醤油、大豆と小麦で作られる日本のソフルフードと言っても過言ではない調味料。
そんな、毎日の食卓に並ぶ醤油、選んでいますか?
僕は、濃口と薄口くらいの使い分けしかしていませんでした。
せんだってお料理の本を読んでいるときに「よくスーパーなどで売られている醤油は熟成が足りない。数年熟成させるところ機械で数ヶ月熟成させただけのもが多い」という一文を発見。
もっと読みすすめると「なかには大豆油をとった後の大豆カスのようなもので作っているものもある」などと書いてありました。
「丸大豆」という表記はこの大豆カスではないものを使用しているという証らしい。
食べつけた食品なのによく知らなかったというのもお恥ずかしい話で、とりあえず使う醤油を見直してみることにしました。
醤油4種を食べ比べる
とりあえず、10種類ほどを小瓶で購入しては食べ比べてみました。ネット通販超便利。
毎回一舐めして思うのは、こんなに味や香りが違うのかという驚き。
醤油も小瓶とはいえ、なかなか使い切れないので、ここに書いたものが一番、かは分かりませんが、おいしかったものを抜粋。
すべて濃口醤油です。お吸い物などに使用する薄口醤油ではないので、是非、参考に。
丸島醤油
四国は香川県で作られる丸島醤油の純正醤油 濃口。
まずは見た目と香りから。いわゆるお醤油独特の香りがいい。
うっすらほの紅いのがいいお醤油の証拠らしい。そういう意味では非常に紅い。
そして非常にさっぱりしている。塩分よりも先に醤油の香りがきて、後から塩分とうまみが残る。
飲み込むと醤油の香りはスッと消えた。
うめえ。
道民の醤油
正直、北海道のご家庭のキッチンでビッグマン(大容量の焼酎)と同じくらい見かけるトモエの道民の醤油。
昔、北海道に住んでいたうえ、親戚もちらほらいるので、なんだか慣れ親しんだやつ。
しかしながら酸素に触れにくい鮮度保持ボトルなるものに入っているのは初めてみた。
これ、他メーカーの同じようなボトル入りのやつ購入したら、長く風味が保たれて便利だった。
こちらもうっすらほの紅い。そして香りは、THE 醤油。嗅ぎ慣れた匂いという先入観もあるかも。
なにがおいしいかというと塩がおいしいのかな。
食べ終わったあとにも醤油の風味がしっかり残ります。
福寿 百年蔵生じょうゆ
秋田の醤油蔵製造のお醤油。
秋田産大豆と小麦を使用してお醤油を作り、そこにさらに大豆と小麦、米麹を投入してつくる二段仕込み。
二段仕込みだけあって色味が濃い。
香りも他の醤油に比べて強くパッとたちのぼり、ふわりふわりと残ります。
非常にまろやか。
塩分よりもうまみを先に感じる。ちょっととろりとしたような口当たりに、鼻に抜ける香りは一番いい。
井上古式醤油
普通の醤油の仕込み時よりも2割多い大豆で仕込んだという島根県の醤油蔵の作る醤油。
紅い、という意味では4種でもっとも紅い。香りも大豆を使用したぜ! という主張が強い。
口にいれて少しすると、ほのかに豆腐のような大豆の香りがする、ような気がしたんですが、もっと奥深くに大豆を感じる。
塩分は強くなくて、舌にはまろやかな味わいを感じる。
食べ比べる
見た目よりも味、というのは当たり前。早速食べ比べてみましょう。食べ方は、僕のオススメのお料理と一緒に紹介します。
湯豆腐
湯豆腐は大豆の味が強いので、大豆の香りが強すぎないやつを選びました。
選んだのは、トモエの道民の醤油。
北海道のご当地料理というか、土鍋の真ん中に醤油、ネギ、七味を入れた小さい小鍋を入れて、そのなかに漬ける食べ方が多いんですが、今回はすくいあげた豆腐に醤油をかけるだけ。
北海道ではわりと湯豆腐を食べる印象が。
そのかいもあってか豆腐と醤油のまろやかな味わいがおいしい。
秋田の二段仕込みとかだとちょっと濃すぎて、おいしいお豆腐だと醤油の大豆の香りが勝ちすぎるような気がして、ちょっと微妙でした。
ご飯と焼き海苔
茶碗に盛ったご飯に醤油を軽く付けた焼き海苔を箸で巻くという、旅館の朝食スタイル。
海苔って意外と風味が強いんですよ。
焼き海苔にすると少し磯うまい感じが飛ぶものの、こいつとバランスよくするために、秋田の二段仕込み、福寿 百年蔵生じょうゆを。
うめえ、コクのある醤油の味わいと海苔の香り、ご飯のうまさが引き立つ。
醤油だけでもいけんじゃねえかと思ってご飯のみに使ってみました。
これもけっこういける。これをあてに焼酎とか飲めるくらい。
蒲焼きときつねうどん
醤油は、火を通さず食材にかけたりつけたりするだけでもおいしいんですが、やっぱり日々の煮炊きに使用したらどうなるのかは気になるところ。
そんな中、火をとおした状態で一番気に入ったのが丸島醤油の純正醤油 濃口。
フライパンで蒲焼きにする簡易なつくりながら、熱したところに醤油を入れ、立ちのぼる香りが非常にいい!
