音楽教室を開くのにどうやって物件を選んだか実際の教室運営者に聞いてみる

音楽教室 開き方

音楽教室の物件探しのきっかけ

プロフィールにも書いてある通り、僕は金村盡志トランペット教室という「トランペット専門の音楽教室」をどうにかこうにか経営しています。

現在は町田駅の近くでやっていますが、去年の4月までは神奈川県の相模原市内にあった父の会社の事務所を間借りする形で運営していました。

まだ教室を開いてそんなに時間は経っていませんでしたが、引っ越すきっかけとなったのはちょうど1年前の3月下旬、父からの電話です。

「再来週、あそこ取り壊すから出てってくれ。」 耳を疑いたくなりましたが…、単純明快にして間違えようのないフレーズ。

今思い出しても悪夢としか思えません…。

なぜ教室を続けることにしたのか?

この時点で生徒さん1人ひとりに事情をお話しして、教室を畳むという選択肢ももちろんありました。

しかし細々とはいえ少しずつ軌道に乗り始めた矢先のことですから、ここでやめるのはなあと、そして何よりもレッスンをすることによって自身の成長に大きく役立っていたので何が何でも続けていきたいと考えました。

トランペットで悩める人たちのために! ではなく、主としては自分のためだったんです。

もちろんそれを満たすためには生徒さんに確実に上手くなってもらう必要がありますよね。

だから、僕の生徒さんにはありとあらゆる手段を提供しています。

いまのところ、満足していただけていると考えていますが、どうですか…(笑)?

さて、ちなみに当時からバイトとしてほかの音楽教室でも講師を務めていました。が、その会社はいろいろとアレなのでとてもあてにできませんでした。

そのため、一から物件探しなどを始めます。

多様化する音楽教室

音楽教室 開き方

音楽教室といえば一般的には先生の個人宅や決められた教室でレッスンをするという形態のものが主で、現在僕の音楽教室も同様に町田駅近くのビルの一室を借りています。

最近は「◯◯ミュージックスクール」という看板を掲げつつも、レッスンの際は貸しスタジオやカラオケで行うという業態のものがかなり増えたようです。

確かに賃料を最低限にでき、ランニングコストを抑えられるのは運営側からすれば大きなメリットです。

ただ、スタジオやカラオケというと、お子さんや女性が通うのにはちょっと…、という場所もあるのが事実で、実際に僕の教室に通っている生徒さんからもそれが理由で他の教室への入会を止めたという話も聞きます。

暗い雰囲気で、タバコ臭いスタジオへ通ってレッスンを受けるのは僕としても気が進みません。

トランペットを習うのですから第一に大事なことはレッスンの質であることに間違いはありませんが、やはり生徒さんの目線に立って考えると立地や環境も重要です。

そもそも自宅から出る必要すらないオンラインレッスンなんてものもありますが、生徒さんの生の音を聴けないのと同時に、こちらの音も生で聴かせられない。

よほど音質がよければ導入してもいいのかもしれませんが、そんな環境でレッスンをするというのはちょっともったいないような気がします。

しかし、遠隔地に住んでいるがどうしてもトランペットのレッスンを受けたいという方には大きなメリットとなるのは事実です。

そのため、今後の選択肢として大いに検討できることではあります。

音楽教室を設置できる物件探し

一方で固定の教室を持つのには多大なランニングコスト、そして立ち上げにもかなりのお金がかかります。

まず物件探しには苦労しました。

手頃な賃料で駅からも近く、そしてこれが最大のハードルとなるのですが「音楽教室としての利用可」という条件をクリアしなくてはいけません。

防音室を入れるから騒音はかなり抑えられますと説明しても、実際にはどれくらい音漏れするかを正確には提示できません。

また、万が一近隣からクレームが来てしまったら大きなトラブルとなることも。

そのため、不動産屋さんも慎重にならざるを得ないんです。

そもそも音楽教室利用可という物件であっても、駅から遠かったり家賃が高かったりと、なかなか条件に見合う物件は見つかりませんでした。

僕の場合は音楽教室利用可能物件ではなかったのですが、オーナーさんが大変理解のある方でしっかりと説明をしたところOKを出してくださいました。

入居してすぐにわかったことですが、教室の立地は小田急線の線路沿いでもともと騒音の激しいところで、夕方から深夜にかけて階下のスナックでは大音量のカラオケが。

こちらとしてはびくびくしながら営業を続ける必要がなく本当に大助かりです。

既に大きな音量で音楽を流すような業態の店舗が入っている、居住用やオフィスとしては騒音が気になって人が入りづらい立地(つまり線路沿いなど)という物件であれば、音楽教室利用可となっていなくとも、交渉の余地があるかもしれませんよ。

