ジャズ好きに聞いてほしいボサノバオススメアルバム4選

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こんにちは、野澤です。

今年の夏はいかがお過ごしでしょうか。

異常とも言えるような暑さが続き、外に出歩く気もおきず、ついにネットスーパーなるものの利用を始めました。

家にいながら商品が届く快適さはAmazonで承知していますが普段のスーパーの買い物も外出せずに家に運ばれてくるのはさらに快適な気分です。

しかも野菜やお肉の鮮度がスーパーで売られているよりとてもいいので本当にこれは便利かもしれません。

最近は意外と多くのご家庭でも利用されているようですが、やったことない方はトライする価値あります。

さて、今回の内容は暑い夏にぴったりな話題。ボサノバについてピックアップしようと思います。

ボサノバといえばブラジルの音楽ですが現地のボサノバとジャズプレイヤーが演奏するボサノバはちょっと違います。

今回は本格的なブラジルの方ではなくジャズプレイヤーがよく演奏するボサノバナンバーと有名な楽曲が入ったアルバムを4つご紹介します。

ジャズでのボサノバはどうやって誕生したのか

そもそもジャズのボサノバがどうやって生まれたのか軽く触れておきましょう。

ボサノバが誕生したのは1958年ごろと言われています。

ブラジルのミュージシャンであるジョアン・ジルベルトを中心に発展し、サンバのリズムとジャズのハーモニーを取り入れた新しい音楽としてブラジルで一台ムーブメントを巻き起こしました。

その数年後にニューヨークのカーネギーホールで「Bossa Nova at Carnegie Hall」という大きなコンサートが開かれ、ここで一気にボサノバの知名度が広がっていきジャズミュージシャンもボサノバのスタイルに興味を持ち始めました。

ジャズマンでいち早く反応したのがテナーサックス奏者のスタン・ゲッツでしょう。

1964年にボサノバの生みの親であるジョアン・ジルベルトとアントニオ・カルロスジョビンと一緒に「Getz / Gilberto」のアルバムを制作して大ヒットさせます。

その後すぐに多くのジャズミュージシャンの心に刺さりジャズ界隈の中でもボサノバのスタイルが取り入れられるようになります。

なぜジャズミュージシャンにボサノバが刺さった?

なぜジャズミュージシャンの心を掴んだのか、それはボサノバで使われているハーモニーがジャズと共通するものが多くあったことが大きな要因でしょう。

ジャズではmaj7や7コードなど複雑なコードが多く存在しますがそれがボサノバにもあったのです。

しかしジャズのような複雑なコード進行があるわけではなく、漂うような浮遊感のあるコード進行にリラックスしたイーブンなリズムがオシャレだと多くの人が感じたよう。

ボサノバが流行する少し前まではマイルスがやっていたクールジャズのような落ち着いたジャズだったり、リーモーガンのようなイーブンで演奏するジャズも生まれていたので、いわゆるガチガチのジャズでなくとも、ボサノバというスタイルはすんなり受け入れられる土壌がありました。

とてもタイミングがいい話でもありますがこれはきっとジョアン・ジルベルトがジャズをよく聴いていたからこそ生まれたスタイルでもありそうです(詳しく知りたい方はジャズトランペッター、ボーカリストのチェット・ベイカーとの関係について調べてみてもおもしろいです)。

それがさらに逆輸入のようにジャズの中で進化していきました。

ブラジルのボサノバとジャズのボサノバの違い

ブラジルのボサノバとジャズのボサノバの大きなちがいは2つあります。1つはアドリブパートです。

ジャズのボサノバはスタンダードジャズを演奏するときと同じようにテーマのメロディを演奏したらアドリブソロに移っていきます。そしてやっぱりアドリブがメインになってしまうのがジャズマンのサガでしょうか。。

ボサノバではジャズのように各楽器にアドリブソロのパートを割り振りません。

あとはドラムがあるかないかも見分けるポイントとなります。初期のボサノバはドラムがいません。ギターと歌がメインでそれに少しパーカッションが加わっているくらいです。

ジャズではドラマーがいるのでそのパーカッションのパートをドラムで担当します。(詳しくはこちらの記事でも解説しました)

大まかな違いはこの2つでしょう。ブラジルのボサノバもジャズのボサノバも共通して言えるのはリラックスして小難しいことをせず、リラックスして演奏しているのが共通の特徴だと言えると思います。

オススメのアルバム

スタン・ゲッツ「Getz/Gilberto」

ジャズボサノバとしてはこれが一番有名なアルバムでしょう。

先ほども述べたようにスタンゲッツとボサノバの生みの親のジョアン・ジルベルト、ジョアンの娘のアストラッド・ジルベルト、そしてもう1人、ボサノバの偉大ミュージシャン、アントニオ・カルロスジョビンというメンバーでレコーディングされたとても贅沢なアルバム。

