思います。なにせ、ほかの、広告を出したいと考えている企業や商店の方々は場合によっては年間数百から1千万円近い費用を支払って、他人に広告制作を依頼しています。

いままでに仕事関係以外の方で(写真撮影が趣味の人であっても)商業用の撮影や動画編集などをしたことのある経験がある人というのはほとんど会ったことがありません。

(余談ですが、近年の広告業界は人手不足なのである程度できるようになったところで副業として撮影などをしている人もいます)

とにもかくにも、これから行うことはすべて初めてのことなので「やったことない」は禁止ワードだと言うことだけ覚えておいてください。

すべて慣れることでスムーズに実施できるようになります。

慣れるまでできない、ということであれば自分自身で制作する、という大前提が崩れてしまいます。

そのため、ここでもやる気を問われます。まずはここを踏ん張ってください。

そうすることで、かなり多くのハードルを越えることにつながります。

さて、それではどのような媒体を選ぶか、ですが。

実は初めてで、経験がなくとも少しだけ、誰かになにかを伝えるのに発想しやすい、伝わりやすいジャンルがあります。

それが、文章です。

日本で義務教育を受けた方ならば、少なからず文章を書いた、もしくは読んだことがあると思います。

この少なからず、というのは非常に重要です。

なぜなら、誰かに何かを伝えるためには、その“誰か”の分かる言葉とテンポで伝えなければいけません。

動画でも写真でも伝えることはできますが、いま、巷で、ある程度共通認識のある言葉とテンポを使用しなければ、うまく伝わりにくいのです。

たとえば、あなたが現代アート展覧会に行ったとします。

入り口近辺に抽象画が飾られていました。これは画を飾るという芸術の一手法だという認識があるから、その画を眺めます。場合によっては、画の下部に掲示される説明書きなどを読むでしょう。

では、この画を目の前で誰かが破壊していたらどうでしょうか。

「なにをやっているのこの人!」と思いますよね。

しかし、これ、実はアートパフォーマンスの一環で抽象画の作者による一種の芸術でした。

と、なったときに、後者では通りすがりの人が一瞬見ただけでは真意が伝わることはないでしょう。

端から見れば犯罪行為と読み取られても仕方ありません。

絵画は飾って、一般客が見るもの、という共通認識の中で表現されているから一瞬見ただけでも「あ、芸術だ」と理解できるのです。

ちょっと極端な例ですが(実はこのパフォーマンスは実際に目の当たりにしたことがあります。あまりの衝撃に固まってしまいました…)、人になにかを伝える、という行為の土台にあるものはまったく同じです。

革新的なものは浸透するまでに時間がかかります。

また、一か八かの賭けの要素も強くなります。

もちろん、イノベーター(革新者)になるために挑戦することはすばらしいことですが、本業である商店やサービスの運営を行いながら実施するには大きなリスクをはらみます。

そのため「こうすればこう伝わる」という仕組みを、ほぼすべての国民が概ね同じく学んでいる文章、という形式をとることをオススメします。

ただし、挑戦してみる、という強い意志があるならば果敢に別の方法に着手してください。

あなたが出した1本の動画が世界を変えることも、かならずあります。

僕はかなり恐がりで、臆病者であるためにある程度の安全策をオススメしてしまいますが、挑戦する気概のある方はぜひチャレンジしてください。

さて、とりあえず今回は文章を扱う媒体を選択したと仮定して話をすすめます。

文章は現在も多くの人がコミュニケーションの一環として使用しています。

世代により表現に差異はあっても、目で見て脳で理解するというプロセスは同じです。

最近では音声読み上げによる解釈もあるので、耳で聞いて脳で理解するということもありますが、この音声読み上げも文章をプログラムが音として発するために、おおむね文章制作の一環として捉えることもできます。

基本は簡単です。あなたの持つ商品やサービスを利用することで、お客さんがどのようなことを体験できるのか、なにを感じられるのか、これをあなた自身の言葉として文章にするだけです。

