モジカルで公開するレシピ記事には、実は公開していない失敗レシピもたくさんあります。
作ってみたけれど微妙だった、とか、おいしいけれど人にすすめるるほどではない、など。
今回のレシピも人にすすめるほどではない、に入っていたのですが、知り合いに作り方を教えたら好評でした。
それなら、公開しよう。
それではスタート。
カレー粉を使わないグリーンカレー
グリーンカレーは、タイのカレーです。
以前、そもそもグリーンカレーという名前ではなくてタイでは別の名前で呼ばれていると聞いたことがあるのですが、そのときに出てきた料理名が複数あり、しかも聞かせてくれたのがタイ出身の方でネイティブな発音が聞き取れない上に聞き慣れない料理名ばかりだったので、途中からどれがなんなのか分からなくなって意識が消失しました。
そのためグリーンカレーという名称でいきます。
グリーンカレーは、レッドカレーペーストというものが販売されているのでこれを使用すればなんなく作れますが東南アジア独特の調味料の風味などがあり、僕はちょっと苦手。
そこでこのレッドカレーペーストを使用しないで作れないかいろいろ試していました。
雑誌や本でいろいろなレシピを調べてみたら(僕はあまりネットでレシピ検索しません)カレー粉を使用したものがたくさん出てきます。僕のグリーンカレーでは使用しません。
カレー粉はマサラ(ご家庭やメーカーによって配合や中身がちがう、クミンやターメリックが大体入っている)をベースに火を通した小麦粉などと混ぜて使うこともありますが、これもまた風味が独特(マサラは大好きですが)。
入れると大体そのカレー粉の風味に全体を支配されます。
実際作ってみたらサグパニールの辛味のうすいものみたいになりました。
うーん、サグパニールは好きだけれど、これはちょっと好みではない。
僕の好きなグリーンカレーの味のベースは、豆板醤です。
グリーンカレーを調理
それでは作っていきます。
まずはフライパン、もしくは鍋を弱火にかけます。
後で煮詰める作業があるので食材の接地面積が広いフライパンは便利ですが油や中身がずいぶんハネます。
コンロの掃除が面倒な場合は深めの鍋のほうが楽です。
さて、フライパンに油をしきます。あまり風味がない油がいいです。自分はひまわり油を使用します。
1人前につき大さじ1杯半くらい。
油を少しあたためたら1人前につき大さじ2杯程度の豆板醤を入れます。
このとき、豆板醤がすごくハネます。
豆板醤はそのまま使用すると粉っぽさというか(粉状ではないけれど)独特の味があって、油で炒めるとそれが抜けます。
そこにすりおろしにんにく、すりおろしショウガを入れましょう。
量は適当。
そして混ぜ合わせながら油で炒めます。
弱火なら1分くらい、強火ならサッと炒めればOKです。
ちなみに、強火だとすべての調味料がハネます。熱いです。
調味料がこげる前にココナッツミルクを投入します。
このココナッツミルクを、カシューナッツと水をミキサーにかけたものに代えるとインドカレーっぽい味に変わります。
余談でした。
全量投入。
1人前なら半分くらいかな。
そのまま弱火にかけておきます。
お米の準備。
タイの香り米、ジャスミンライスですね。一度お水でざっとすすいで米と同量+1合につきおちょこ1杯分の水に1時間ほど浸けておきます。
お米を浸けている間に取り出したるは鳥胸肉の煮たもの。
鳥肉は水で煮ると身から味が抜けますが、煮汁につけながら冷ますと味も戻りお肉のパサパサした感じも薄まります。
煮てから一晩くらい冷蔵庫で置いておくとしっとりしておいしい。
今回も一晩置いておきました。
さきほどのココナッツミルクを加えた鍋に煮汁を入れて煮込みます。
煮汁の量は適当でいいです。後で煮詰めるので。
ただし、あまり入れすぎると水分がおおくなりすぎて煮詰めるのも大変なので、まあ、コップ一杯分くらいがいいですかね。
それから、煮汁だけではなく鶏ガラ出汁の顆粒を入れます。鳥肉の煮汁のみの場合は鶏ガラと煮込んだ濃いチキンストックを使用しましょう。
ただの煮汁だとほかの食材の風味に負けてしまうんですよね。なんだか物足りない味になってしまいます。
そこに塩、けずったホワイトペッパーを投入。
軽くでいいです。グリーンカレーに味を付ける訳ではなく、この後投入する鳥肉に軽く底味をつけたいので入れます。
また煮詰めていくと味が濃くなるのでこの時点で味見をして塩をしっかり感じるようだとアウトです。ご注意。
そして一番重要な素材。
干し貝柱です。これがあるかないかでうまみが段違いです。
一人前このくらい。
手でほぐして入れます。普段は水に一晩浸けてから使用しますが今回は煮込みの工程があるので乾燥したものでいいです。
そしてレモングラス。
乾燥ものなら少し多めです。画像で2人前くらい。
生のレモングラスならもう少し少なくて大丈夫。
そしてパクチー。こちらも乾燥ものを使用していますが、生のものなら少なめで大丈夫。
隠し味にナンプリック・ナンプラー。
ナンプリック・ナンプラーは塩漬け唐辛子をナンプラーに漬けたもので、お醤油のように使用するナンプラーとちがい唐辛子を食べる調味料。
茹でた鳥肉やタイ風春巻きなどに漬けた唐辛子をかけて食べると塩が効きつつするどい辛味と旨みが広がって実においしい。
このナンプリック・ナンプラーを1人前につきティースプーン1杯分入れます。
ザク切りにした鳥胸肉。
同じくザク切りにしたネギを用意。
鳥肉のみ入れて中火で煮込みます。
少しとろみ、というか、ざらついたような感じが出てきたら塩、白コショウを加えて味見。
ナンプリック・ナンプラーや鶏ガラ出汁の塩味を念頭に味付けします。
味付けまで完了したらそのまま30分以上常温で寝かせます。
味のなじみがよくなるんですよねー。
食べる直前に熱を加えさきほどのネギを投入。
食感が失われないうちに盛りつけです。
豆板醤のグリーンカレー完成
完成!
時間はかかりますが調理は非常に楽です。蒸したり揚げたりせず1つのフライパン、もしくは鍋で完了するので助かります。
ココナッツミルクの香りと各種調味料の香りが食欲をそそります。
最初に豆板醤を油で炒めたときの独特の香ばしさがいいですね。
手前味噌もいいところですが、うまい!
これ、なぜレシピからはずしたかというと特に手間暇かけずに作れるからだったんですが。
久しぶりに作ってみるとこれは自分のレシピ帳ランキングの順位を見直す必要があるな。
欧風カレーやインドカレーよりもさっぱりしているけれど、旨みと濃度が米をおいしくしてくれる。
ジャスミンライスのパラッとした炊きあがりが合いますが、ジャポニカ米でもおいしいです。
気持ち固めに炊いてもったほうがなじみがいいと思いますが。
鳥胸肉も最後に一度冷ましたときによく味が染みています。
2回煮ているとは思えないほど柔らかです。
鶏皮は、いつもははがして鳥油をとったりトースターで皮だけ塩をかけて焼いたりしていますが、こういう煮込み料理の場合は縮れた皮がいい歯触りです。
がっついて食べてしまったのでおかわり。
もはや盛りの美学もなにもなし。むしろ皿がしっちゃかめっちゃか。でも、早く食べたくて。
これはね、本当にオススメです。ぜひ、一度トライしてみてください。