ジャズドラマーなら知らないといけないジャズスタンダード曲25選

今回はジャズドラマーならおさえておきたい、ジャズスタンダード(ジャズでよく演奏される曲)をご紹介していきます。

ジャズスタンダードと言ってもたくさんありますが、今回はドラマーが聴いておきたいスタンダード曲というのをテーマにしています。

なぜスタンダードを知らないといけないのか

そもそもなぜスタンダード知ったほうがいいかというと、

  • 有名曲なので譜面がなくとも別のプレイヤーとすぐに演奏できる
  • はじめて聴くプレイヤーの演奏もすぐに楽しめる

大きくはこの2つだと思います。

スタンダードをお互い知っているとその場ですぐ一緒に演奏できますし、ライヴであっても当日リハなしで楽しく演奏できます。

もちろん、スタンダードではない曲であっても、知らなくても演奏できるときもありますがどういう曲か知らないと演奏中、先が読めなくて気が気じゃないのです。

それと他の理由としては自分の知らないプレイヤーの音源でもスタンダード曲が入っていればこの人のことを知らなくても音楽性をすぐに理解して楽しめます。

スタンダードを知っているおかげでプレイヤーに親近感がわいて、さまざまなミュージシャンの音楽を開拓できるので、ジャズをプレイするにも聴くにしてもスタンダードを知っておくとは大事ですね。

一応今回はプレイヤー目線で話を進めていきます。ドラマーが他の楽器の人と一緒に演奏できるようにスタンダードのレパートリーを増やしていきましょう。

知っていないと演奏できない曲の特徴

普段はセッションやバンドで曲をみんなで演奏する時「It Could Happen to You」や「酒バラ」などのスタンダードはドラマーは最悪曲を知らなくても曲の構成をA,A,B,AかA,B,A,Cのどちらかが曲を演奏する前にわかっていれば、多くのスタンダード曲はビートを刻んでいるだけで曲が成り立ってしまいます(本当はそれではいけないので知らない曲はしっかり聴き込んで自分のレパートリーを増やしていきましょう!)。

ですがスタンダードナンバーでもドラマーにスポットが当たるような仕掛けがあったり、スイング以外のフィールで演奏する曲もあったりするのです。

なのでなんとなくでスタンダードを演奏しようとしても知っていないと演奏不可能な曲が存在します。

  • スイングフィールじゃないラテンやサンバの曲
  • ラテンフィールとスイングフィールを行ったり来たりする曲
  • メロディのリズムと合わせてキメを叩く曲
  • 1コーラスが32小節じゃない曲
  • ドラムがフィーチャーされる曲

だいたい以上の項目に当てはまる曲はノリや根性ではどうにもなりません。

なのでこれらが含まれている曲でよくセッションなどで演奏される曲をまずはご紹介していきたいと思います。

ドラマーが聴くべきジャズスタンダード曲(初級編)

Alone Together

 

曲の構成としてはA,A,B,Aの進行ですがAの小説数が14小説という半端な数なので曲を知っていないと置いてきぼりになりがちな曲です。

どこをやっているのか見失うことをロストすると言いますが、ドラマーがロストしてしまうとバンドが急にバラバラになっていくのでロストはかなり危険です。

そのロストする要素がこの曲の構成には秘められているのでテーマのメロディを覚えたりソロをよく聴いてこの曲の理解を深めていきましょう。

Route 66

ヴォーカルの人がよく好んで演奏する曲です。普段ブルースは2コーラステーマやればソロですが、この曲では4コーラスやります。そして3コーラス目だけブレイクで止まる部分があるのでここを忘れず覚えるようにしましょう。

Blue Bossa

テーマが16小節からできているボサノヴァの曲で、よく演奏されるスタンダードの1つです。比較的ゆったり演奏されるボサノヴァの中でも、遅くてもテンポ160以上で演奏することがほとんどなのでしっかりボサノヴァのパターンを練習しておく必要がありますね。

