フロント楽器に聞く、入りやすいジャズのイントロ

初心者がジャムセッションで緊張しがちな瞬間というのはいくつも存在するものですが、その1つとしてイントロの演奏というのも上位に挙げられるのではないでしょうか。

管楽器やボーカル(=フロント)であれば入る場所を間違えたらどうしようとか、リズムセクションであればこのイントロでちゃんと入ってもらえるかな、という不安は誰でも感じたことがあるでしょう。

まあ慣れてしまえばなんてことはないのですが、ジャムセッションへ行くとイントロでガチガチに緊張している初心者を見かけることは少なくないですよね。

というわけで今回はイントロに関して少し書いてみたいと思います。

ジャズのイントロとは

そもそもイントロというものは曲の導入部分であり、最終的にテーマへと着地するのなら本来どのような形式で演奏しても構いません。

イントロが美しいというと僕はこの曲を思い浮かべます。

夜明け前の静かな湖を想わせる出だしからドラマティックに美しく展開し、そして誰もが知っているMy Funny Valentineのテーマへと接続する素晴らしいイントロです。

イントロだけで1つのストーリーができてしまっているといえば言い過ぎでしょうか。

とはいえ、ジャムセッションで一緒に演奏する人の多くは初対面。

しかも演奏技術や経験の長さも異なる者同士が一緒に演奏するジャムセッションですから、ある程度の形式に則ったイントロを提示する方が無難です。

もしかしたら音楽的にはあまり面白くないかもしれませんが、曲が始まらないよりはマシですよね。

定番イントロとは

ある程度の形式とは言ってもいわゆる定番イントロというものはいくつも存在します。

ここでは多くのジャズスタンダード曲で使える最もシンプルなイントロのパターンをご紹介します。

1.テーマのラスト8小節をそのまま演奏する。

最もシンプルなイントロの付け方です。

8小節の間、普通にテーマを演奏しても構いませんし、アドリブでも結構です。

フロントがいる編成の場合で、あまりジャムセッションに慣れていないようであれば、ラスト8小節のテーマをシンプルに演奏してあげたほうがすんなり入ってくれるでしょう。

2.逆循環を利用する

前回記事のように逆循環が使える曲であればイントロを逆循環にするのもアリです。

逆循環の終わりでモチーフを繰り返すと終わりやすいと書きましたが、この手法をそのまま使うことができます。

コードチェンジがシンプルなため、下手をすると循環したままテーマに入れなくなるという恐れがありますが…。この音源のようにモチーフを使わずアドリブだけで乗り切るのは少し高等なテクニックです。

3.テーマの最後のIII-VI-II-V-Iを繰り返す

Days Of Wine And Rosesのようなパターンです。

ただし必ずしもIII-VI-II-V-Iになっている場合に限られたことではなく、例えばAlone Togetherなどのような場合もこのパターンが使えます。

このパターンの場合はテーマをそのまま、もしくはコードだけを演奏することが多いです。

上記3つが、そんなに難易度高くなく演奏できるイントロのパターンの一例です。

もちろんここに挙げた3つのパターンだけでは対応できない曲も多く存在しますが、大半の曲はこのやり方でイントロを演奏することができます。

その上シンプルとは言いつつも実際の演奏現場でもよく用いられる手法ですから、これを使うことによって初心者扱いされるということはまずないでしょう。

ただ、ジャムセッションでの演奏は相手の事情にも左右されるものです。

せっかくあなたが完璧にイントロを演奏できたのに、フロントが不慣れでうまく入ってもらえないこともあるかもしれません。

しかし、ジャムセッションでのミスはお互い様です!

笑顔で「もう一回やりましょう!」と言えると良いですね。



ABOUTこの記事をかいた人

金村 盡志(かねむら つくし)

1986年生まれ。中学生から吹奏楽を通してトランペットの演奏を始め、高校生からジャズに目覚める。その後、原朋直氏(tp)に約4年間師事し、2010年からニューヨークのThe New Schoolに設立されたThe New School for Jazz and Contemporary Music部門に留学。Jimmy Owens(tp)氏などの指導を受け帰国し、関東近郊を中心に音楽活動を開始。金村盡志トランペット教室でのレッスンを行いながら、精力的に活動を続けている。