有名なのは1曲目の”The Girls From Ipanema”、邦題も有名なイパネマの娘ですね。ボサノバといえばまずはこれ。

定番なのでファンからすれば聞き飽きたと思うかもしれませんが、聴けば聴くほどボサノバという音楽の心地よさにいざなわれます。

ジルベルトの素朴な声とギター、これだけでもかなり空間が和らいで癒されますね。

スタンゲッツの音もとにかく柔らかい。。

空間に溶けていくようなフワッとした音色とキャッチーなメロディライン、そしてエモーショナルなコード進行ではちゃんとリスナーの心を掴んでくるようなフレーズ感がたまりません。

これぞボサノバのアルバム。間違いなしのアルバムです。

スタン・ゲッツ「Big Band Bossa Nova」

少しめずらしいアルバムです。

ビッグバンドといってもジャズのビッグバンドのようなダイナミックな演奏をする楽団とは違いオーケストラやマイルスのクールジャズのようなサウンド。

素朴な感じとは違ってゴージャスなボサノバやサンバの曲が楽しめます。

ですがしっかりボサノバのハーモニーや軽やかなリズムが心地よく聴けるアルバムに仕上がっています。

メンバーにはギターにジム・ホール、ピアノにハンク・ジョーンズ、トロンボーンにボブ・ブルックマイヤーが参加しておりそれぞれのソロも少し入っています。

基本はスタンゲッツがメインのソロをとっているのでクラシック音楽のコンチェルトのような感じをイメージしてると、どういう流れで音楽が進んでいくのかわかりやすいと思います。

ゆったりだけど少しゴージャスな空間を味わいたい時にはこのアルバムはとてもオススメです。

キャノンボール・アダレイ「Cannonball’s Bossa Nova」

ブルーノートの名盤”Somethin’ Else”でも知られるアルトサックス奏者のキャノンボール・ボールアダレイのボサノバアルバム。

全編ボサノバの曲で編成もサックス、ピアノ、ベース、ドラムにアコースティックギターが混ざってとても爽やかなアルバムです。

キャノンボールの吹き方はスタンゲッツとは対照的で、ブリブリした艶やかな歌心あるサウンドでメロディを奏でていきます。

そのメロディと歌い方の相性がとてもよくレスター・ヤングのような心地よさが終始感じられて気持ちいいです。

アドリブソロもそれぞれのプレイヤーの個性がたっていて1曲目の”Clouds”のセルジオ・メンデスのピアノソロではマイルス・ディビスでお馴染みの”Round Midnight”のモチーフが使われていてジャズへのリスペクトも感じられます。

2曲目の”Minha Saudades”もイントロがジャジーですがテーマに入ると一気にボサノバのスタイルに変化するのも面白いです。ここでもキャノンボールが”Eronel”のテーマをモチーフにソロをとっている瞬間もあって粋ですね。11曲もあって1時間弱というのも満足感が高いアルバムです。

ポール・デズモンド「Bossa Antigua」

created by Rinker
ソニー・ミュージックレーベルズ

デイヴ・ブルーベックの”Take Five”のサックスの印象が強いですがポール・デズモンドもボサノバのアルバムを出しています。

クールジャズのプレイヤーでも知られるポールなのでボサノバとの相性はかなりいいですね。

無駄なことはせず綺麗なメロディを淡々と奏でていきボサノバの軽やかなフィールを作り出していきます。

メンバーもギターにジム・ホール、ドラムにコニー・ケイという無駄なことをしないがグルーヴやサウンドが素晴らしいメンバーで固めており、ジャズという枠の中でボサノバというスタイルを落とし込んだ素晴らしい1枚となっています。

誰かが仕掛けたら誰かが乗っかるような勢いのあるジャズに疲れている人、忙しいことに追われて一日が終わる現代人にはどのアルバムもピッタリくるのではないのでしょうか。

 

忙しさに追われているのは私も同じで「時間がない!」といつも声に出す毎日でしたが、この記事を書いている間に聴くボサノバはすごく癒されました。

音楽が生活を豊かにする、なんていうのはよく言われることがですが、実体験として経験し、豊かとはこういうことなのかと納得しました。

ぜひ皆さんもボサノバを聴きながらゆったり過ごしてみてくださいね。



ABOUTこの記事をかいた人

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野澤宏信 1987年生。福岡県出身。12歳からドラムを始める。2006年洗足学園音楽大学ジャズコースに入学後ドラムを大坂昌彦氏、池長一美氏に師事。在学中には都内、横浜を中心に演奏活動を広げる。 卒業後は拠点をニューヨークに移し、2011年に奨学金を受けニュースクールに入学。NY市内で演奏活動を行う他、Linton Smith QuartetでスイスのBern Jazz Festivalに参加するなどして活動の幅を広げる。 NYではドラムを3年間Kendrick Scott, Carl Allenに師事。アンザンブルをMike Moreno, Danny Grissett, Will Vinson, John Ellis, Doug WeissそしてJohn ColtraneやWayne Shorterを支えたベーシストReggie Workmanのもとで学び2013年にニュースクールを卒業。 ファーストアルバム『Bright Moment Of Life』のレコーディングを行い、Undercurrent Music Labelからリリースする。 2014年ニューヨークの活動を経て東京に活動を移す。現在洗足学園音楽大学の公認インストラクター兼洗足学園付属音楽教室の講師を勤める。