こんにちは、野澤です。
ジャズをよくご存知の方には常識かもしれませんが、ジャズという音楽には特定のメンバーで長年一緒に演奏し続けるという文化はほとんどありません。
バンドというよりは個人で演奏活動をしているプレイヤーがほとんどで、流動的に、ある日は誘われたバンドに参加して、次の日は自身のバンドで演奏する、そしてまた次の日は別のバンドで・・・、など、バンドの編成やメンバーはかぶることもあればバラバラなこともあったり、さまざまに変化します。
個人主義的に演奏活動をおこなっていくという捉え方もできるかもしれません。
ファンやリスナーはグループではなく個人を追いかけていくため、現代でいうとアイドルの推し活に近いファン層の形成をしているように感じます。
音楽性の面で言えば、個人主義的な演奏活動をしていると慣れというものがありませんので、その時々で組んだメンバーと劇的で音楽的な反応が発生することがあります。
これも一つの醍醐味です。しかしまた一方、突貫工事のような即席で作られた音楽になることもあります。
それに対して固定メンバーでやっている方がバンドのカラーがはっきりしていたり阿吽の呼吸で息がピッタリ合うような演奏で、気持ちいい演奏が楽しめたり、リスナーにとってはメンバー固定している方が“間違いが無く”楽しみやすかったりするかもしれません。
どちらが好きかは好みの問題ですが、今回はバンドでしか楽しめないような、いわゆる間違いがないジャズバンドとオススメアルバムをご紹介していきます。
ビバップ、ハードバップ、スイング系
モダン・ジャズ・カルテット
MJQの略称でも知られるモダン・ジャズ・カルテット。日本でも人気のジャズグループの1つです。
スタイルとしてはビバップやハードバップ、ブルースなど誰もが聴ける王道のジャズを演奏するバンド。
初期メンバーはミルト・ジャクソン(vibraphone)ジョン・ルイス(piano)パーシー・ヒース(bass)ケニー・クラーク(drums)。
伝説的なトランペッター、ディジーガレスピーのビッグバンドで知り合ったジョンとケニーが立ち上げ、ミルト、その後にパーシーが加わってMJQとなりました。
有名なアルバムでいうと「Django」や「Pyramid」です。
バンドといえど立ち上げたドラマーのケニークラークは数年でバンドを離れ、そのあとはコニーケイが引き継ぎましたが、1952年から始まりメンバーチェンジを行いながら2000年代まで活動は続いていきました。
Golden Striker Trio
マイルスバンドのベーシストとして活躍していたロン・カーターを中心としてギターのラッセル・マローン、ピアノのドナルド・ベガのドラムレストリオ。
アルバムによってメンバーが少し変わることもありますが、どのアルバムでも小気味のいいスイングに乗せてプレイヤーみんなご機嫌なサウンドを奏でているのでジャズ好きなら絶対ハマるバンドです。
どの楽器の音色も自然に響いていて細かいニュアンスも聞き取りやすく、ドラムレスな部分が功を奏しています。そして全員グルーヴ感があるのでドラムがいないことで起こるリズムの物足りなさも全くありません。
ドラムレスのベース、ピアノ、ギターのトリオは古く流行したスタイルで、オスカー・ピーターソンとジョー・パスなどで結成していたトリオもありますが、この時代ではピアノがメインに聞こえます。
ゴールデンストライカーはどれか1つの楽器をメインするのではなく、バンド全体がフラットな音量バランスになっていて特徴的。
演奏スタイルも、それぞれが強い主張をしすぎる訳ではなく、自然体で演奏しているのが伝わってきます。
熟達したプレイヤーの音楽力に最高の楽器の響きが合わさって極上の大人のジャズが楽しめるバンドです。
フュージョン系
ウェザー・リポート
フュージョン界を代表するバンド。
ジャズとロックを融合してまだまだ進化し続けていたが70年代の音楽シーンを牽引しました。
ジャズ以外のジャンルのミュージシャンにも影響を与えていたとも言われています。
オリジナルメンバーはジョー・ザビヌル(key)ウェイン・ショーター(Sax)ミロスラフ・ビトウス(bass)アルフォンス・モウゾン(drums)。
後にジャコ・パストリアス(bass)やピーター・アースキン(drums)アイアート・モレイラ(perc)などのメンバーが加入します。
有名な曲でいうと”Teen Town”、”Birdland”、”Havona”がこのバンドを代表する曲でしょう。