あとは、酒、醤油、みりん、砂糖を手鍋で煮詰めて…
カエシにして、サバ、カツオ、利尻昆布でとった出汁と合わせてきつねうどんに。
これはマジでオススメできるおいしさ。
そういや、丸島醤油は香川県の醤油蔵。
うどんの国から来た醤油が、汁物に合わない訳はなかった。
火を通すことで香りが甘みを帯びる。一度試してみてほしい。
油揚げも同じ醤油で。
シラスおろし
知り合いの干物屋さんから、ちょっと引くくらい大量のシラスをいただいたので、シラスおろしに。
シラスが身のしっかりした上物であることもあったんですが…
醤油と合う合う! こちらは井上古式醤油。
大豆のうまみが強いので、クセのある大根とも、味の強いシラスともすごく相性いい。
ご飯にのせたら…
松葉海苔をかけて…
うま〜〜い!!!
松葉海苔の香りとシラスの香り、大根おろしの香り、醤油の香りがそれぞれ別々に感じられるのに、一体となって、なにがなにやら異常にうまい。
大根おろしと井上古式醤油の組み合わせかなりいい。
クセの強いものの特徴を損なわず、うまみを与えてくれる。
刺身
そして、醤油といえば外せないこちら。
刺身。自宅近くの相模湾で朝獲れの逸品。
を、
福寿 百年蔵生じょうゆでいただく。
正直いって、刺身にこんなに合う醤油あるのかってくらいおいしい。
ネタがおいしいというのは置いておいて、今まで食べた刺身と醤油のマッチングで一番うまい。
よく行くお魚のお店に持ち込もうかと思うくらいおいしい。
二段仕込みで風味とコクが一段と濃い百年蔵生じょうゆは、火を通さずにそのまま食べるのがオススメ。
イカもかなりおいしかったです。若干とろみのあるような醤油とイカのもっちり感が非常に合う。
ご飯と食べても合う。
特にブリのような、脂の強いお魚にはベストだと思います。
脂がのってぺっとりとしたシメサバも…
最高です。
これ、ほんと一回試してほしい。刺身の醤油は選んだほうがいいよ。
適当きのこの常備菜
最期にきのこが多く出回るこれからの時期にオススメの醤油料理を。
手で裂いたキノコ(キノコだったらなんでもいい、なめこを入れるとベター)、にニンニク薄切りと唐辛子を入れレンジでチンして、
味見をしながら適当な量、醤油を入れ、
完成。
ソバに入れれば山菜ソバ、パスタと和えればキノコパスタ、ご飯と食べれば飯がすすむ、と結構いい常備菜。
今回醤油を食べ比べて分かったのは、日々使うものに対して、結構無頓着な我々のこと。
次は塩について調べてみよう、というところでさようなら。
ちなみに、一番よく使用しているのは丸島醤油の純正醤油 濃口。
量が一番多かったのもあるけど、煮る、焼く、かける、に対して汎用性が高い。