JAZZ(ジャズ)スタンダードってどんな曲?

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「ジャズでオススメの曲は」とジャズファンに話すと、きっとたくさんの名曲を教えてくれると思います。

リスト化したエクセルデータを送ってきてくれた、なんて話しを聞いたこともあるくらいです。

なにせジャズファンは数が少ないので、興味を持ってくれた人がいるとうれしくてしかたなくて。過剰とも思えるサービスをしてしまうんです。

何を隠そう、この記事を書いている私も、30曲からなる初心者用オススメプレイリストを10回は作っています。

そんなプレイリストの中に、ほとんど確実と言ってもいいくらい入ってくる曲があります。

それが、今回のテーマ「ジャズスタンダード」です。

非常に簡単に説明するならば、ジャズでよく演奏する曲のことをジャズスタンダードと呼ぶことができます。

それだけでは分からないところがたくさんあると思うので、順を追ってご説明します。

ジャズスタンダードに明確な基準はない

スタンダードなんて大仰な言葉がついているので、なにか認定機関でもあって、審査委員会が毎年「これがジャズスタンダードです」なんて発表しているような印象ですが、実際は違います。

これがスタンダード、という明確な基準は存在しません。

ほとんどの場合、ジャズミュージシャンたちがジャムセッションやライブでよく取り上げる曲がスタンダードと呼ばれます。

え、じゃあどうやってスタンダードって決まるの、と思いますよね。実際には、ジャムセッションやライブのリクエストで、ポンと曲名を出してなんの問題もなく演奏が始まったら、スタンダードと呼んでもいいのかな、と考える基準になります。

巷間に流布する形で広まっていく、というのもジャズならではのおもしろところです。

「Feel Like Makin` Love」なんて、最近ではスタンダードと呼んでいい曲ですが、それは10数年前くらいから。

ほかの曲がスタンダードの扱いになったときよりも、随分最近に感じます。

譜面集にのっている曲、全てがスタンダードという訳ではない

セッションなどでよく使う譜面集にのっているものはスタンダードなのではないか、と聞いたことがあります。

それは無理!

なぜなら数百ページあるから! 現在主流のジャズスタンダードバイブル(通称:黒本)は、大体1ページに1曲で250ページ以上あります。

ロでもそこまで暗譜している人はいないんじゃないかな…。

ということで、譜面集にのっている曲が全てスタンダードではありません。

そもそも、この譜面集はあなたが聴いている曲と同じver.とは限りません。

ほかの譜面集を見ると微妙に違うことも。

譜面集は絶対ではない、ということは覚えておいて損はないと思います。

現在スタンダードと呼ばれる曲にはミュージカルから選ばれたものが多い

そして、現在ジャズスタンダードに数えられる曲の多くは、1900年代のミュージカルから選ばれたものが多いという特徴があります。

たとえば、Mack The Knife (別名Moritat)これは、「三文オペラ」というミュージカルで歌われる曲です。

映画化もしている有名なミュージカルなので、一度見てみるとおもしろいですよ。

ほかにも、サウンドオブミュージックからマイフェイバリットシングス、オズの魔法使いからオーバーザレインボウ、など。

挙げるとキリがないほどです。

ジャズが大流行だった1920〜60年代あたり、ミュージカルは大衆娯楽の中でも圧倒的な人気を博していました。

そこで、当節流行のミュージカルの曲をジャズアレンジして演奏することで、リスナーの評価を得よう、という思惑が働いていたようです。

現在同じことをすると、著作権の問題でいろんな団体が光りの速さで集金にすっ飛んできそうですが、時代、というものですね。

そんなこんなでジャズスタンダードにはミュージカルの曲がたくさんあります。

もしもミュージカル好きの方ならば、すきな演目の曲をジャズで演奏していないか探してみましょう。

意外とたくさん、見つかるかもしれませんよ。



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FM小田原にて毎週火曜 夜7時から1時間のJAZZ専門ラジオ番組「JAZZ ROOM」のラジオパーソナリティを担当。モジカル前身のジャズ専門サイト・CDショップ「AOI JAZZ」の企画をしました。