プロのジャズドラマーが選ぶ大人向けのクリスマスジャズアルバム5選

クリスマス ジャズ

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こんにちは、野澤です。

だいぶ寒くなってきましたね。

ハロウィンが終われば世の中は一気にクリスマスへと向かっていくので、11月ともなればもう年の瀬を感じ始めます。

本当に1年がはやい。。

というわけで今回は少し早いですがクリスマスに向けてオススメなジャズのアルバムをご紹介していきたいと思います。

ケニー・バレル「Have Yourself a Soulful Little Christmas」

個人的にはイチオシのクリスマスのジャズアルバム。

アルバムのタイトルを見ても”Have Yourself A Merry Little Christmas”や”White Christmas”、”Silent Night”など多くのクリスマスソングが入っている中、”My Favorite Things”などのジャズにおいての有名どころナンバーも入っていて申し分ない中身になっています。

ケニーバレルの演奏が常にセンターにくるようになっていてギターのかっこよさが全面に出ていますね。

ジャズギター特有の渋さもありますがロックのようなフレーズのアプローチもあってギターのポテンシャルが堪能できるアルバムです。

ベース、ドラムのジャズサウンドにストリングスやヴィブラフォンも入っていて豪華なサウンドに仕上がっているのも特徴です。

“My Favorite Things”はブラスアレンジがされていてアップテンポのスイングに乗ってケニーバレルの最高なギターメロディを聴くことができます。

“Silent Night”はゴスペルを感じさせるアレンジだったり”Twelve Days Of Christmas”はクラシックの室内楽を思わせるイントロからジャズに繋がっていく感じが印象的です。

バラエティにとんでいながらもリスナーが次にどういう雰囲気の曲が欲しいのかよく分かっているかのような、聴いている人に寄り添った構成になっているのが見事です。

私みたいなジャズオタクからクリスマス気分を味わいたいライトなリスナーでも、どんな人が聴いてもいいと思えるでしょうし、幸せな気持ちにさせてくれるアルバムなので自信を持ってオススメできます。

エラ・フィッツジェラルド「Ella Wishes You a Swinging Christmas」

シナトラのクリスマスソングは定番すぎて聴き飽きた、しかしジャズボーカルのクリスマスアルバムがいい。

そんな方にオススメなのがエラフィッツジェラルドのクリスマスアルバム。これも定番どころですがエラの歌声、歌唱力が素晴らしく充実したクリスマスソングが揃っています。

1曲目から最後の曲までよく知られれているセレクトばかりですが小粋なスイングに明るい歌声、聴きやすいアレンジやホーンのゴージャスな感じがクリスマスのワクワク感を最後まで演出させます。

このアルバムをかければその場の空気が一気にクリスマス仕様になり幸せな空間になりますね。

それにしても、まさかこんなクリスマスの幸せが詰まったようなアルバムが、夏にレコーディングされたとは誰も想像できないでしょう。。

このアルバムも聴いていると、とっても幸せな気持ちになるのでオススメのアルバムです。

ジョージ・シアリング「Christmas with a George Shearing Quintet」

ピアニストのジョージシアリングのクリスマスアルバムです。

このアルバムも商業的な面だけではなく、しっかりジャズのサウンドが詰まったアルバムです。

モダンジャズカルテットのような王道サウンドが好きな方に特にオススメ。

白熱するような激しい演奏ではないですがハッピーな明るいサウンドで落ち着きのあるサウンドが、BGMとして聴いてもしっくりくるアルバムになります。

“Have Yourself A Merry Little Christmas”はこのアルバムの中でも凝ったアレンジがされてありギター、ヴィブラフォン、ピアノ、ベース、ドラムの編成になっています。

最初は可愛らしいイントロから始まりピアノの高音域のメロディがメロディを奏でていき、ヴィブラフォンにメロディが渡されていきます。

アレンジの中にウェザーリポートのバードランドが隠れていて、ここもちょっと小粋なアレンジが効いていていいですね。

そのあとはギターとヴィブラフォンでバロック調のアレンジで掛け合いのメロディとなり、一旦静かになったところからセンチメンタルなメロディになって上手く元のメロディに戻っていきます。

この曲だけアドリブすることなく1曲まるまるアレンジされたものになっていて満足感が高いです。

他の曲はテーマを演奏したらアドリブに移っていくジャズのフランクな部分もあってアルバム通して聴いてもバランスがいいです。

何よりジョージシアリングのピアノサウンドがとにかくいい。

ジャズピアノといえばこういうサウンドとフレーズだよなと思わせるセンスの良さ、これらを内包したアドリブソロ、クリスマスソングを聴いているということを忘れてしまいます。

