プロのジャズドラマーがオススメするベーシスト5選

今回はドラマーである僕が、ジャズドラムのプレイヤーではなくジャズベーシストをご紹介したいと思います。

ロック・ポップスだと始めるのになかなか選ばれにくいベースですが、ジャズでは楽器がウッドベース(コントラバス)になり、大きくて目立つのでジャズ=ウッドベースのイメージがある方も多いと思います。

特に、昔の日本のcmで見るイメージがこういうものであったりするので、世代の人は納得しますね。

そして、実はベースとはバンドの中でもっとも音楽を動かす存在。

ベースがコードの音を鳴らさなければバンドが崩壊するほどの破壊力があります。

逆に言えば、コードを支配しようと思うとみんながベースの演奏通りに弾かざるをえなくなります。

また、みんなが演奏しやすいように音楽を進めていくこともベーシスト次第です。

いいベーシストというのはだいたい後者ですかね。

さて、もちろんベーシストとドラムの関係もとても大切です。ドラマーはベーシストと一緒に音楽の流れとグルーヴを作っていくので切っても切れないバンドの屋台骨となる存在です。

いいベーシストのリズムと合わせるとドラマーとしてはとても気持ちいいですし、ずっと叩いていられます。

そんな強力な楽器を操るプレイヤーが世の中にはゴロゴロいるわけですが、今回はドラマー目線で今オススメしたいベーシスト5人をご紹介します。

クリスチャン・マクブライド

今はベーシスト界の重鎮と言ってもいいクリスチャンマクブライドです。

喋る声もなかなかいいボイスですがベースの音も低音がどっしりしていて太いサウンドがしています。

さらにサウンドに高級感があるので、個人的にロールスロイスのイメージですが、演奏を聴いていると本当に高級車に乗っているくらい気持ちいいのです。

プレイスタイルとしてはモダンなこともしますがトラディショナルなジャズが映えるベーシストです。

リーダー作としてもフュージョンのようなアルバム、フリーを取り入れたアルバム、ビッグバンドでのアルバムといろいろ作っています。その中でも個人的に好きなのはピアノトリオのアルバムですね。

クリスチャン・サンズ(piano)、ユリシス・オーエンス(drums)のピアノトリオのアルバムは素晴らしいのでクリスチャン・マクブライドを聴くならこのアルバムはぜひ抑えておきたいアルバムです。

オススメアルバム

絶対的に聴いておきたいマクブライドのピアノトリオのアルバムです。

バンドサウンド的にエレクトリックに仕上げています。そのサウンドに負けないくらい圧倒されるのパワフルさがマクブライドのウッドベースから出ています。

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Mack Avenue

王道ドストライクなビッグバンドのアルバムです。雰囲気も音楽も最高なのでオススメの1枚です。

ロン・カーター

ジャズファンのなかには、ロンカーターといえば過去の人のように感じる方もいるかもしれませんが、まだ2020年現在も現役バリバリです。

1960年代からマイルスバンドで活躍し、同世代のハービー・ハンコック、ウエイン・ショーター、トニー・ウイリアムスなどとさまざまなアルバムで関わっている、今や生きるレジェンドです。

プレイスタイルとしては伸びのあるベースラインが特徴的で、弦を弾いたアタックから次の音までが長い。

長いだけではなく音の減衰の仕方にもグルーヴがあるので出だしの音から最後まで気持ちよくつながっていく感じです。

重心も低いので地をはうようなベースラインでうねります。

音やリズムも特徴的ですがベースラインも特徴的です。綺麗なベースラインでつないでいくところもあれば跳躍してスリリングな部分もあったりします。

また、そういうアイデアをいいタイミングで出すのでやはりさすがだなと思ってしまいますね。

オススメのアルバム

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ユニバーサル ミュージック (e)

