圧倒的な実力を持つ若手ドラマーOfri Nehemyaのライブに行ってみたら

こんにちは、野澤です。気がつけばもう12月。今年もあっという間ですね。おかげさまで年が明けるまで忙しくしております。

そんな今回は今年私が行ったライブで印象に残ったバンドを取り上げてみようと思います。

3/11 Ofri Nehemya Trio Live At 新宿ピットイン

今年前半ですがドラマーのオフリ・ネへミヤがリーダーで日本に来るというので行ってきました。かなり楽しみにしていたライブなので来日するのを知ってからずっと楽しみにしていました。

オフリネへミヤを知らない方のためにどんなプレイヤーか軽く紹介しておきます。

イスラエル出身、今はニューヨークを拠点にしている29歳(2023年現在)のドラマーです。

イスラエル出身といえばベースのアビシャイ・コーエン、オマー・アビタルをはじめギターのギラッド・ヘクセルマン、トランペットのアビシャイ・コーエン(ベースとトランペットに同姓同名のプレーヤーがいます)、ピアノのシャイ・マエストロなど多数のイスラエルのジャズミュージシャンが世界で活動しています。

私がニューヨークのニュースクールに通っていたときも、1/3くらいはイスラエルの方で、ジャズ教育は相当しっかりしているというのを聞いたことがあります。

イスラエルでは小さい頃からジャズに触れる機会が多く、3歳や幼少期からジャズをやっているという友達もいました。

そんな英才教育がいき届いているイスラエルで神童とまで呼ばれたドラマーがこのオフリ・ネヘミヤなのです。学生の頃の映像がYouTubeに上がっていたのをみて驚愕しました。

作曲も手掛けていてこの映像の曲も自身で作曲しています。20代前半ですがプレイも作曲内容も成熟しているのがわかりますね。

勢いだけでなんとかするのではなく確実なテクニックが見てとれます。

2013年か14年にニューヨークにきてからはシャイ・マエストロのバンドやベン・ウェンデル、ジェラルド・クレイトンなどコンテンポラリージャズの音楽で活躍していきます。

そしてこの数年間はサイドマンとしての活躍が目覚ましかったのでリーダーとして日本に来るのはかなりレアなライブです。

しかも私は生でオフリを見たことがなかったのでそれはテンション上がってしまいます。

YouTubeやSNSでその活躍は私も見ていて何度も繰り返して見るほどこのプレイに憧れていたのでそれを生で観賞できるなんてそれはもう楽しみで仕方ないのです。

少し変わった編成

今回のこの編成がちょっと変わっています。

  • Ofri Nehemya(Drums)
  • Tomer Bar(Piano)
  • Nitzan Bar(Guitar)

というトリオで来ました。そう、ベースがいなくてコード楽器しかいません。

こんなんで成り立つのかと心配してしまいそうですがここ数年ベースレスのバンドが増えてきました。

きっとこういう編成で来るんだろうと思ったらまさにその通り。

ギタリストがメロディやソロをとっているときはピアニストがベースを担当してピアニストがソロを取る時はギタリストがベースに回るという方式です。

ピアノのニッツァン・バーはシンセベースを使ってがっつり左手でベースを担当していましたがピアノで強力なコンピングもしていました。

ギターのトマー・バーのベースラインもかなりベースらしい太い音を出していましたね。

ちなみにニッツアンバーとトマーバーは兄弟です。それが理由なのかこの2人のコンビネーションがとてもよくスムーズでベースの担当が変わった時も全く違和感がありません。気づいたら入れ替わってるのでベースレスな感じがしないトリオでした。

圧倒されるオフリの音

実際にオフリ・ネへミヤを生で見てみた感想ですが想像していた10倍くらい圧倒されました。何に圧倒されたかというとダイナミクスと音色の使い分け。

ライブ中のダイナミクスは強弱記号でいうmpくらいで叩いているような感じがするのですが、その音の密度やスピード感が凄すぎて1音1音存在感があります。

ギターやピアノのソロ中で綺麗なドラムの音で空間が満たされているのでとてもリッチなバンドサウンドでした。

動画ではその満たされている音だけが強調されるので、音が大きいドラマーなのかなと思いきや実際はバンドの音量レベルをコントロールできるドラマーと改めて知ることができてよかったです。

