ジャズ好きなら知らないといけないすごいコンビ(ドラマー以外編)

みなさん、名コンビと言えば誰をパッと思い浮かべますか?

王さんと長嶋さんのONコンビ、やすしきよし師匠、映画ラッシュアワーのジャッキーチェンとウィルスミス(いろいろとネタが古くてすいませんw)?

世の中のどのコンビを見てもお互いの絆の深さだったりそれぞれの個性が相乗効果されたりと、1人ではなく2人になることでしか表現できないよさがありますよね。

ジャズにも映画やドラマのような名コンビが、実は結構存在します。

公私ともに仲が良かったり、はたまたプリベートでは仲が悪いけど音楽の相性は抜群だったり、いい相棒だったけど不慮の事故でその盟友を亡くしたりと色々とドラマがあるです。

今回はそんなジャズ界の名コンビを音楽的にも実際の人間関係(?)にも触れてご紹介していきたいと思います。

フロントでの名コンビ

まずはバンドで前に立って演奏する管楽器プレイヤーからのご紹介です。

2管で演奏する場合はメロディを一緒に吹いたり、ハモったり、オブリ(メロディとメロディの間の合いの手みたいなフレーズ)を入れたりするのでお互いのことにかなり気を使いながらプレイしていると思います。

正直、普通にメロディだけを吹いていても、それはそれで演奏が成り立ちはしますが、お互いの個性が生かされるように、そしてどちらの個性もバランスよく聴かせるようにするには熟年夫婦のような阿吽の呼吸が大事になります。

この“阿吽の呼吸”が成り立っていると言えるのは、これからあげるコンビで間違いないでしょう。

チャーリー・パーカー&ディジー・ガレスピー

 

アルトサックスのチャーリー・パーカーと、トランペットのディジー・ガレスピーの2人です。あのマイルスも憧れた名コンビなんですよ。

ビバップ初期のアップテンポの曲はたくさん吹いた奴が勝利するアスリート的な時代で、パーカーの隣に肩を並べて吹けるホーンプレイヤーは少なくきっとディジーくらいでした。

80年近く前の演奏でありますが、今現在(2020年)の私たちが聴いても「恐ろしい」と感じるほどのスピードで演奏していて、その上フレーズの流れが完璧なチャーリー・パーカーですが、ディジー・ガレスピーも引けをとらず、トランペット特有の高音や流れるフレーズ感で一緒にバンドを引っ張っています。

2人ともビバップ(ジャズのスタイルの1つ)の立役者としてさまざまな後輩プレイヤーの面倒をみるなど、バップの父親的な存在でした。

しかし、パーカーはドラッグやアルコールの依存症になってしまい、演奏や私生活が乱れていきます。

きちんとした性格であったと言われるディジーは、段々と変わっていくパーカーに耐えられず、コンビは解散となりました。

マイルス・デイビス&ジョン・コルトレーン

このコンビも言わずもがな鉄壁の2フロントです。マイルス(tp)がクールにメロディックに吹くのとは対照的にコルトレーン(ts)はエンジン全開で重量感があるソロをとることが多いです。

マイルスはあえてクールでメロディックな演奏をすることによって自分のプレイスタイルを変えずに音楽的に変化をつけさせるという頭脳派なトランペッターです。

またバンドは、ほぼマイルスからソロが始まりコルトレーンに繋いでいくという構成がとられ、この構成がこれまた自然な音楽に膨らんでいきます。

この流れのよさが非常によく感じられるアルバムが「Relaxin」でしょう。

ジャズにおいてとても有名なアルバムです。

上下関係ではコルトレーンの方が後輩なので、マイルスからさまざまな指示をされていたと言われていますが(マイルスの指示は難しいことで有名です汗)、ストイックな性格が幸いして上下関係はありながらもコンビとしての相性はバッチリでした。

チェット・ベイカー&スタン・ゲッツ

チェット・ベイカー(tp)、スタン・ゲッツ(ts)。この2人、不仲説もあったそうですが音楽的相性はめちゃめちゃいいのです。

チェット・ベイカーといえば歌も歌うトランペッターとして有名ですがこのアルバムではトランペットに集中してゲッツと張り合うような、いやむしろ2人のフレーズがどんどん絡み合うようなプレイをしています。