EMIから出ているアルバムです。日本人が好みそうなジャズスタンダード曲がたくさん収録されています。

リーダーはハービーハンコックですが、ロン・カーターの活躍も光る1枚です。

1曲目の“Riot”のイントロのベース部分だけで彼の特徴的な伸びのある音がわかると思います。

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ユニバーサル ミュージック (e)

3曲目の“Don’t Run”だけゲストで参加しているのですが、これだけでもいいのでぜひ聴いてほしいくらいです。ベースが入ってくる瞬間から凄さが伝わります。

ジョー・サンダース

今一番オススメしたいベーシストです。

知的でオシャレなジェラルド・クレイトンのピアノトリオでプレイしていたことから徐々に有名になっていきました。

彼の同世代のプレイヤーや少し上の世代ではジョー・サンダースを起用するプレイヤーが多くて、今や売れっ子のベーシスト! ではありますがクセが強いです。

ライヴ中、自分が弾かない場面が出たときはベースを下に置いてステージの地べたに座る時もありますし、長いドラムソロに入った時はステージからはけて控え室に行ってしまうときもあります。

それでも必ずいいタイミングで戻ってくるので問題はないのでしょうが、見てるこっちはヒヤヒヤしてしまいます。

日本人同士のプレイヤーでやったら即クビになりそうですが…。

そんなクセがあっても圧倒してしまう力がジョー・サンダースにはあるのでみんな一緒にプレイしたがるんでしょう。

グルーヴ感は瞬発性が高く、アップテンポの時にはどんどん前に突き進むような疾走感があります。

そして突き進んでいたと思ったら途中でソロに絡むようなフレーズを弾いたり、休符で間をとったりするのでいい意味で期待を裏切っていきます。

聴いている側はどんどん新しいことが起こっていくので面白いのですが、一緒にやっているプレイヤー側からすると振り回されているようで大変かもしれません…。

それでもしっかり音楽的にバンドが進んでいくので自分勝手にやっているのではありませんよ。

オススメのアルバム

自身のアルバムでしっかりジョー・サンダースがフィーチャーされています。あまりリーダーとして活動はしていないので、今回このアルバムでドラマーがエリック・ハーランドだったのは個人的に意外でした。

盟友のジェラルド・クレイトンのアルバムです。クレイトンとは長い間バンドをともにしているので演奏の息の合い方が恐ろしいくらいぴったりです。

メンバーの演奏がすごすぎてジョー・サンダースの活躍がなかなか浮き彫りにはなりませんが、メンバーのやりたいことがここまで自由にできるのにはやっぱり彼がうまくみんなをつないでいるからだと思います。

もちろんその中で自分のやりたいように自由にやっているのですごいですよね。

マット・ブリューワー

こちらのベーシストも今のジャズを支えるベーシストと言えるでしょう。

上記したプレイヤーたちよりはクセがないですが、むしろストレートに伸びてすがすがしい音でバンドの雰囲気をクリアに聴こえさせます。

コンテンポラリージャズのイーブンジャズをやっているものが多いです。

その中では曲の雰囲気を作るために音数を考えるのですが、そのプレイにセンスを感じます。

みんなを次の展開に導きながらしっかり低音で支えるところと高音でソリストと絡んで装飾したりするところなど気の利いた的確なプレイをします。

みんなやっていることですがスッと自然に聴こえてバンドがクリアに聞こえるのは、このマット・ブリューワーのなせる技なのでしょう。

なかなか言葉では表現しにくいのですが過度に飾らず、見えにくいところでみんなの演奏を際立たせるベーシストです。

今はアントニオ・サンチェス、ゴンザロ・ルバルカバ、SF Jazz Collective、ベン・ウェンデルなど、いろいろなメンバーのバンドに参加しているため、youtubeで探していると見つかる率が高いです。

