個人商店主がこれから自分自身で広告制作をおこなうときに必要な下準備

※記事の中にアフィリエイト広告を利用しています。

単刀直入に言いますと個人商店主は、広告制作というものを、本来はやらないほうがいいでしょう。

なぜならば“広告”というものと“商店の営業”というものはリンクした行いであるからです。

あなたが広告制作をがんばるほど、来店数や購買数は増えます(本当に少しずつ増えます)。

しかし、来店数、購買数が増えるということは、それだけ通常業務が忙しくなるということです。

それでも、広告制作を止めることはできません。後述しますが広告制作は単発でお客さんを集めることを目的とする以外では長く制作を続けていく必要があるからです。

広告制作を商店主自らがおこなうことで年間の経費は圧縮できたとしても、自分自身の労力はあなたがいい広告制作をするほど、通常業務と合わさって2倍の速さで増えます。

個人商店はほとんどの場合、1人親方、ないし少人数(家族とアルバイト、もしくはアルバイトのみなど)での運営でしょう。

あまりの労力に商店主が1週間寝込んでしまった、ともなれば大打撃です。

また、忙しくなってきたから急いで人員を増やす、というのも危険です。

この需要がいつまで続くのか、場合によっては3カ月ほどでお客さんの増加がストップすることもあります、また、人員は採用した後に一定の期間が経過しなければ戦力にならないため、繁忙期が重なれば2倍の労力が3倍、4倍へとなりかねません。

そのため、需要をある程度コントロールする感覚が必要となりますが、この感覚を持っている商店主はほとんどいないでしょう。

だからこそ、自分自身で広告制作を行うには、極端な話「私生活を犠牲にしても構わない」「本気で自分の商店が好き」「この仕事を辞めたくない」という執念が必要です。

当面はなにがあっても広告制作も通常業務も現状の体制で運営する、という覚悟も求められるでしょう。

これまでたくさんの商店主の方とお話しをしてきましたが、このお話だけであきらめる方が8割、実際始めてみて途中でやめてしまう方が残り2割のうち90%というところです。

では、覚悟を持って制作し続ければ必ず成功するかと言われれば、決してそんなことはありません。

ここまでで自分には向いていない、と思われるならここでお別れです。

ありがとうございました。さようなら。

まだ読んでみる、なにかヒントがあるかも、挑戦したい、という方がいましたら、少し長くなりますが、引き続きお付き合いください。

かなりの文量になるので、連載ものとなります。今回は第1回です。

それから、大変申し訳ありませんが2021年6月をもって、新規のコンサルティング、制作のご相談の受け付けは終了いたしました。今後も新規に関しましては再開の予定はございません。

そのため、個別の質問やご相談などは現在受け付けておりません。

申し訳ありません。

広告制作は“今”ではなく“未来”にしか効果はない

脅すような書き方になりましたが、これが本当のところです。

覚悟がなければ考えるのすら時間の無駄と思えるほどさまざまなことを検討しなくてはいけません。

さあ、ここから少しずつ本題に触れていきます。

「集客のために広告を出す」という決断をしてから、実際に人々がこの広告制作物を目にするまでにどの程度の期間がかかるかご存知ですか?

制作物にもよりますが、チラシ1枚であっても1〜2カ月は必要です。

初回相談、初回提案、実制作、修正、再校、修正、再々校、校了、印刷、印刷物の配布、かなり簡略化して書いても、このような手間がかかります。

制作会社がフォーマットを用意してそれに画像やキャッチコピーなどをあてはめるだけでも2週間より早くできることは稀です。

そのため、月初めに「今月の売り上げをアップさせるために広告制作をやるぞ!」というのは間違った考えです。

一番最速で一番費用をかけるやり方で「次の四半期で広告制作物を人の目に付くようにするぞ!」が正解です。

そこから実際に売り上げがアップするまでにはさらに期間が必要となります。

「そこまで待っていられない!」という場合にテレビCMやSNSの販促会社、プラットフォーマーの広告媒体など、速効性があり既に多くのファンが存在する企業、個人などに出稿することになります。