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そのほか、室内には水道ガスの設備がなく、トイレや給湯室は共用です。

それを見て一瞬、不便だなと思いましたが、そもそもそこに住むわけではありませんからこういった設備関係は部屋の内部になくとも全く問題ありません。

音楽教室の中で過ごす時間は生徒さんも講師もそんなに長くはないんです。

むしろ、下手に水道やガスの設備があるとどんなに利用頻度が低くともそれらの基本料金が毎月掛かってきます。

ランニングコストを下げるという観点からするとこれは大変ラッキーでした。

さらに言えば共用部分の掃除は用務員さんがほぼ毎日行ってくれるので清掃の手間からも解放されます。

ちなみに町田のジャズバーとして有名なInto The Blueは線路を挟んでほぼ向かいにあるという好立地(?)です。

まだ実際にやったことのある人はいませんが、レッスンをしてその足でInto The Blueのジャムセッションへという利用方法も可能です。

防音室選び

物件が見つかったら、次に防音室を探さなければなりませんでした。

ご存知ない方もいらっしゃると思いますが、防音室は、後から設置するタイプのものがたくさんあるんです。

僕の場合、予算が限られているので当然中古品です。

いつもだったらネットオークションで辛抱強く探すのですが、今回はそうも言ってられません。

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中古防音室コーナーのある島村楽器川崎ルフロン店を訪れたところ、3畳でDr-35のアビテックスがお手頃な値段だったので即決しました。

当時Dr-35という数値の意味がよく分からなかったのですが、防音室内の騒音をその数値だけ軽減するという意味だそうです。

この数値だと室内でトランペットを吹くと防音室の外までは漏れますが、鉄筋コンクリートの建物の壁を挟むと耳をすまさなければ聞こえない程度まで軽減できます。

まわりの騒音が激しい環境であることを考えると、もう一段階性能が低く安価なDr-30でも良いかも、とも今では思います。

防音室の配送、組み立てにはそれなりの費用が掛かりましたが、こればかりは自力ではどうにもなりませんでした。

室内の改装

予算が限られているので(重要)、内装の改装工事はほぼ自力です。

もともと事務所としての利用を想定されている場所だったので壁紙は白く、床にはいかにも事務所っぽい感じのグレーのマットが。

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ただ僕自身に部屋をコーディネイトするセンスなどありませんから、家族に内装関係の総監督を依頼し、フローリングマットをはじめとしてさまざまなインテリアを購入。

マットを敷きつめるのに2日かかって全身筋肉痛になった以外は、概ね順調にことが運びました(笑)。

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はじめのうちはこんなインテリアなんていらないと思っていたのですが、オープンしてから生徒さんや保護者の方々からの評判は上々で驚きました。

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本当はこれに加えてライティングレールもと言われたのですがさすがに予算オーバー。

確かに通常の蛍光灯と比べるとガラッと雰囲気が変わるので予算に余裕があるのなら導入すべきでしょう。

内装関係も、生徒さんに安心したりリラックスしていただくのに重要な要素なんです。

こうして昨年3月の突然の退去命令から約2ヶ月かけて町田教室を開くに至りました。

町田には同業他社も多いので、オープンしてから順風満帆というわけではありませんが、去年の秋には発表会も行うことができましたし、生徒さんもそこそこ増えてきています。

今のところは大手音楽教室相手にどうにか勝負ができているということでしょうか。

これから音楽教室を開いてみたい、レッスンを受けてみたいと考える人双方に大切な、教室環境の選び方。

是非参考としてくださいね。

最後に思いつきですが、「モジカル読みました」で入会金無料とかどうでしょう?

期限は2019年5月末までとさせていただきます。

町田近辺でトランペットのレッスンを受けたいと考えている方、こちらの僕のHPからお問い合わせをお待ちしております。



ABOUTこの記事をかいた人

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1986年生まれ。中学生から吹奏楽を通してトランペットの演奏を始め、高校生からジャズに目覚める。その後、原朋直氏(tp)に約4年間師事し、2010年からニューヨークのThe New Schoolに設立されたThe New School for Jazz and Contemporary Music部門に留学。Jimmy Owens(tp)氏などの指導を受け帰国し、関東近郊を中心に音楽活動を開始。金村盡志トランペット教室でのレッスンを行いながら、精力的に活動を続けている。