ジャズトランペットで聴くべき15人のトランペッター

オススメ ジャズトランペット

今回はジャズやトランペットへ興味を持ち始めた方へ向けて、どんなプレイヤーから聴き始めればいいのかという案内になるようなことを書いてみようと思います。

古い時代から最新のプレイヤーまでなるべく満遍なく取り上げ、オススメアルバムとして初心者の方にとって聴きやすいであろうオススメ作品も挙げてみました。

今回取り上げた15人のプレイヤーは、いずれもジャズの歴史に偉大な足跡を残した、または残すであろう人ばかりです。

ルイ・アームストロング

ジャズトランペットを語るにはこの人を忘れてはいけません。

サッチモの愛称で知られ、世界で多くの人に愛されたトランペッターでした。

今でこそジャズでは複雑なハーモニーやリズムを用いた演奏がほとんどですが、彼の演奏はシンプルかつストロング。

超超骨太なグルーヴ感と歌心で、現代の凄腕トランペッターと聴き比べても全く見劣りしないどころか、「音楽やるってことはこうだろ?」と思い出させてくれるようでもあります。

オススメアルバム:

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ユニバーサル

ディジー・ガレスピー

ジャズトランペットを語るにはこの人を忘れてはいけません(2度目)。

1940年代よりモダンジャズの始祖であるアルトサックスのチャーリー・パーカーと共に活躍しました。

輝かしいハイノートと、それまでのジャズの演奏とは一線を画した複雑なアドリブが特徴です。

ただし吹奏楽部などでのトランペットの音に慣れた方からすればかなり荒れた音色にも聴こえるため、演奏の複雑さとも相まって少し聴いただけだと受け付けない方も多いかもしれません。

演奏中の頬が大きく膨れる(特殊体質のため)のとベルが上に大きく曲がったトランペットがトレードマークです。

オススメアルバム:

マイルス・デイヴィス

ジャズトランペットを語るにはこの人を(以下略)。

ジャズの帝王としても知られ、1940年代から90年代まで長く活躍したばかりでなくそのほとんどの期間においてジャズシーンを牽引してきました。

彼の人生を追えばモダン期以降のジャズの歴史を理解することができると言ってしまってもいいでしょう。

クールな音色で音数が少ないという印象を持たれがちですが、熱い演奏を繰り広げることも少なくありませんし、チャーリー・パーカーと活動していた若い頃の演奏は非常にクレバーなフレージングが特徴的です。

オススメアルバム:

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Columbia

チェット・ベイカー

ジャズトランペットを語(以下略)。

一般の方にとってのいわゆるジャズトランペッターのステレオタイプの元となったような人です。

一見するとマイルスと同様にクールなサウンドが特徴的で、アドリブのフレージングも無駄がなくなおかつ非常にリリカルです。

オススメアルバム:

クリフォード・ブラウン

ジャズトランぺッ(以下略)

ザ・スーパートランペッターです。

性格無比のテクニック、複雑なフレージング、太くストレートかつ暖かな音色で、また人柄も誰からも愛される人物であったようです。

惜しくもわずか25歳で交通事故死してしまうのですが、その間に遺された彼の作品はジャズ界の宝と言って良いでしょう。

彼が亡くなったのは1956年ですが、近年未発表音源が発掘されたりしていますので要チェックです。

オススメアルバム:

リー・モーガン

ジャ(以下略)

ジャズのハードバップ時代をクリフォード・ブラウンと共に支えたトランペッターの1人です。

特にアートブレイキーのジャズメッセンジャーズでの活躍が有名で、来日経験もあるようです。

この時代のトランペッターの象徴とも言える、まさに粋な演奏が特徴です。

またアドリブを学びたいという方にとってはこの時代のジャズのニュアンスを学ぶのにうってつけのプレイヤーです。

オススメアルバム:

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Blue Note

フレディ・ハバード

ハードバップ期以降に活躍したトランペッターです。

真っ直ぐで太い音色と男らしい熱い演奏が持ち味で、聴くものを圧倒します。

この時代になるとピアノのハービー・ハンコックやテナーのウェイン・ショーターらが現れ、それ以前より難解な作品が増えてきますが、そういった作品を朗々と気持ちよく歌い上げる演奏もまた素晴らしいものです。

オススメアルバム:

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Blue Note

ウディ・ショウ

時期的にはフレディ・ハバードと同時期に活躍し、彼との共同作品も残しています。

この時代になると曲が難解になると上に書きましたが、ウディ・ショウは演奏そのものも難解になっていきます。

例えばクリフォード・ブラウンなど、以前のトランペッターが絶対にやらないようなハーモニーの使い方を行うのですが、初心者の方でもよく聴いてみるとお気づきになるかもしれません。

オススメアルバム:

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ユニバーサル

トム・ハレル

トム・ハレル

ハレルは難解な曲であってもハーモニーをまるでそうでもないようにスムーズで美しいメロディラインで繋げていってしまいます。

実はこのような演奏はハーモニーをよく理解していなければ難しいものなのですが、彼の場合はことごとく美しいラインを紡いでいってしまいます。

柔らかく美しい音色も魅力的で、トランペッターが憧れるトランペッターでもあります。

オススメアルバム:

ケニー・ウィーラー

太く柔らかく、伸びやかな音色が特徴的で、今まで紹介してきたトランペッターとはかなり毛色が異なります。

演奏スタイルもモダンジャズという括りに当てはまらず、どこまでも美しい世界をトランペットによるアドリブで創り上げていっているような印象です。

彼の作品は一般の方の想像するいわゆる「ジャズっぽい」ものではないためそういったものを期待して聴くと肩透かしを食らうかもしれません。

逆にトランペットの綺麗な音色が好きだとか、ジャズトランペットの荒削りな部分が苦手という方にはおすすめできるかもしれません。

オススメアルバム:

ウィントン・マルサリス

現代のジャズトランペット界の中心人物と言っても良いのではないでしょうか?

暖かく非常にダークな音色と超絶テクニックに注目されがちですが、彼のアドリブのフレージングも特徴的で、まさに融通無碍と言っても良いでしょう。

現代のプレイヤーなだけあって彼のオリジナル作品は難解なものも少なくありませんが、それ以上にユーモアあふれる楽しいアレンジのものも多く存在します。

オススメアルバム:

ロイ・ハーグローヴ

現代のトランペッターでは珍しくジャズの粋な感じを強く感じさせてくれるトランペッターでしたが、2018年に惜しくも49歳で亡くなってしまいました。

使用楽器もまた独特で、それから生み出されるダークで鋭くエッジの立った音色はその「粋」をより引き立ててくれる重要な要素であったと思います。

ジャズを学びたいという方は彼の初期の作品を、そして初心者の方がとにかく楽しみたいという場合は晩年の作品が良いでしょう。

オススメアルバムには後者を挙げておきます。

オススメアルバム:

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Emarcy

ニコラス・ペイトン

ニューオーリンズ出身なだけあって若い頃にはトラディショナルなスタイルでの演奏で注目を集めましたが、ある時期を境によりオリジナルな路線へと舵を切っていきました。

基本的にはストレートで明るい音色が特徴ですが、時期によってかなり違ってくるのでその変化を追いかけながらいろんな作品を聴いてみるのも面白いかもしれません。

オススメアルバム:

アンブローズ・アキンムシーレ

現代最先端のスタイルの演奏をするトランペッターの1人と言って良いでしょう。

本来トランペットという楽器の苦手とするフレージングたやすく吹き切り、一目瞭然の独特な歌いまわしが特徴です。

近年の作品はとてもジャズとは思えないような作品が多く、一般的なジャズを期待する方にはやはりとっつきづらいプレイヤーではありますが、ジャズ界の最先端を行くトランぺッターであることには間違いがありません。

オススメアルバム:

ピーター・エバンス

アンブローズとは全く別の方向の意味で最先端のトランぺッターの1人であると言ってもいいでしょう。

ジャズというよりフリーインプロヴァイザーとしての作品も多いのですが、ジャズスタンダードを題材として取り上げたりすることも多いことは確かです。

そしてやはりというかなんというか、ピーター・エバンスの演奏も初心者の方には取っ付きづらいものであると言わざるを得ません。

クラシックの影響を強く受けたキラキラとして柔らかな音色が特徴ですから、あまり深く考えずにただただトランペットの音色の美しさに浸るように聴いてみると良いでしょう。

オススメアルバム:

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Mim



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1986年生まれ。中学生から吹奏楽を通してトランペットの演奏を始め、高校生からジャズに目覚める。その後、原朋直氏(tp)に約4年間師事し、2010年からニューヨークのThe New Schoolに設立されたThe New School for Jazz and Contemporary Music部門に留学。Jimmy Owens(tp)氏などの指導を受け帰国し、関東近郊を中心に音楽活動を開始。金村盡志トランペット教室でのレッスンを行いながら、精力的に活動を続けている。