それと13、14小節目にタッター、タッターとリズムをみんなで演奏するキメがあるのでそれも聴いて欲しいところです。

Straight No Chaser

ブルースの曲です。テーマのメロディのリズムがトリッキーで分かりづらいので何度も聴いて覚えたいメロディですね。

何回聴いてもわからないときはリアルブックなどのスタ本を見てメロディのリズムをスネアで叩いてリズムの感じを覚えるといいですよ。

エンディングも、よくやる演奏方法がいくつかあるのですが上のyoutubeのリンクにある音源の終わり方がよく使われるのでそれも要チェックです。

Someday My Prince Will Come

ディズニーの名曲をカバーしたものです。

誰もが知っている曲ですがちゃんとしたジャズスタンダードとなっています。仕組みとしては3拍子のワルツなので、3拍子の基本をおさえておく必要があります。

あとはマイルスがレコーディングしているこの曲のイントロがよく使われるので、これも聴いてできるようにしておくとさらにいいです。

 Cherokee

テンポの速い曲の代名詞といえばこの曲です。身体的に、速くシンバルの4ビートが叩けるテクニックが必要となります。

まずは再生速度を少し落として、ゆっくりしたテンポで練習を始め徐々に慣れていきましょう。

A,A,B,Aの進行の曲ですが64小節と長いです。

特にテーマ部分でキメを合わせるところはないですが、テンポが速いというところではドラマー泣かせなのでぜひ練習して準備しておきたい1曲です。

エンディングの部分はクリフォード・ブラウンのオリジナルテイクでやることが多いので最後までしっかりオリジナルテイクを聴いておきましょう。

Cute

普段はここまで速くはやりません。下の大野雄二さんがやっている感じで演奏することが多いです。

この曲はよくドラムをフィーチャーするのに演奏されるスタンダードナンバーです。

テーマのメロディとメロディの合間にドラムソロが挟まるようになっているのでこれを知らずに演奏するとその場が変な空気になってしまいますので気をつけましょう。

2小節でメロディとドラムソロとを行ったり来たりするので最初は何か事前にソロを考えておくかその場でできるソロフレーズをいくつか持っているといいですね。

原曲やいろんな人がやっているものを聴いてみると参考になると思います。

英語での説明になりますが、ドラムソロのアイデアの取り方をダニー・ゴットリヴが説明してくれているのでこれも見て研究すると参考になりそうです。

St.Thomas

カリプソというフィールで叩く曲です。ボサノヴァのリズムやアフロキューバのリズムパターンとは一味違うので聴いてできるようにしたいフィールですよ。

特にこういうリズムを演奏できないと、一緒にやっているプレイヤーからは「なんか違うんだよな。だけどどう違うのかわからないから伝えられない。。」と思われているパターンもあります。

しっかり音源を聴いてパターンの仕組みを解読しておきたいところです。

最後の4小節はメロディと合わせるのでここもメロディのリズムをしっかり聴いて研究しましょう。

Beatrice

割と最近寄りなサウンドがするスタンダードナンバーです。ゆったりな曲ですがコード進行の響きが他とは違うので何回も聴いて聴き慣れたい1曲です。

これも後半のメロディのリズムに合わせてキメをみんなで演奏するので覚えておきたいところです。

この曲はたまに7拍子で演奏しようと言ってくる人もいるのでそれも練習できてるといいですね。

Work Song

マイナーブルースの曲です。テーマの最初からリズムセクションはキメを演奏するのでここは覚えておきたいポイントです。

キメの後スイングフィールに入るのでここでしっかりドラムフィルを入れてあげるとポイントをついた演奏になります。

ニーナ・シモンやグラント・グリーンの音源が有名なのですがかなり泥臭い演奏です。こういう渋い雰囲気が出るようになりたいですよね。

ドラマーが聴くべきジャズスタンダード曲(中級編)

ここからはさらに、ドラマーにより高い技術力を要求される曲を紹介ていきます。

少しレベルが高いセッションではやったりするのでジャズに慣れてきた人はぜひ挑戦していきたい曲になります。

 Con Alma

ジャズトランペットの大家、ディジー・ガレスピーの曲です。

日本のセッションで演奏される頻度は低いですが、私がニューヨークにいた頃はかなり演奏していました。

この曲でいちばんおさえておきたいポイントはリズムです。

オリジナルではイーブンの8分系のラテンですが、セッションでは上のオスカーピーターソンのバージョンで演奏されることがほとんどです。

最初のA,Aは6/8のアフロのリズムでBがスイングの4ビートです。6/8のフィールのパターンは知ってないと演奏できないのでドラマーとして覚えておきたいリズムですよね。

曲としてはきれいな曲なので練習する時は曲の雰囲気を出せるよなソフトな音色で叩く練習が必要です。

Four

これもまたマイルスのテイクが有名な曲です。構成はA,B,A,Cスイングフィールですが曲の入りからメロディと合わせるように2,4拍目の裏のキメをみんなで合わせます。

ずっとシンコペーションでつないでいって表拍がないので、よくカウントしていないと見失ってしまいがちな曲です。

これもまずはスピードを遅くしてテーマのリズムを理解できるように聴いてみましょう。

I’ll Remember in April

よくセッションなどで演奏される曲の1つです。構成がいつもと違うのでまずはそこの違いを聴いてみましょう。

最初はラテンフィールを8小節、その後にスイングフィールに変わるのでドラマーとしてはその変わり目がどうなっているのか聴きどころです。

自分のレパートリーにするならしっかりそこの切り替わり(トランジション)を練習しておきたいポイントとなります。

Oleo

これもよくセッションなどで演奏される1曲です。

リズムチェンジ、またの名を循環とも呼びますがこれは一定のコード進行で進むことを指します。

このコード進行を使った楽曲は他にもありますが、ジャズでよく演奏される理由としてはこのコード進行がチャレンジングで、いわゆる「II -V」フレーズであるジャズの要素が詰まっているからですね。

