ドラマー野澤宏信の運命の1枚 最初に聴いたジャズのアルバム「Night In Tunisia」

今回は個人的な回になりますが、私こと野澤宏信が初めて聴いたジャズのアルバムのご紹介と当時の思い出を振り返ってみようかなと思います。

ではさっそく。

 

初めてジャズにふれたのは中学3年生のときです。

当時通っていたドラムスクールの先生から参考としてカセットテープ(懐かしいですね!)と譜面を渡され、初めて演奏したジャズの曲がカウント・ベイシーの”Bassie – Straight Ahead”でした。

この頃の自分はJ-pop、J-Rockしか聴いてなかったので初めて聴いて演奏したジャズについて「なんじゃこりゃー!」という感覚を持ったのを、今でも覚えています。

シンバルレガートの2,4拍目が頭に聞こえてずっとリズムが裏返ってたり、3拍フレーズにてこずって先生に怒られるというとこまで鮮明に覚えています。

それでもこのときはこういう未知のジャンルがあるのを意識したくらいで特にジャズにハマったというわけではありませんでした。

その後実際にハマるきっかけになったのは父が持っていた1枚のアルバムに出会ってからです。

家のCDラックにはいくつかジャズのアルバムがあり「今なら少しジャズ聴けるかもしれない」という興味本位でたまたま手にとったアルバムが「Art Blakey And The Jazz Messengers A Night In Tunisia」でした。

「Art Blakey And The Jazz Messengers A Night In Tunisia」

アルバムトラック

  1. A Night In Tunisia
  2. Sincerely Dianna
  3. So Tired
  4. Yama
  5. Kozo’s Waltz

パーソネル

  • Art Blakey(Drums)
  • Wayne Shorter(T.Sax)
  • Lee Morgan(Trumpet)
  • Bobby Timmons(Piano)
  • Jymie Merritt(Bass)

最初にジャズを聴いたときの反応

父の持っているオーディオ機器が充実していたというのもありBOSEの巨大スピーカーから爆発するようなシンバル音が真っ先に聞こえた時には体がビクッ! と反応しました。

それからは滝が流れているかのような爆音でドラムソロが繰り広げられここで完全に心を掴まれます。

ドラムソロの後は他にも色々な楽器が聞こえてきて、何をやっているかよくわからないけれどすごいの始まりそう、みたいなのは感じとっていたと思います。

サックスソロやトランペットソロはどう思っていたのか覚えていませんが曲の途中にドラムソロがまた繰り広げられてエアドラムで真似しようとしていました。

それでもやっていることが全くわからず手を止めてまたひたすらドラムソロに耳を傾けていました。

「意味がわかんないけどなんかすごい!」これが初めてジャズをちゃんと聴いた時の第一印象です。

チュニジア以外の曲も好きだった

“A Night In Tunisia”は繰り返し何度も聴きましたが他にも魅力を感じた曲が”So Tired”です。当時の感覚を思い出すとオシャレで大人のカッコよさを感じて何回も聴いていました。

他に似ている曲だと”Side Winder”とかも同時期に聴いたのですがそれより”So Tired”のほうに魅力を感じていましたね。

他の曲はタイトルは覚えていないですが何度もアルバムを聴くうちにテーマのメロディはなんとなく口ずさめる程度に覚えていきました。

改めて今このアルバムを聴き直す

今このアルバムを聴いてみるとどういう気持ちになるか気になったので改めてじっくり聴いてみました。

当時思った印象は割とそのまま残っていて不思議なことにこの曲のこの場面でこういうコンピングがくるみたいなのは鮮明に覚えているものですね。

そういう昔の思い出に加え今までわからなかったことや当時聴こえなかった音が鮮明に聞こえるようになっていて頭の中でリマスターされた感覚になりました。

当時わからなかったアートブレイキーのソロも今聴けばフレーズや手順が手に取るようにわかるので自分も前よりジャズのことがわかるようになって進歩しているんだなーと感じます。

たまに昔聴いていたアルバムを聴き直すのもいいですね。

色々わかるようになった今でも結局のところアートブレイキーすごいな、という印象は変わらず、豪快なドラムソロは真似して演奏しても再現できないほど素晴らしすぎます。

最初に聴いたものは自分のルーツになっていた

当時このアルバムを聴いた後はアート・ブレイキーの別のアルバムを聴いてみたり、リー・モーガンをたどってマックス・ローチにたどり着いたり、そこから派生してたくさんのミュージシャンの演奏を聴いていました。

こういうふうにしてジャズの世界を開拓することがよかったのでしょう。あまり意識していませんでしたがこの時期に聴いていたジャズが自分のルーツになっている気がします。

今もさまざまなアルバムを聴いたりしますが、この時代に聴いた曲のほうが強烈に心に残り、そして、その演奏の細かな部分まで色あせることなく脳内に保管されています。

皆さんの最初に聴いたジャズのアルバムはどんな1枚でしたか? もしかしたら知らないうちに自分の音楽的ルーツになっているかもしれませんよ。



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野澤宏信 1987年生。福岡県出身。12歳からドラムを始める。2006年洗足学園音楽大学ジャズコースに入学後ドラムを大坂昌彦氏、池長一美氏に師事。在学中には都内、横浜を中心に演奏活動を広げる。 卒業後は拠点をニューヨークに移し、2011年に奨学金を受けニュースクールに入学。NY市内で演奏活動を行う他、Linton Smith QuartetでスイスのBern Jazz Festivalに参加するなどして活動の幅を広げる。 NYではドラムを3年間Kendrick Scott, Carl Allenに師事。アンザンブルをMike Moreno, Danny Grissett, Will Vinson, John Ellis, Doug WeissそしてJohn ColtraneやWayne Shorterを支えたベーシストReggie Workmanのもとで学び2013年にニュースクールを卒業。 ファーストアルバム『Bright Moment Of Life』のレコーディングを行い、Undercurrent Music Labelからリリースする。 2014年ニューヨークの活動を経て東京に活動を移す。現在洗足学園音楽大学の公認インストラクター兼洗足学園付属音楽教室の講師を勤める。