文法は、ある程度間違えても構いません。表現が稚拙でも構いません。

普段通りの言葉をもって表現すれば、実際に商品を手に取ったり、サービスを受けたときに、思ったよりよくなかった、というガッカリを出してしまうことも少ないでしょう。

みんなの共通認識である日本語を、嘘偽りなく、正直に文章にすればいいのです。

媒体別広告対象者の目安

とはいっても、書いた文章はどこにどうすればいいのかという問題があります。

もちろん、手書きの紙を自宅の机の上に置いておいても意味はありません。

以下は、この文章を掲載したり、投稿したりすることでお客さんに何かを伝えられる媒体です。

紹介する内容はいままでの仕事の中でのデータと僕自身の印象が入り交じります。

決して、ここに書いた対象者の情報が100%ではありません。が、自分的には当たらずも遠からずだと感じています。

どの媒体にあなたの想いを込めた文章を掲載するか、参考にしてください。

HP(ホームページ)

広告の制作として打ち合わせに行くと、ほとんどの個人商店で最初に相談されることの多い媒体です。

これだけ著名な媒体で、これだけ制作費の振り幅が大きいものほかには知りません。

10万円程度〜数百万円まで、おまけに動画を入れるとか、イラストを使用するかなど、さまざまな要素により金額は大きく変わっていきます。

制作をどこかに依頼した場合、管理費用なども必要で、ときには大きな修正を入れる必要もあります。

が、レンタルサーバーと独自ドメインを自分で取得して経費的に月の管理費600円程度、初期費用3,000円かからない程度で制作することも可能ではあります。

ただしある程度の知識が必要なのと、作っただけではアクセスを集めることができないので、運営ノウハウを知らなければまったくもって意味がありません。

長くなるので割愛しますがHPの評価を上げるために、更新し続ける必要があるのです。

また、自分1人で制作する場合にはHPの管理知識だけではなく画像やある程度のWEB制作の知識も必要なため、実際に効果を上げる場合には未経験では難しいでしょう。

冒頭にお話しした通り、ある程度の勉強は覚悟する必要がありますが、これを独学のみでやるには本業に支障がでるほど膨大な情報です。

また、HPを運営する場合、多くのジャンルで大手企業や広告制作会社のHPと競い合うことになります。

局所的には決して勝てないワケではありませんが、これもまた戦略的な方策が必要になります。

そのため、自分自身で広告制作を行う場合、周囲に相談できる人がいない際は運営をオススメしません。

また、HPの閲覧者は全国不特定多数の人が対象となるためにすぐに結果に結びつく訳ではありません。

このようにすると対象年齢や地域をある程度絞れる、という方法はありますが個人で制作する際は事前にある程度の設定をすることは難しいでしょう。

グーグルマイビジネス

かなり手軽に、多くの人の目に情報を触れさせることのできる媒体です。

Googleの提供するWEB上で商店の情報をさまざまに表示させるためのサービスです。

運営も無料な上、情報を入力するフォーマットがあらかじめ決められているので知識はそこまで必要ありません。

また、活用方法はインターネット上で詳しく解説されているのでビジネス書などを購入しなくても利用できます(グーグルマイビジネス 利用方法 などと検索するとこれでもかというほど大量に表示されます)。

グーグルマップなどにも商店情報が反映されるため商圏内での広告も比較的スムーズです。

ネット上で商店名を検索する、Googleマップなどのアプリを使う、といった人を対象とし、年代も幅広いですが、おおむね20代半ば〜50代半ば程度が主な対象者となることが多いでしょう。

デメリットは特にありません。へたにHPを作るよりもかなり活用しやすい上に結果もでやすいので、ぜひ活用してください。

コツは、人気の商店や企業のマイビジネスを参考とすること。

いろいろなマイビジネスを覗いてみてください。

ニュースレター

若干の知識は必要ですが、紙一枚とペン、そしてお客さんに訴えたいことがまとまっていればこれだけ活用方法がたくさんある媒体もそうありません。

お客様に配布する、店頭に掲示する、カウンターに置いておく、店外にA看板に貼り付けて設置する、郵送するなど、原本1枚を制作してサイズを変えるなどしながら印刷することでいかようにも活用できます。