ドラムは特にコード進行にしばられることはないですが、他の楽器の人たちは抑えざるをえないコードチェンジなので演奏する頻度は高いです。

その中でもOleoはダントツで演奏される頻度が高いのでかならず覚えておきましょう。

この曲はメロディとユニゾンで叩いたり、シンバルのビートやコンピングをメロディに合わせて叩いたりすることで曲とバンドの一体感が出ます。なのでこれもメロディのリズムをしっかり聴いて覚えたい曲ですね。

Del Sasser

聴いただけでわかると思いますがこれもキメが多い曲です。

この曲の場合はメロディと一緒にキメるのではなくコールアンドレスポンス形式で最初はキメを演奏します。

なのでピアノ、ベース、ドラムが一体となって演奏するのでリズムセクションをっしっかり聴けるようにするといいですね。

構成はA,A,B,Aの曲でAはキメだらけなのでできたらリードシートを見ながら聴くとわかりやすいと思います。

曲自体はセッションであまりやられないですが、バンドとかになると練習しがいがあるのでやりそうな曲です。

Moment’s Notice

コルトレーンが作曲した難曲の1つです。

この曲も、ドラマーはテーマのメロディに合わせて叩く曲です。

ですが、メロディに合わせるだけではなく、メロディの合間にフィルインを入れるように叩きます。

そこらへんをドラマーのクインシー・デイビスが分かりやすくやっているので是非チェックです。

曲の進行も少し特殊です。

イントロやテーマ終わりにはウタッターというキメがあるので、それをリズムセクションで合わせていくというのを頭に入れて聴いてみましょう。

ドラマー以外は他にもコード進行で大変になる曲ですのでしっかりサポートできるようになりたいですよね。

A Night In Tunisia

セッションでやることは少ないですがこれは単純にジャズドラマーとしておさえておきたい曲です。

アート・ブレイキーのラテンのリズムはすべてのジャズドラマーのバイブルです。

真っ先に耳に飛んでくるシンバルの音の鋭さの感じや、アフリカのリズムを象徴する太鼓のリズムが聴きどころになります。

ラテンビートの手順や手足のコンビネーションはそもそもが難しいですが、目標とするものはこれにしたいので是非聴いてジャズのエッセンスを取り入れたいですよね。

Stable Mates

作曲家としても評価の高いサックスプレイヤー、ベニー・ゴルソン作曲のスタンダードナンバーです。

この曲は日本でもアメリカでもスタンダートとしてよく演奏される曲です。

これも構成が少し特殊でA,B,Aとなります。そしてAセクションが14小節と半端なのでコード進行やメロディの感じを覚えてないとソロに入った瞬間どこをやっているのかわからなくなってしまいます。

また、Aメロの10小節目をブレイクして11小節目からの4小節間はラテンのリズムになります。

なのでこれも頭に入れてまずは聴いてみましょう。これはテーマのときだけでソロのときはラテンにならずそのままスイングで演奏します。

最初は結構つかみづらい曲なのでたくさんテーマを聴いてメロディの感じを覚えておきましょう。

Daahoud

テーマ部分はほとんどキメだらけの曲です。メロディと合わせるところもあればリズムセクションでキメるところもありますし、メロディの合間にフィルを入れる場所もあります。

それだけでなくスイングで4ビートを刻むところもあるのでストップアンドゴーのような感じでスピード感がある曲です。

キメが難しいんですが理由としてはシンコペーションが多用されているので拍をしっかり感じながらキメを叩いて合間にフィルを考えるのが大変です。

まずはメロディを歌えるようになると少し叩くのが楽になるのでこれもメロディを覚えるようにしっかり聴いてみましょう。

Seven Steps To Heaven

これもマイルス・デイヴィスの曲で有名なスタンダードですね。

テーマの構成はA,A,B,Aです。Aセクションはメロディに合わせて叩く部分と、「Cute」みたいにドラムがフィーチャーされる場所があるのでそこをよく聴いてみましょう。

オリジナルはトニー・ウイリアムスが叩いているのでかなり参考になると思います。

イントロはドラム、ピアノ、ベースの3パートがそれぞれ違うリズムを演奏しているのでドラムの2ビートのようなリズムをよく聴いて真似してみるのがいいですね。

個人的おすすめスタンダード

Poinciana

この曲はスタンダードですがほぼ演奏されることがないです。ではなぜそれをおすすめするのか。理由はビートです。

この曲というよりジャズに大事なニューオリンズのセカンドラインのリズムの要素が入っています。

セカンドラインは4拍目にアクセントがきてリズムの重心が落ちるポイントです。4拍目を大事にできてないジャズドラマーはリズムがどんどんすべっていく感じに聴こえてしまいます。

