今一番注目すべきドラマー石若駿の参加作品とバンド

今まで海外のアーティストを中心にピックアップしていましたが今回は国内にいるミュージシャンに目を向けてみようと思います。

今やコロナ禍で海外ミュージシャンは生で見れない状況ですが、国内に目を向けてみれば世界レベルなミュージシャンも結構いるものです。

その中でも今ノリにのっているドラマー石若駿さんにスポットを当ててみたいと思います。

令和のトップドラマー石若駿(1992年-)

北海道出身。現在30歳(2022年時)にして国内のジャズだけでなく今やポップス界隈でも引っ張りだこという令和のトッププレイヤーです。

一番有名なところで言えば日野皓正バンドでの活躍でしょう。

日野さんはご自身のバンドのドラマーにかなり敏感で、これまで何人ものプレイヤーを起用してきました。その中でも今一番長く日野さんバンドのドラマーとして活動しているのが石若さんです。

他にもニューヨークでケニー・バロンのバンドで活躍されているベーシスト北川潔さんも日本でツアーをする際には石若さんをファーストコールで呼んでいるそうです。

なんでこんなにもトップでやっていけてるのか。もう少し石若さんのプレイスタイルに着目してみます。

圧倒的なテクニック

まず目を見張るのが圧倒的なテクニック。説明せずとも勢いや音の力強さからどんな人が見ても彼のドラムを叩く上でのスキルがはるかに高いのが見てすぐにわかると思います。

手数だけではなくフレーズもしっかりモチーフをつなげています。ダイナミクスや音色のコントロールも自然で一世代前のテクニカルドラマーとは訳が違います。

テクニックと音楽力とを両立したドラマーというのはとても稀です。どちらもいける石若さんは完全にニュージェネレーションなのを感じますね。

幅広い音楽力

テクニックだけで押し通すのではなく感じたのものをセンスよく体現できる力もすごいです。

みんなが何をやっているのかよくわかった上で自分のやりたいことをしっかり主張できるのが石若さんの強みです。

しかもそれがビバップだろうがフリージャズだろうがオルタナティブだろうがなんでも対応できてしまいます。

モダンジャズ好きならフリーがあまり得意じゃないとか、コンテンポラリー好きなならビバップのフレーズをそんなに知らないとか、ミュージシャンであってもジャンルの好き嫌いがあった上で自分の音楽が成り立つ部分もあるのですがそれがほぼない。

クラシックであろうがジャズであろうがポップスであろうが彼自身が持っている知識とテクニックを持ってすればジャンルという垣根を超えてきます。

まさに石若さんはジャズ界の大谷翔平ですね。

その功績のおかげで最近ジャズミュージシャンがポップス業界にも混ざっていく機会も増えてきました。

ドラムだけにとどまらないマルチプレイヤー

ピアノも相当弾けるそうです。しっかりクラシックピアノもできるので作曲もでき、レコーディングではビブラフォンで呼ばれることもあるそうです。

そして石若さんと共演したピアニストから聞いた話ですがコードのテンションも聞き分けられるらしく、間違ったテンションが少し入ってしまったときそれに気づいて指摘してくれたそうです。

耳がよくてピアノも弾けて作曲もできてしまう、ここまでマルチにできるドラマーはそうそういないので第一線で活躍する理由がよくわかりますよね。

今回はそんな石若さんが参加しているアーティストやアルバムをポップス編とジャズ編とで分けて紹介してみようと思います。

参加作品(ポップス編)

米津玄師「感電」

ドラマの主題歌にもなった米津玄師さんの「感電」という曲です。この曲の間にドラムがフィーチャーされている部分もあり、一目置かれているのかと勝手に想像してしまいます。

この曲がきっかけなのかこの後の曲も参加しています。

くるり

今は正式なサポートメンバーとして加入しています。個人的にくるりは好きなバンドなので石若さんがメンバーとして参加しているのは嬉しいですね。

本人もくるりで叩けたらなーみたいなことを十年くらい前に言っていました。それを実現させているので夢がありますね。

millennium parade「Fly With Me」

Millennium Paradeというバンドは聞いたことがある人が多いかもしれません。むしろ知っている人が多数かもしれませんがKing Gnuの常田大希さんが率いるちょっとコアな音楽ファンに向けたバンドです。