これは数百万円はかかるため、今回の内容からは逸脱する内容のため省きます。

では、個人商店主が自分で広告制作をする場合は、どの程度の期間が必要か。これはどれだけ早くても半年、ないし1年後にしか結果がでません。

そのため、概ね3カ月でほとんどの人があきらめてしまいます。

自分の商店のなにを広告するかを“真剣に”考える

ここまで聞いて、覚悟は決まった! さあやるぞ! という意気込みの前に、まずは自身の商店のなにを広告するか考えてみてください。

「なにって、商品でしょ」

ごもっともです。ただし、この商品に競合他社はいますか? この競合他社とあなたの商品のちがいはなんですか?

「同じ商品です」

いいえ、絶対に違います。たとえ競合他社とお店が隣り合っていたとしても、お客さんの自宅から数メートルはどちらかの商店のほうがちかいはずです。

金額は? 置き方は? なにと一緒に売っていますか? お店のどこに対象商品を置いていますか? お客さまに商品説明はしていますか? カラーバリエーションは取り扱っていますか? 類似商品の存在はご存知ですか? 保存方法は競合他社とちがいますか? 商品を作った人はどのくらいの期間の経験のある人ですか?

こう考えて見ると、A社とB社が扱っている同じ名前、同じ仕様、同じレシピ、同じ大きさの商品であっても、それぞれにちがいがあります。

この違いのうち、なにをお客さまに広告するのかを考える必要があります。

広告とは、読んで字のごとく“広く知らせる”ことです。

決して“売り上げをアップさせること”ではありません。なにせ“広告”という言葉のなかには、売り上げ、も、アップ、も、1文字も入っていませんから。

お客さまに広く知らせることで自社の売り上げがアップすることは、自分の商店内、商品ではどのようなことだろうか、この整理から全てが始まります。

少し分かりやすくするために例を挙げます。

たとえば、Aというサンドイッチ屋さんとBというサンドイッチ屋さんが駅前の同じテナントの1階に入っていたとします。

測ってみたら駅のホームからの距離は数センチの誤差をもってほぼ同じ。扱っているのは同じ大きさのハムサンドのみでした。

ハムも、パンも、マヨネーズもマスタードも、塩もコショウも同じメーカーのもの。店員さんのユニフォームも同じ、なんなら働いている人は双子で、親御さんが見ても見分けが付かない、声音もそっくりです。

しかし、使用している冷蔵庫がちがいました。

では、まずはその冷蔵庫について徹底的に調べてみましょう。

メーカーのホームページを見て機能のちがいを見ましょう。場合によっては、似たスペックの冷蔵庫を購入して、実際に中で冷やしている商品にどのようなちがいが出るか見てみましょう。味は同じか、衛生面はどうか、環境負荷はどうか。

保存した食品の味がちがうのであればお客さんに告知すれば大きな強みになるでしょう。衛生面も同じです。テイクアウトものは衛生面の充実が必須です。

環境負荷であれば冷蔵庫という家電が環境にどの程度の負荷をかけるのかを添えて告知することで、環境保護に関心のある人の協力や関心を得ることができるでしょう。また、これを皮切りに環境に優しい商店運営をしていくこともできますね。