ウィントン・マルサリス「Christmas Jazz Jam」

https://music.apple.com/jp/album/christmas-jazz-jam/896933786

トランペッターのウィントンマルサリスのアルバム。

彼はリンカーンセンタージャズオーケストラやジュリアード音楽院の学長を務めるなど現代のジャズに大きく関わっているプレイヤーです。

ジャズの原点を常に大事にしておりニューオリンズのトラディショナルなジャズのサウンドを意識した演奏、またはチャーチミュージックにも精通する音楽を目指しています。

このアルバムは多くの一流プレイヤーが参加しておりヴィクター・ゴイナス(T.Sax)ワイクリッフ・ゴードン(Trombone)ハーレン・ライリー(Drums)などJazz At Licorn Center Jazz Orchestraに関わるプレイヤーで構成されていて上質なジャズサウンドが楽しめます。

またビルボードのジャズアルバムのチャートにも上位になるアルバムなので期待して聴いてもその上をいくクオリティで満足感は相当高いです。

最初の曲からよく知られているクリスマスソングを選曲するあたり掴みはバッチリです。

ウィントンが得意とするニューオリンズジャズのサウンドにのって流れてくるメロディはアレンジがよくできています。

どのパートの楽器のサウンドが引き立つようなアレンジで特にトロンボーンのメロディはルイアームストロングのような歌い方に寄せた吹き方が際立ってていい味が出ていますね。

前半どの曲もニューオリンズジャズのサウンドで似たようなサウンドには聴こえてしまいますがずっとリラックスした雰囲気でホリデー感がありますね。

上質なジャズってどういうものか人によってイメージが違うかもしれませんがこのアルバムは誰もが認める質の高いジャズでしょう。

デイヴ・ブルーベック「A Dave Brubeck Christmas」

created by Rinker
Concord Music Group

Take Fiveのオリジナルを演奏していることでも知られるピアニストのデイヴ・ブルーベックのピアノソロアルバムです。

このアルバムはまさに大人の雰囲気を演出するジャズアルバムでエレガントな感じもありロマンティックな空気感もあります。

前半は子どもも大人も皆んなが楽しみやすい”Jingle Bells”や”Santa Claus Is coming to Town”はストライドピアノ調であったり、ブルージーなイントロだったりジャズの雰囲気たっぷりで明るく上品なジャズ。

アルバムの真ん中くらいになると”To Us Is Given”や”O Tannenbaum”、”silent night”は静かな夜に雪が降るようなイメージが浮かび上がってきて、聴いていると落ち着いた空間が周りに広がります。

寒い冬の夜に家で温まりながらこのアルバムを聴くとよりいい気分になること間違いないでしょう。かなり大人向けです。

デイヴブルーベックのプレイやサウンドもジャズとクラシックの間をとるような感じで演奏していて、緻密に音楽を作ろうとしている職人気質な感じも音から伝わります。

 

 

以上5枚ほどクリスマスの曲が入ったジャズアルバムを選んでみました。

商業的にみてメルトーメやシナトラのようにクリスマスアルバムは売れるから作るというレコード会社の意図もあると思いますが、ミュージシャン目線でみてもこの5枚のアルバムは音楽的によくできています。

それでいてジャズとクリスマスの両方が楽しめるなら一石二鳥ですし普段ジャズを聴かないご家族にもジャズを楽しんでもらう機会にもなりますね。

ぜひクリスマスに向けてアルバムのプレイリストを作ってみてはいかがでしょうか。



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野澤宏信 1987年生。福岡県出身。12歳からドラムを始める。2006年洗足学園音楽大学ジャズコースに入学後ドラムを大坂昌彦氏、池長一美氏に師事。在学中には都内、横浜を中心に演奏活動を広げる。 卒業後は拠点をニューヨークに移し、2011年に奨学金を受けニュースクールに入学。NY市内で演奏活動を行う他、Linton Smith QuartetでスイスのBern Jazz Festivalに参加するなどして活動の幅を広げる。 NYではドラムを3年間Kendrick Scott, Carl Allenに師事。アンザンブルをMike Moreno, Danny Grissett, Will Vinson, John Ellis, Doug WeissそしてJohn ColtraneやWayne Shorterを支えたベーシストReggie Workmanのもとで学び2013年にニュースクールを卒業。 ファーストアルバム『Bright Moment Of Life』のレコーディングを行い、Undercurrent Music Labelからリリースする。 2014年ニューヨークの活動を経て東京に活動を移す。現在洗足学園音楽大学の公認インストラクター兼洗足学園付属音楽教室の講師を勤める。