テーマ部分もメロディを譲ったり、しっかり主張したいところは出しゃばったりするんですがトータルで聴いていても全体の音楽のバランスがとても素晴らしいです。

50年代にレコーディングされた1枚ですがレーベルの契約関係で80年代までお蔵入りしてたそうです。これは必聴の1枚です。

相手の良さを引き出す名コンビ

キャノンボール・アダレイ&ビル・エバンス

ハーモニーの知的なセンスが光るビル・エバンス(pf)にブルージーなキャノンボール(as)の音色が混ざり、きらびやかで芯のあるサウンドが楽しめるアルバムです。

ビル・エバンス以外黒人メンバーなので50年代のブルーノートレーベルのようなゴリゴリサウンドを想像してしまいますが、エバンスが入ることによってライトで明るいサウンドになっています。

キャノンボールもエバンスに影響を受けていて、最初の”Waltz For Debby”のテーマの吹き方も少しマイルドでエバンスの弾き方に寄り添っている感じがしますね。

3曲目の”Who Cares?”は私のお気に入りです。スムーズなグルーヴと色彩感あるハーモニーでストレスなく軽快に音楽が進んでいくのでとても気持ちいいテイクです。

ここでのブルージーな男らしいキャノンボールのサウンドとそれに反応するエバンスの優しさ溢れるサポーティブなコンピングの掛け合いがバディ感あって素敵ですね。

マイルス・ディビス&ギル・エバンス

あのマイルスがとてもリスペクトするアレンジャー(編曲家、実際に曲を演奏することをなくアレンジのみをする人もいます)のギル・エバンス。

マイルスのさまざまな実験的音楽は、このギルとのコラボ作品がいくつもあります。

有名なのが

  • 「Birth Of the Cool」
  • 「Miles Ahead」
  • 「Sketches Of Spain」

この3枚でしょう。

普段マイルスは小編成でのアンサンブル形態にこだわってソロの展開やバンドサウンドを確立させてきましたが、ギル・エバンスとのコンビではまた違ったアプローチでバンドサウンドを仕上げています。

曲全体を聴かせるギルのアレンジと自分のスタイルでソロを吹きたいマイルスの感じが上手く融合されていて当時のビバップよりもっと新鮮なジャズが生まれました。

ギルエバンスはデュークエリントンやビリーストレイホーンなどがルーツでマイルスもデュークの音楽が大好きでした。なのでお互いの音楽の好みや考え方がすごく合って生まれた名盤たちです。

クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ

この2人もジャズ界を代表する名コンビでしょう。

歌うクリフォードのトランペットと同じく歌うようなマックス・ローチのドラム。お互いが影響し合っているのが2人のアルバムで感じられます。

“Dahoud”ではクリフォードの歌いかたにしっかり反応するような形でコンピングしています。マックス・ローチがここまでソリストのフレーズに反応するのはまれですね。

この音楽のやりとりを聴いて本当に仲がよかったんだなと胸が熱くなります。

残念ながらクリフォードは交通事故で25歳という若さでこの世から去ってしまいました。

残されたマックス・ローチは本当に悲しかったでしょうが前を向いて新しいトランペッターのケニー・ドーハムと自分のバンドを再開しました。

 

今回は主にドラマー以外のプレイヤーたちをピックアップしました。

次回はリズムセクションのバッテリーであるドラマーとベーシストの名コンピをご紹介していきます。



ABOUTこの記事をかいた人

野澤宏信 1987年生。福岡県出身。12歳からドラムを始める。2006年洗足学園音楽大学ジャズコースに入学後ドラムを大坂昌彦氏、池長一美氏に師事。在学中には都内、横浜を中心に演奏活動を広げる。 卒業後は拠点をニューヨークに移し、2011年に奨学金を受けニュースクールに入学。NY市内で演奏活動を行う他、Linton Smith QuartetでスイスのBern Jazz Festivalに参加するなどして活動の幅を広げる。 NYではドラムを3年間Kendrick Scott, Carl Allenに師事。アンザンブルをMike Moreno, Danny Grissett, Will Vinson, John Ellis, Doug WeissそしてJohn ColtraneやWayne Shorterを支えたベーシストReggie Workmanのもとで学び2013年にニュースクールを卒業。 ファーストアルバム『Bright Moment Of Life』のレコーディングを行い、Undercurrent Music Labelからリリースする。 2014年ニューヨークの活動を経て東京に活動を移す。現在洗足学園音楽大学の公認インストラクター兼洗足学園付属音楽教室の講師を勤める。