それに正式メンバーとして活動しており、King Gnuの勢喜遊とのツインドラムで2021年の紅白歌合戦にも出演されていました。

この曲は攻殻機動隊というアニメの主題歌になります。アニメといっても話が相当シリアスで頭を使ってみるような大人向けのアニメで、曲もかっこいいです。

マハラージャン

今はまだテレビで見てはいないですがマハラージャンというアーティストのレコーディングに参加しています。

ベーシストOkamoto‘sのハマオカモトさん(浜田雅功さんの息子)とのリズムセクションのタッグでグルーヴありテクニックありで石若さんのいい部分がよく出ているなと感じさせる楽曲が多いです。

曲のタイトルやビジュアルに先に目がいってしまいますが歌詞や音楽そのものも説得力があるので先入観なく聴いてみると面白いです。

参加作品(ジャズ編)

Boys

元日野皓正バンドメンバーであるピアノの石井彰さんとベースの金澤英明さんとのトリオ。活動としては10年目を迎えて深みを増しています。

音楽的にはフリーのような部分もあり、日野さんのバンドで培った音楽がここにもあります。

魚返明未「はしごを抱きしめる」

石若さんと同じ芸大出身であるピアニストの魚返さん。私のバンドでも弾いていただいているのですが、ウイントンケリーやレッドガーランドをルーツにコンテンポラリーなサウンドやアバンギャルドなプレイまで幅広く対応できて今注目のピアニストの1人です。

アルバムではテクニカルな部分もですが音楽的な部分や音色の部分で石若さんをメンバーに呼んでいると思います。

渡辺翔太「Falky Talky」

渡辺さんも今注目されているピアニスト。コンテンポラリーもR&Bも一級品です。このアルバムの曲もニューヨークのようなサウンドになっていたり、日本人が聴いてもスッと飲み込めるようなアレンジがなされていたりします。

このバンドでは曲が難しいものがいくつかあってテクニカルな部分を結構楽しめます。ポップスでは抑えないといけない部分があったりしますが、ここでは石若さんのアグレッシブな部分が全面に出ているのでCDやライヴでチェックしてみたいですよね。

Banksia Trio

ベースの須川崇志さんのバンドです。ピアノは渡辺貞夫バンドのメンバーである実力派の林正樹さんとのピアノトリオです。

音楽的にすごくナチュラルなサウンドで美しかったりするのですが少し抽象的な面もあるので芸術性を含むピアノトリオです。

これもまた難しそうなコンセプトで音楽をしているのですが石若さんのプレイもすごく自然です。

須川さんとライヴの打ち上げでお話しした時に「駿がいるからできる」とおっしゃっていたので音楽的に相当信頼されているんだなと感じました。

Banksia Trioはこの間ドラマのテーマソングも担当しており、アメリカのジャズボーカリストグレッチェンパーラートも参加していました。リアルタイムでドラマを見ていたんですが音楽がよくてドラマの内容が入ってこないくらい耳を傾けてしまいます。

現在参加しているバンドやアルバムを紹介しましたがこれは氷山の一角ですので気になった方はぜひ調べてみてください。

次回はそんな石若さんがどうやってここまで活躍してきたのかを過去の石若さんの軌跡をたどりながら私目線で語っていこうと思います。



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野澤宏信 1987年生。福岡県出身。12歳からドラムを始める。2006年洗足学園音楽大学ジャズコースに入学後ドラムを大坂昌彦氏、池長一美氏に師事。在学中には都内、横浜を中心に演奏活動を広げる。 卒業後は拠点をニューヨークに移し、2011年に奨学金を受けニュースクールに入学。NY市内で演奏活動を行う他、Linton Smith QuartetでスイスのBern Jazz Festivalに参加するなどして活動の幅を広げる。 NYではドラムを3年間Kendrick Scott, Carl Allenに師事。アンザンブルをMike Moreno, Danny Grissett, Will Vinson, John Ellis, Doug WeissそしてJohn ColtraneやWayne Shorterを支えたベーシストReggie Workmanのもとで学び2013年にニュースクールを卒業。 ファーストアルバム『Bright Moment Of Life』のレコーディングを行い、Undercurrent Music Labelからリリースする。 2014年ニューヨークの活動を経て東京に活動を移す。現在洗足学園音楽大学の公認インストラクター兼洗足学園付属音楽教室の講師を勤める。