ジャズドラマー厳選のバラードアルバム4枚

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こんにちは、野澤です。

夜出歩くとすっかり涼しくなり秋になってきましたね。そんな涼しくなった秋に聴きたいジャズといえば個人的にはバラードアルバム。秋に紅葉を見ながらAutumn In New Yorkなどバラードを聴きながら散歩をしたりドライブするのが個人的に至福な時間です。

今回は私がオススメするバラードアルバムを4つピックアップしてご紹介したいと思います。定番のものからマニアックなアルバム、最近のアルバムもピックアップして見ましたのでぜひチェックしてみてください。

ジョン・コルトレーン「Ballads」

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Verve

オススメ度★★★★★ マニアック度★

バラードのアルバムを聴くならまずこの1枚。シーツオブサウンドと呼ばれるくらい吹きまくるコルトレーンが出したバラードアルバムです。

メンバーはマッコイ・タイナー(Piano)ジミー・ギャリソン、レジー・ワークマン(Bass)エルビン・ジョーンズ(Drums)というコルトレーンの黄金期のカルテット、もしくはほぼ近いメンバーでのレコーディングです。

どの曲も丁寧にテーマのメロディの美しさをリスナーに伝えてきます。曲が持つ繊細なメロディラインもテナーサックスの高音域で表現したり、長い音と短い音を微妙に変化をつけながら徐々に展開させていきます。

マッコイのソロも今回はかなりメロディックで普段のガンガンいく感じとは真逆な印象を持つと思います。もともとはデューク・エリントンのようなキラキラした繊細なピアノを得意としていたのでこのアルバムではその姿が垣間見えますね。

唯一”All Or Nothing At All”がノリのいい曲ではありますがこのアルバムのコンセプトは変わりません。オーバーブローすることなく素晴らしいメロディを聴かせてくれて曲を壊さない範囲でソロを展開していきます。

どの曲も名曲ですが”Say It”や “I Wish I Knew”そして”What’s New”などが飛び抜けて素晴らしい完成度です。

コルトレーンの無駄のない美しいメロディ、マッコイのゴージャスなハーモニー、そしてその和音を整えている綺麗なベースライン、たまにプッシュしてきて曲にスパイスを足してくれるエルビンのドラム。どれかが欠けたら成立しないだろう絶妙なバンドのバランスがこのアルバムにはあるのでぜひ聴いてみてください。

 ビル・エバンス「Moon Beams」

オススメ度★★★★★ マニアック度★★

ピアニストのビルエバンスからピックアップしました。

「Walts For Debby」などエバンスの有名なアルバムを他にも出しているリバーサイドレコードからのアルバムです。

ジャケットもファッションモデルの女性ニコの写真を使ったオシャレなジャケでCDやレコードを聴きながら手元にアルバムを置いてジャケットを眺めるのも乙な聴き方ではないでしょうか。

メンバーはエバンス(Piano)チャック・イスラエル(Bass)にポール・モチアン(Drums)。

バンドの前任ベーシストであったスコット・ラファロが事故により亡くなったことで、エバンスは大変なショックを受け、演奏自体のやる気を失っていたそうです。

しかし、このアルバムのベーシストであるチャック・イスラエルと出会い、再びピアノトリオをやろうと決意して再始動した直後のアルバムが本作となります。

表題曲となっている”Polka Dots And Moon Beams”。これは相当完成度が高いというかバラードでここまで自由度があるというのはとても貴重です。

通常、ジャズのピアノトリオでのバラードといえばメインがピアノで、他が落ち着いてサポートに徹するのが一般的ですが、エバンスのソロに対して即座にアンサーしていくようなチャックイスラエルの積極的なプレイスタイルは見事です。

前任のスコット・ラファロのようなインタープレイをみせていくのも、エバンスのプレイスタイルにとてもフィットしているように感じます。

また、まったく違うことをやっているように見えて実はこの二人の音楽をしっかり支えるポールモチアンのプレイも秀逸です。

テーマ部分はリハーモナイズされていてAからBセクションに移る時のハーモニーがとても不思議なサウンドがしていますが美しさも兼ね揃えています。

ステンドグラスのような緻密で美しいものを見ている感覚と似ています。とても素晴らしいアルバムなのでこれもとてもオススメな1枚です。

ジーン・アモス「Nice an’ Cool」

オススメ度★★★  マニアック度★★★★★

相当なジャズファンでないとジーン・アモスを知っている人は少数かと思いますが、ソニースティット、ジャッキーマクリーンといったジャズジャイアントと同世代のプレイヤーです。