ニュースレターを効率的に作るには本1冊程度読むことをオススメしますが(ネット上の情報だけだと不十分なことが多いです)、知識は皆無であったとしても自分の想いや商品、サービスの特徴を手書きの文字で書き切ることで十分な機能を果たします。

注意点は印刷コスト。

コンビニのプリンターなどでは大量印刷をすると高額となります。

50部以上ならばネット印刷などを利用したほうがいいでしょう。

ただし、最初から大量印刷をする必要はまったくありません。

まずは5部程度から始めましょう。

少ないと思いましたよね。この5部をはけさせるのがなかなか大変なのです。

商店のどこに置いたら読んでもらえるか、どのようなお客さんにどのようなタイミング渡せば読んでもらえるか、どのような情報を載せれば興味を持ってもらえるか、という部分に経験が必要ですので失敗を繰り返しながら試行錯誤してください。

なんでもいいからお客さんに渡すと言っても、見るからに迷惑そうに受け取られたり、確実に読まないな、という表情が読み取られたりするはずです。

どのような形式で書き、どのような情報を乗せれば読んでもらえるのかは、お客さんやあなたの商売によって千差万別です。

いろいろと試す中で答えを見つけてください。

これなら読んでもらえて、自分の商売やサービスにも興味を持ってもらえる、という最適解は必ずあります。

デメリットは広範囲に配布するには費用が必要なことと、店頭掲示や看板掲示の場合人通りが少ない、そもそもお客さんがお店に来てくれないと目に触れる機会がないということ。

しかしながら紙1枚とペン1本から始められるので、まずは試してみましょう。

場合によっては知り合いのお店に置いてもらうとか、掲示板に貼り付けるという方法もあります。

そうすると、今度はお店に置いてもらうにはどのようなことが載っていればいいか、掲示板に貼った際に目立つようにすればどうすればいいか、など、考えることは多くなりますが、これもまた経験しなければ打開策は見いだせません。

もしも周囲に同じような悩みを持つ商店があるならば、一緒にニュースレターを作ってみるというのもいいでしょう。

1枚の紙に数商店が文章を書く、それであれば、一緒に書く仲間のお店には、とりあえず置いてもらえることになりますよね。

方法はさまざまです。

実際に制作を始めると、商店やサービスにおいて見えていなかった部分、また自分自身のなんとなく行っていた業務への考え方などが言語化されて通常業務にもいい影響を与えてくれます。

ペースは月に1枚程度制作するといいですね。

ハッキリ言って、これを半年ほど、つまり月1枚で6枚程度作成し続けられる人ですら、ほとんどいません。

最低でもなんとか1年は続けてみてください。

1年続けると、かなり変わります。

ブログサイト

ブログ投稿のプラットフォームを持つ、はてなブログやアメブロ、noteなどへの投稿です。

個人で制作する場合にはオススメしません。

そもそもインターネット上に検索結果として表示されにくく、ブログサイト内でのイイネ数などを集めなければ注目度が低くなります。

同じようにサイト内で注目されたいと思っている人からイイネされることもありますが、イイネをしかえしてくれることを期待してのものだったり、フォローバックを期待してのものだったりと、どこまで内容を読んでくれているのか微妙です。

一昔前はちがいましたが、僕が広告制作を始めてからこれまでに「ブログサイト内で人気があるので集客が一気に上がりました」というのはサイト側の広告以外で見たことがありません。

ある程度商店にファンがいる状態であれば活用方法もありますが、個人商店が自分自身で制作を行う場合は時間と労力の面でかなりのリスクを伴います。

 

以上です。

なんと、これだけです。

既にあるフリーペーパーなどに掲載するという手もありますが、わりと費用が高かったり、誌面のスペースがとれない場合もあるので、文章量や掲載する内容を自由にできるニュースレターがオススメです。