ちなみにウッドベースもエレキベースもどっちもバリバリ弾くのでリーダーがやりたい音楽に幅広く合わせられます。

オススメアルバム

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Criss Cross

マット・ブリューワーのリーダーアルバムです。

本人のアルバムはどれも暗めなのでとっつきにくいかもしれませんが最初に聴くとしたらこのアルバムから聴くと聴きやすいかもしれません。

単純にこのアルバムの完成度が高いので間違いなしです。その中でも雰囲気のクリアな芯を出しているのはベースだと思います。

このアルバムではエレキベースも弾いています。

アプローチの仕方を楽器によって変えていますが、所々ウッドベースプレーヤーじゃないと出ないようなフレーズも混ざっているので面白いですね。

ハリシュ・ラガバン

インド出身のベーシストです。

他のベーシストと同じように強力という言葉が当てはまるんですが質感が違います。低音で最高の空気感を作っているんですが独特のリズム感とプレイスタイルです。

みんなが動きやすいように支えるというよりはソリストと同じように自由に弾いていて瞬間的に音楽を発展させています。

常に規則性がないように動いている印象がありますが、曲としてみんなと合わせる部分はしっかりおさえているので統一性はあります。そしてみんなのやっていることをわかった上で演奏しているのでバンド全体もまとまっています。

普通のプレイヤーからは敬遠されそうなプレイですが超人的なプレイヤーが集まれば複雑な演奏も面白さになりますね。

そして枠にとらわれないアイデアの使い方やベースラインが新鮮なので一緒にやるプレイヤーから好かれると思います。

オススメのアルバム

自身のリーダーアルバムです。

メンバーは今ニューヨークの若手で勢いがあるエマニュエル・ウィルキンス(Sax)、ジョエル・ロス(Vib)、ミカ・トーマス(Piano)、クエク・サンブリー(Drums)です。

ハリシュ自身どういうプレイヤーなのかアルバムの1曲目からソロベースで示してくれています。

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ユニバーサル ミュージック (e)

1曲目から特徴的なプレイをしています。

サックスのソロの時に自由に動いて元のコードからどんどん外れて違う世界に導いています。

もちろんソリストが元に戻りたいと思った時はすぐに察知して戻っています。

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コロムビアミュージックエンタテインメント

上にあげたクリスチャンマクブライドも数曲参加していますが、ハリシュ・ラガバンもメインメンバーとして参加しています。

王道なマクブライドに対してハリシュは自由なコードワークと独特のリズムで演奏しているのでそれぞれのプレイスタイルの違いも面白いところです。

今回は5人しか挙げていませんが他にもたくさんオススメのベーシストの名前だけでも挙げておきます。知らないプレイヤーがいたらぜひチェックです!

  • ジョー・マーティン
  • デイヴ・ホランド
  • ラリー・グラナディア
  • スコット・コリー
  • マット・ペンマン
  • ノーム・ウィセンバーグ
  • リンダ・オー
  • ジョージ・ローダー
  • リック・ロサート
  • オア・バラケット
  • アレックス・クラッフィー



ABOUTこの記事をかいた人

野澤 宏信

野澤宏信 1987年生。福岡県出身。12歳からドラムを始める。2006年洗足学園音楽大学ジャズコースに入学後ドラムを大坂昌彦氏、池長一美氏に師事。在学中には都内、横浜を中心に演奏活動を広げる。 卒業後は拠点をニューヨークに移し、2011年に奨学金を受けニュースクールに入学。NY市内で演奏活動を行う他、Linton Smith QuartetでスイスのBern Jazz Festivalに参加するなどして活動の幅を広げる。 NYではドラムを3年間Kendrick Scott, Carl Allenに師事。アンザンブルをMike Moreno, Danny Grissett, Will Vinson, John Ellis, Doug WeissそしてJohn ColtraneやWayne Shorterを支えたベーシストReggie Workmanのもとで学び2013年にニュースクールを卒業。 ファーストアルバム『Bright Moment Of Life』のレコーディングを行い、Undercurrent Music Labelからリリースする。 2014年ニューヨークの活動を経て東京に活動を移す。現在洗足学園音楽大学の公認インストラクター兼洗足学園付属音楽教室の講師を勤める。