地元でブリが揚がったので、半身で購入してきました。
今朝獲れたばかりなので、まだ身の活きがよすぎるくらい。
今の時期のブリならではのぺっとりとした脂分に、歯ごたえがぷりぷり。
もう一晩くらい熟成させるとやわらかくおいしいのですが、この獲れたてのぷりっぷりの身にかぶりつくのも好きなんですよね。
切り身もまあー新鮮。
うろこ部分は湯霜にでもしないと、皮目をおいしくたべられないほど。
しかし、皮の下の皮下脂肪が絶品なんだ。余すところなくいただきたい。
アラもたっぷり。
これが正直切り身に勝るとも劣らずうまい。
塩焼きでも煮付けでも、少し強めに味をつけても素材の味わいを損なわない。
これだけあって、6,500円。これから3日はブリづくし。
ほんとにいい魚屋さんと仲良くなると食費がおいしく浮きまくる。
あー、よだれ。
切り身やアラを掲載してきましたが、今日はお刺身。
これ、お店で食べたら3人前くらいかな。
腹身のほうの、やわらかく脂がのったところですね。
これだけ脂が強いと、少し薄く造らないと食べにくいのですが、ちょうどいい具合に造られている。
ほんとにいいお魚屋さんと…。
さて、ここからが本題です。ブリのお刺身は太平洋側から日本海側まで幅広く食べられます。
能登では塩ブリといって塩蔵にしたものを食べたり神事に利用したり、切る、煮る、焼く、以外にも調理方法があることから、日本に昔から根付いた海の幸であることが分かります。
そういえば、その昔小田原の地引き網の引き手の報酬はブリまるまる一匹だったはず。
うーん、歴史が深い。
こういうお食事には、かならず出ます。関東風、関西風の問題。
北前船を中心にブラキストン線よりも北側の独自の生態系を芸術的センスで花開いた関西の食文化に、千葉の野田周辺から広がった醤油の文化と海の幸や山の幸を流通網に乗せるために味わいを強くした関東の食文化。
個人的には、どちらかといえば関西風のほうが好きですが、金山寺味噌をもとにする醤油が広げた煮炊きの食文化も負けず劣らず好き。
そして、ブリのように古くから愛されている食材にも関東風と関西風があるそうで。
それが、薬味。
関東ではワサビが多いとされていますが、関西ではショウガが添えられることもあるそうです。
まあ、両方使われることもあるでしょうが。
現在は食文化も東西混合であまり地域性はないですが、昔はこういった部分のちがいが顕著だったのですかね。
そういえば、カツオもほとんどがショウガを使用しますが、実は神奈川県内の古いお店ではワサビを添えて提供されたことがあります。
さて、講釈はここまでで。重要なのはどちらがおいしいかということ。
意識して食べ比べたことがないので、やってみましょう。
ブリをワサビで食べる
まずはワサビもショウガもなしで。
醤油に花穂紫蘇を散らしたのみで。ご覧いただきたい。醤油にパーっとひろがる脂を。
うまい! 身が活かっているからこそのシキシキとした食感に口中にまとわりつくように広がる脂の旨味と甘み。
うま−。
トロの部分も抜群です。もう、薬味いらない。
が、それでは今回の企画倒れです。
ご飯用意! 僕、1年ほど前から酒を飲まなくなったので、もっぱらアテはご飯です。
合うなあー。お刺身でご飯が一番好き。
さて、ワサビから試しましょう。本わさび、なかった。
では、ワサビでいただきまーす。
うん! 身が新鮮すぎることもあってこのくらい強い香味が合う!
なにに合うってご飯に合う! 白米いくならワサビだな!
うーん、たった4切れ食べただけでもこの照り。すばらしい。
ブリをショウガで食べる
続いてショウガ。
ショウガのすり下ろし汁に軽くひたして…
いただきまーす。
ああー、これは急にお上品。ご飯と一緒に食べたらね、合わなかった。
ショウガのキリッとした辛みが、ブリの脂の向こう側にうっすらいて、白米を食べるとこの淡口の風味が消えてしまう。
これは酒の肴だな。それも甘口の重めの日本酒。
久しぶりに飛騨の日本酒でも1本抜こうかな。
うん、どの部分でもやはり淡口ですね。
ただしショウガはショウガ。香味がブリのお刺身の味わいを別のものに変えています。
これは逸品だ。
もっかいワサビ。やっぱりワサビだと米に合うなあ。
ワサビで食べるのが普段使いなら、ショウガで食べるのはよそ行きの味わい。
どちらもいい。
甲乙付けがたい。
ちなみに、大葉は合わない。
強すぎる。ブリのおいしいところをほとんど感じなくなってしまいました。
特に甘みが消えてしまいます。
じゃあ、記事ネタも埋まったし、これでぱぱーと食べちまうか、と思って、ツマと一緒に…
パクリ。
ん?
あれ、うまい。なんじゃこりゃ。ワサビよりもショウガよりもうまい!
香りが抜群にいい。そしてブリの甘みを残しながらキリッとした大根のツマが口中の脂分をさっぱりとぬぐい去ってくれる。
後味もさわやか。また食欲が湧いてくるような味わいだ。
薬味大会、優勝は大根に決定!
後でよくよく考えてみたら、この組み合わせは昔の人がとっくの昔に見つけていました。
ブリ大根。
古い文献に答えを求めることは温故知新の枠を大いに越えています。
撮っていませんが、大根おろしの水分を軽く絞ったもので残りのブリを食べたら、これがうまかった。
こちらは酒の肴にもご飯のアテにもどちらにも合いました。
みなさん、ブリを大根で、ぜひ試してみていただきたい!
お腹いっぱいだ。
至福。