ロックのようなノリと電気のサウンドですがジャズのアコースティックな部分と即興性を必要とするアンサンブル力が混ざったのがこのバンドのカラーともいえますね。
好みもあるかもしれませんが何度も聴いているとこのバンドの良さがわかってきます。
ステップス・アヘッド
ウェザーリポートに並んでフュージョンを代表するバンドです。
メンバーはマイケル・ブレッカー(T.Sax)ランディ・ブレッカー(trumpet)マイク・マエニエリ(vibraphone)エディ・ゴメス(bass)スティーヴ・ガッド(drums)から始まり、マイク・スターン(guitar)ボブ・バーグ(T.sax)リチャード・ボナ(bass)スティーヴ・スミス(drums)デニス・チェンバース(drums)など多数の凄腕ミュージシャンがこのバンドに関わりました。
個人的にはウェザーリポートよりステップスアヘッドの方がキャッチーで聴きやすく感じます。
アドリブするときの曲のフォーマットがちゃんと決まっていたりスイングの曲も入っているのでチックコリアのreturn to foreverのような雰囲気も感じます。
パット・メセニー・グループ
ギタリストのパット・メセニーが集めた精鋭揃いのメンバーで構成されたバンドです。
こちらは他のバンドとはコンセプトがちょっと違いメセニーの理想の音を表現できるメンバーが集められています。
当時パットメセニーの右腕としてグループを支えていたライル・メイズ(Key)を筆頭にスティーブ・ロドビー(bass)リチャード・ボナ(perc,vo)ダニー・ゴッドリブ(drums)ポール・ワーティコ(drums)アントニオ・サンチェス(drums)など。
メンバーの入れ替えもありますが多数のメンバーが関わり、トランペットやコーラス、ハーモニカなどを足したりして1987年の「Still Life」以降は壮大なバンドサウンドになっていきます。
スタジオアルバムは壮大ですが爽やかでポップ。メセニーの演奏もアグレッシブですが滑らかでとても聴きやすいです。
ライヴになると最高の盛り上がりを見せ、ドラマティックで感動的な演奏を見せてくれます。
コンテンポラリージャズ系
ブライアン・ブレイド・フェローシップ
ブライアン・ブレイドはドラマーですが、楽器問わず全プレイヤーが見るべきバンドの1つでしょう。
ブライアン・ブレイドがリーダーとなっていますがピアニストのジョン・カワードが作曲をしたり、サックスを吹いているメルビン・バトラーやマイロン・ウォルデンも楽曲を提供しています。
ジャンルとしてはカントリー、フォーク系やチャーチ系の音楽を主軸としておりアメリカンカルチャーを感じられるジャズになっています。
ニューヨークのヴィレッジヴァンガードで定期的に演奏していますが毎夜長蛇の列で満席。
私も何度も足を運びましたが毎回感動の連続で、音楽の素晴らしさを目の当たりにしました。
全メンバーすごいですが正直フェローシップのメンバーが他で大活躍しているところをあまり知らないのである意味バンド的です。
去年フェローシップがかなり久しぶりに来日したそうで生で見れた人はラッキーでしたね。また来日したときにはぜひ生で体感してください。
SFジャズコレクティブ
サンフラシスコジャズコレクティブというバンドであり組織でもあります。この団体が世界で活躍するプレイヤーを集めて構成されたバンド。初期メンバーはジョシュア・レッドマン(T.sax)ジョー・ロバーノ(T.Sax)ニコラス・ペイトン(trumpet)ボビー・ハッチャーソン(vibraphone)マット・ペンマン(bass)レニー・ロスネス(piano)ブライアン・ブレイド(drums)というトッププレイヤーの中のトッププレイヤーを集めたメンバーになっています。
毎年活動するのにテーマがあって2004年はオーネット・コールマンの曲をフィーチャーしたり2005年にはジョン・コルトレーンの曲をフィーチャしたり毎年フィーチャーするアーティストを決めてメンバーがこのバンドで演奏する用のアレンジを施します。
そのアレンジがまた難しそうではあるんですがいとも簡単に演奏したり先の展開を読んでアンサンブルしていくメンバーの高度な音楽力に脱帽するばかりです。
とにかくすごい演奏を求める方は必聴なバンドです。
FLY
マーク・ターナー(T.Sax)ラリー・グラナディア(bass)ジェフ・バラード(drums)のコードレストリオ。コードレストリオなので進行上何が起こっているのか聴きにくいところもありますが、和音の縛りがないのでマークとラリーがとても自由にプレイしています。