現にジャズミュージシャン内でもこれは大事だよねと話にあがることがよくあるのでもし知らなければ聴いておきたい1曲です。

中でもアーマッド・ジャマルのポインシアナは最高です。

Deluge

この曲も同様に演奏される頻度は少ないですがリズムが大事な曲です。

単純にエルビンの出してるこのフィールが大事とも言えますが、一般的なスイングの感じとは一味違っているので言葉で説明するのが難しいタイプです。

シンバルのシンコペーションだったり、スネアやタム系のアクセントがイレギュラーかつ流れるように入ってくるのでそれを頭に入れて聴きたい曲です。

Black Nile

かっこいい曲なので知らなければ聴いてもらいたい曲です。

イントロからメロディに合わせてキメがあります。なのでこれも演奏するなら曲のリズムをおおさえておきたいですね。

テーマ部分はA,A,B,Aでアップテンポスイングです。

オリジナルは上の動画の感じですが

こういう風に現代的に演奏できる曲なので練習してレパートリーに入れたいところです。

Fantasy In D

とても鮮やかな曲で個人的にはキラキラした曲のイメージです。

オリジナルのタイトルはFantasy In Dという名前ですがUgetsuとも呼ばれています。

テーマはA,Aとインタールード(間奏的なもの)だけなのですがAの部分の2拍目裏にキメを入れるのが難しいです。

余裕ある人はキメの前に少しフィルを足してあげましょう。

現代を代表するピアニストの1人、アーロン・ゴールドバーグも演奏しているのでオリジナルだけでなくこれも必聴なテイクです。

Pent Up House

これもアップテンポのスイングです。

個人的に練習曲にしている曲で、右手はシンバルを刻みながらメロディのタタッタタに合わせてスネアとバスドラムでコンピングをつける練習をします。

これだけでも意外と難しいのでかなり練習になりますし、違う曲でもこのコンピングフレーズは結構使えます。

構成自体はA,B,A,Bなのでそこまで入り組んだ構成ではないのでこのメロディのリズムを注意しながら聴くといいと思います。

自分のレパートリーを増やしていくとジャズの面白さがわかる

これだけでも、数あるスタンダードの中のほんの一部です。

ドラマーはコードやメロディを演奏できないので、人と演奏するかCDと一緒に演奏することによってスタンダードのレパートリーが増えていきます。

知らない曲は積極的に構成を覚える、メロディを覚える、コードの響きを覚える、キメを覚えるということを事前に練習して、誰かか、CDと合わせて演奏してみるのがいいと思います。

いきなり曲を叩き出すのもいいですが、フィールを知ってないと成り立たない曲もあるので必ずオリジナルの音源を聴いてどういう風な叩き方をしているのか耳で理解するのが大事です。

自分なりに分析してどんどんレパートリーを増やしましょう。

一番最初に述べたようにレパートリーが増えていけば知っている曲をセッションやCDの演奏を聴いたときスッと頭に入ってきます。

そうすると自分がやらないようなアプローチやソリストの演奏に「いいね!」と心が反応するようになるので、一段とジャズが楽しくなるのでレパートリーは多ければ多いほどいいですね。

知らない曲はすぐタイトルを調べてオリジナルを聴く、練習するという流れを身につければ相当知っている曲が増えるはずです。

楽しくジャズを演奏したり聴けるようにいろんな曲を聴いてレパートリーにしていきましょう。



ABOUTこの記事をかいた人

野澤宏信 1987年生。福岡県出身。12歳からドラムを始める。2006年洗足学園音楽大学ジャズコースに入学後ドラムを大坂昌彦氏、池長一美氏に師事。在学中には都内、横浜を中心に演奏活動を広げる。 卒業後は拠点をニューヨークに移し、2011年に奨学金を受けニュースクールに入学。NY市内で演奏活動を行う他、Linton Smith QuartetでスイスのBern Jazz Festivalに参加するなどして活動の幅を広げる。 NYではドラムを3年間Kendrick Scott, Carl Allenに師事。アンザンブルをMike Moreno, Danny Grissett, Will Vinson, John Ellis, Doug WeissそしてJohn ColtraneやWayne Shorterを支えたベーシストReggie Workmanのもとで学び2013年にニュースクールを卒業。 ファーストアルバム『Bright Moment Of Life』のレコーディングを行い、Undercurrent Music Labelからリリースする。 2014年ニューヨークの活動を経て東京に活動を移す。現在洗足学園音楽大学の公認インストラクター兼洗足学園付属音楽教室の講師を勤める。