店外などに掲示することで通行人の目にとまりやすくすることもできます。

しかし、読んでもらえるかどうかは内容次第です。

これを読んだら役に立つな、これは読んでみたいな、という一文を大きく、通りすがりの人がチラリと見ただけでも分かりやすくしてあげるといいでしょう。

広く世間に広告することはできませんが、あなたの商店や事務所の前を通る人ならば、お客さんとなってくれる可能性が著しく高いです。

神奈川県の商店に、兵庫県から来てもらうには、少々苦労が必要です。

もしも費用に余裕があるならば新聞の折り込み広告などもいいでしょう。

印刷コストがかかってしまいますが、近所にある印刷屋さんなどに相談してみると案外安く印刷することもできます。

また、ネット印刷といってインターネット上から印刷を依頼することで数百部で数千円という金額で印刷することも可能です。

いきなり大きく広告することは気持ち的にも難しいと思うので、まずは小さなところから変化させていきましょう。

あなたの想いが伝わるならば、たった1枚の紙でも30枚におよぶ長文でも構いません。

 

おまけ:口頭で説明する内容を用意する

実はほとんどのケースで考慮されていないのが、口頭説明です。

これまで解説してきた文章を書くと、想いを伝える文章というのをある程度覚えることがほとんどでしょう。

その内容を、あなた自身の言葉で直接お客さんに伝えるのです。

お客さんと直接会話をすることで広告する、という方法はいわゆる接客マニュアルを作るということです。

1人のお客さんに説明するだけでは広く知らせることにならない、と、少し前まで僕自身も思っていました。

しかし、口コミというのはなにもインターネット上で行われるだけではありません。

あなたの商品、サービスが本当にいいものであれば、1人のお客さんから数人に情報が広がることは珍しくありません。

ただし、店頭でお客さんと話のできる時間はそこまで長くとれません。

そのため、なにをどのように伝えるか、またお客さんが知りたい情報と関連して伝えられるかを整理しておく必要があります。

電話などでの対応も同じです。

10分も電話していることはほとんどありませんよね。

一言で、かつお客さんの質問への返答内容になるように話すために、事前にある程度の内容を考えておきましょう。

飲食店でいい例があります。

僕のお客さんではありませんが、とある飲食店さんで、料理をサーブする際にある程度の情報を話すようにしたら注文数が上がった、ということがあったそうです。

1つのテーブルにサーブしながら、どのような素材か、なぜこの調理にしたのか、どのようなお酒と合うかをオススメしたところ、別のテーブルで話を聞いていたお客さんが同じ料理を注文してくれるようになったそうです。

料理をサーブする際は冷めないように手早く、要点だけを伝える必要があったため、すべての料理ではできなかったようですが、これも一種の口コミです(サーブした後にお客さんが料理の写真を撮る時間も後から検討されたそうです)。

サーブした後、料理を食べたお客さんが「おいしい」と言っていたのも功を奏したそうです。

デメリットとしては期待外れであったときにリピーターになる確率が下がってしまうこと。

また、対象者が来店者のみとなるため今現在お客さんがほとんどいない場合には活用できません。

しかし、文章に想いを乗せることと、言葉に想いを乗せることでは、後者が圧倒的に有利です。

ぜひ参考にしてくださいね。

さて、次回からは少し実践的な話になります。

どのような内容を文章にすればいいのか。です。

もちろん、あなたの想いを徹底的に解説するもので構いません。

ただ、それだけではそもそもあなたの商品をまったく知らない人の目を惹くのが難しいのです。

そのため、次回は“目を惹く”ためにどうすればいいのか、を解説していきます。

お楽しみに。

 



ABOUTこの記事をかいた人

企画、ライティング、撮影、サイトの保守管理をひとりぼっちでこなす編集長。仕事だけではなく、私生活もひとりぼっちです。最近言われた怖い言葉は“天涯孤独の最後”です。