ドラムのジェフとラリーのリズムパターンも民族的でかっこいいですね。
ドラマーとしてはベースとドラムのグルーヴやリズムのコンビネーションがよく観察できるのでそういった面でも聴いていて楽しいです。
マークターナーもリズム隊の二人に身を委ねるようなプレイをしますがアルペジオのフレーズや音色の明るさ、ピッチを微妙に変えながらリズム隊に寄り添っているので何が起こっているのか音楽の展開がわかりやすいです。
コードレストリオではありますがインタープレイがすごく綿密でビルエバンストリオのようなアンサンブルのようにお互いが反応していき音楽が広がっていきます。
聴き馴染みがないと地味に聞こえるかもしれませんが他のジャズにはないアプローチが聴けるのでオススメです。
ヨーロピアンジャズ系
エスビョルン・スヴェンソン・トリオ
北欧で有名なピアノトリオ。エスビョルン・スヴェンソン(piano)ダンベル・グルンド(bass)マグヌスオストロム(drums)のメンバー長くこのメンバーで活動していました。
ヨーロピアンジャズで風景が見えてくるような綺麗な音楽が特徴的でそこにプログレやロック、クラシックなどを混ぜた世界観になっていて独特ですがこのサウンドに魅了される人が結構います。
残念ながらリーダーのエスビョルンは事故で亡くなってしまいましたが、残りのメンバーの2人が彼のことを忘れないようにと30周年記念のアルバムをリリースしました。
「e.s.t. live in Hamburg」はライヴ版ですが3人の音楽の方向性がピッタリ合っていますし個々のプレイがとても洗練されています。その影響で音楽的にいい緊張感を保ちトリオの世界観がより広がる名盤になっていますので必聴です。
1曲目の”Tuesday Wonderland”からクライマックスのような演奏をみせますが2曲目以降も違ったアプローチで引き込んでいくので聴いたことない方はこのアルバムを入り口にしてもいいかもしれません。
ゴーゴーペンギン
イギリスマンチェスターで結成された次世代ピアノトリオ。
クリス・アイリングワース(piano)ニック・ブラッカ(bass)ロブ・ターナー(drums)のピアノトリオ。
一般的なジャズのピアノトリオの枠から大きく外れていますが、ジャズファン以外でも聴きやすいトリオだと思います。
ピアニストのクリスはショパンやドビュッシーなどクラシック音楽がバックボーンですがドラムのロブはエレクトロ、ダブステップがバックボーンにあったりして全然ジャンルの違うメンバーが集まっています。
ジャズはマイルス・デイビスがロックと融合させたりクラシックとも繋がりがあったりするなどお互いの音楽を落とし込める土俵が整っていたので違う音楽でも混ぜらることができたのでしょう。
踊れるような雰囲気にサイケな部分もあり、クラシック的なピアノのタッチが混ざって上品だったりまさにこのバンドでしか味わえないサウンドがあります。
R&B、ソウル、ブラックミュージック系
ブッチャーブラウン
ファンク好きは間違いなくハマると思います。
都会的でおしゃれな雰囲気ですがジェームスブラウンやスライなどのスタイルに、ブラックミュージックの土着的なサウンドもあえて混ぜていて、現代にリバイバルしたような感じになっています。
マーカス・テニー(trumet, sax)モーガン・バース(guitar)コーリー・フォンビル(drums)アンドリュー・ランダッツォ(bass) DJハリソン(DJ, key)の5人メンバーでもちろん個人的にはコーリーフォンビル推しです。
テクニックがすごいのはもちろんですがファンク特有のスネアのサウンド、心地いいグルーヴがどれもツボを抑えていていいです。
スナーキー・パピー
グラミー賞を何度も取るような大人気バンド。音楽的な幅はR&Bからブラジリアンミュージック、アフリカンミュージック、ファンク、ソウルなどかなり広いです。
スタジオアルバムもいいかもしれませんがライヴ映像をみるとより引き込まれると思います。
メンバー編成も特殊でギターが3人もいたりホーンセクションもビッグバンドのような人数が揃っています。そこにバイオリンやパーカッションなどサウンドを彩るプレイヤーが集まっていてとても豪華なバンドです。
さらにオーケストラと一緒に演奏するなどでさらに音楽的な広がりをみせていきます。今後も要チェックなバンドです。
以上。12バンドでした。
気になるバンドは要チェック!