あなたの商店には絶対に競合他社とちがう部分があります。まったく同じなどありえません。

その違いのうち、なにを広告するか、これを判別するためにまずはご自身の商店や商品、次に競合他社の商店や商品についてよく観察し、調べてみましょう。

意外な部分に、あなたの商売の大きな財産が隠れていることは、これまで何度もありました。

“売り上げアップ”は“ファンの数をアップ”させること

広告を出したときにお客さんが増えた、という話はよく聞きますが、この“お客さんが増えた”という言葉には制作会社や代理店のマジックが隠れています。

広告を出し続けないとお客さんが増え続けない、というからくりです。

本来、お客さんの来店数や購買数を増やす、という目的には、実は隠れた枕詞があります。

それが“永遠に”という言葉です。広告を出す目的は一度だけ来店する、一度だけ購買するお客さんをたくさん集めたい、という訳ではないでしょう。

“永遠にお客さんの来店数や購買数を増やす”内容こそを求めているはずです。

しかし、1つの制作物で永遠に増やすことが可能となれば制作会社や代理店は1度しか製作費をいただけません。

だから、複合的、かつ継続的、かつ単一機能的な広告制作物が増えていきます。

たとえばチラシ、ランディングページ、SNSや動画プラットフォームなどへの広告出稿、バナー広告などです。

いずれも人の目に触れる期間が短く、効果も限定的です。

では、永遠、は難しいですが長くお客さんや購買数を増やすのに役立つ広告制作物はなんでしょうか。

一応、僕自身のこれまでの経験では冊子(読み物)、HP、ブログ、動画プラットフォームへの投稿(広告ではなくアカウント運営)、店頭告知、店内での掲示(読み物)、それから口コミを促す売り方の確立です。

SNS、というものも長く集客できるツールですが、これは少しだけ毛色が違います。

よく集客アップのためにSNSの活用を掲げる方がいますが、活用する際の主体はお店の人間ではありません。

フォロワー数を持ったお客さんです。これからあなたが新たにアカウントを開設して数万、いえ、数千、もっと少なく1,ooo程度のフォロワーを得るだけでもかなり期間と労力が必要です。

しかも、既に広告ばかりのSNS上で1,000人の目に触れるだけではほとんど効果は期待できません。

そのため、長くSNSを活用しているお客さんたちがSNS上でシェアをしてもらえるような環境を築くことこそが、本来の意味でのSNSの活用です。

300フォロワーを持つお客さんが1日のうちに10人来店して、全員が1度シェアしてくれれば、あなたが数ヶ月かけて作った1,000のフォロワーの3倍の人の目に商品やサービスを触れさせることができます。

だからこそ、あなたがSNSを活用してもしようがありません。

さて、少し話はそれましたが、後半に挙げた制作物が長くお客さんとの関係を保ちやすい媒体です。

それ以外ではほとんどの場合が単発です。

集客はよく、ミュージシャンやアイドルの活動に例えられることがあります。

自分自身のファンになってくれれば、音源も買ってくれるし、SNSでのシェアも積極的にしてくれるし、グッズをいくつも買ってくれるし、ファンクラブにも入ってくれるし、イベントにも来てくれるし、こちらがよほどのことをしなければブームが過ぎたあとでもずっと好きでいてくれる可能性が高い。

つまり、長くお客さんとの関係を持ちやすい媒体とは、商店もしくはあなた自身のファンを作るための装置です。

ここでようやく前項との関連性を説明できます。

なに(商品の特徴、ちがい)を、どのような媒体で広告すれば人を自分や商店のファンにできるのか。

これを割り出さなくては広告制作はなにも始められません。

僕自身がお客さんとやりとりをしていても、この割り出しには週に1回1時間ずつ打ち合わせをしても1カ月はかかります。

もしもこれが分からない、判明しないようなら、ご自身で広告制作を行うのはやめたほうがいいでしょう。

本当に多くの時間と労力が無駄になります。

方法は、後からいくらでも代えが効きますが、目的を変更するにはかなりの痛みを伴います。

まずはここまで考えてみてください。

次回は割り出した後に、どのような媒体でなにをするのが正解かを考えてみましょう。

近日公開です。お楽しみに。



ABOUTこの記事をかいた人

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大学卒業後に新聞社に入社、その後ビジネス書の制作を得意とする編集プロダクションに転職。フリーでWEBや紙媒体での企画、編集、執筆、撮影などを担当し、現在はモジカル編集長。趣味の料理が高じてレシピ記事なども制作。