繊細ですが躊躇することなく笑顔で複雑なリズムを次から次へと叩いていきます。聴いている側も何が起こっているか喰らいつくように見入っていく。音楽を共有している感じがたまらなく最高でしたね。

自身のドラムソロパートもしっかり曲の中に盛り込んでいました。ドラムソロでも圧倒的にずば抜けたテクニックを目の当たりにし、オフリを聴きたかった私にとっては大満足のライブでした。

曲がいい

曲はコンテンポラリージャズですが聴きやすくてライトに聞けるようなメロディラインになっています。

メロディはポップだけどコード進行やリズムは複雑にしていろんな仕掛けを曲に入れているのでテーマを聴いただけでこれから面白いソロが展開されそうとワクワクしました。やっぱりジャズはテーマが大事ですね。改めて曲の明快さが大事なのかを感じました。

オリジナル中心のライブでどれも魅力的な曲ばかり。曲が終わるたびに拍手喝采の大盛り上がりでした。

そんな中最後から2曲目はジャズスタンダードのバラード”Spring Can Really Hang You Up The Most”をしっとりと大人の演奏。

あれだけオリジナルで盛り上がったのにバラードではしっかりジャズのいいところをついてくるとても憎くて粋なことをやってきましたね。。

また選曲がマニアックなものでとても素敵なバラードなんです。演奏内容も心が浄化されるようなピースフルな気持ちになりました。

ライブのラストは”Just Say’n”でこのトリオの限界まで盛り上がり終演。

本当に生でしか味わえない音で圧倒されるこの空間。動画で見て彼を知った気になっていましたが想像していた何倍もよくて感動しました。やっぱりライブは生で観ると最高ですね。

ちなみに来日初日の演奏でしたが変拍子ばかりの曲しかないのにメンバー誰1人譜面を見ていないという。。

譜面台すらなくてやっぱりニューヨークのミュージシャンはこうだよなというのを思い出しました。音楽に対する意気込みもそうですがむしろツアー前には覚えるのがマナー的なところもあります。

しっかりお土産も買った

当日は先行販売で今度リリースするアルバムが置いてありました。感動が冷めないうちに買っておこうと思いなんとかゲットしてサインまでもらって完全にミーハーですね(笑)。

今ここでCD情報のリンクを貼ろうかと思って売っているところを探したんですがまだ売ってない(2023年12月現在)。。サブスクにもまだないのでこの時買っておいてよかったと思いつつもご紹介できないのが残念です。

4曲収録されていて今回のライブでやった曲全て収録されていました。しかもいい音でレコーディングされて演奏内容もライブかのように攻めていてこれを聴けばこのライブのことを毎回思い出せます。

発売されれば注目必至なのは間違いないので聴いてみたいと思ったかたはぜひ楽しみに待っていてください。

というわけで今回は今年印象に残ったライブをご紹介しました。来年も時間を作って積極的に音楽の感動体験を味わいたいものです。



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野澤宏信 1987年生。福岡県出身。12歳からドラムを始める。2006年洗足学園音楽大学ジャズコースに入学後ドラムを大坂昌彦氏、池長一美氏に師事。在学中には都内、横浜を中心に演奏活動を広げる。 卒業後は拠点をニューヨークに移し、2011年に奨学金を受けニュースクールに入学。NY市内で演奏活動を行う他、Linton Smith QuartetでスイスのBern Jazz Festivalに参加するなどして活動の幅を広げる。 NYではドラムを3年間Kendrick Scott, Carl Allenに師事。アンザンブルをMike Moreno, Danny Grissett, Will Vinson, John Ellis, Doug WeissそしてJohn ColtraneやWayne Shorterを支えたベーシストReggie Workmanのもとで学び2013年にニュースクールを卒業。 ファーストアルバム『Bright Moment Of Life』のレコーディングを行い、Undercurrent Music Labelからリリースする。 2014年ニューヨークの活動を経て東京に活動を移す。現在洗足学園音楽大学の公認インストラクター兼洗足学園付属音楽教室の講師を勤める。