スタン・ゲッツの音の柔らかさやデクスター・ゴードンのような艶っぽい色気がある音も出せるプレイヤーです。

このアルバムとしては落ち着いたサウンドで夜に合うムードがある大人なサウンドに感じます。

1曲目の”Till There Was You”からこの空気感に引き込まれるので優雅な大人なジャズを楽しみたいにオススメです。

サブトーンでかすれたように鳴るテナーの音は最高ですし、速いフレーズを弾いても滑らかで軽さを感じるのでジャズのテナーサックスの上質なサウンドを感じることができます。

リズムセクションもリチャード・ウェインズ(Piano)ダグ・ワトキンス(Bass)ジェームス・チャールス・ハード(Drums)というメンバーでピアノのリチャードもドラムのジェームスもカウントベイシーやアートテイタムなどのジャズから影響を受けているので少しブルージーな感じだったりクールなプレイを得意とするメンバーです。

何も考えずにぼーっとジャズに浸りたい時にはこのアルバムをかけてみてはどうでしょう。

ダイナ・スティーヴンス「Piece」

オススメ度★★★★  マニアック度★★★★

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最近ニューヨークで活躍中のテナーサックス奏者ダイナ・スティーブンスのアルバムです。

メンバーはブラッド・メルドー(Piano)ジュリアン・ラージ(Guitar)ラリー・グラナディア(Bass)エリック・ハーランド(Drums)という現代の一流メンバーが揃っていて、特にブラッドメルドーはレジェンドクラスでこのアルバムでもかなりフィーチャーされています。

メルドーのゴージャスなハーモニーやソロのアプローチが素晴らしく、間違いなくこのアルバムの素晴らしさを1段階押し上げてる存在です。

ダイナスティーブンス自身も柔らかいサウンド、テナーながらも繊細な高音域を得意とするプレイヤーなのでどのバラード曲もダイナの魅力が詰まっています。

個人的にリピートする曲は”I left Heart in My San Francisco”。

出だしのダイナの低音でリラックスしたテーマのメロディは最高で聴いているこっちも心が溶けるような気持ちになります。

それとは対照的に後半からのピアノソロは盛り上がりをみせていき、このメルドーのソロは天才的です。音数を抑えてスペースを作りながらも周りを巻き込んで盛り上げていく空気感にカリスマ性を感じます。

メルドーばかり褒める感じのコメントになってしまいますがサイドでも最高な仕事をしてくれるメルドーのプレイは聴く価値が絶対あるのでこれもとてもオススメします。

 

以上4つご紹介しました。プレイリストに入れてローテーションしながら空いた時間にコーヒーやお酒を飲んでリラックスしながら聴くのは最高な楽しみ方でしょう。ぜひ贅沢なジャズ時間を味わってみてください。



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野澤宏信 1987年生。福岡県出身。12歳からドラムを始める。2006年洗足学園音楽大学ジャズコースに入学後ドラムを大坂昌彦氏、池長一美氏に師事。在学中には都内、横浜を中心に演奏活動を広げる。 卒業後は拠点をニューヨークに移し、2011年に奨学金を受けニュースクールに入学。NY市内で演奏活動を行う他、Linton Smith QuartetでスイスのBern Jazz Festivalに参加するなどして活動の幅を広げる。 NYではドラムを3年間Kendrick Scott, Carl Allenに師事。アンザンブルをMike Moreno, Danny Grissett, Will Vinson, John Ellis, Doug WeissそしてJohn ColtraneやWayne Shorterを支えたベーシストReggie Workmanのもとで学び2013年にニュースクールを卒業。 ファーストアルバム『Bright Moment Of Life』のレコーディングを行い、Undercurrent Music Labelからリリースする。 2014年ニューヨークの活動を経て東京に活動を移す。現在洗足学園音楽大学の公認インストラクター兼洗足学園付属音楽教室の講師を勤める。