プロが教えるジャムセッションに参加するときのこと

今回のお題は本来「ジャムセッションに初挑戦する人が1つだけ覚えていくべきこと」というものだったのですが、正直言って覚えていくことが1つだけじゃどーにもならん! 無理無理!! というのが本音です。

とはいえ、そんなにたくさんのことを覚えてから行く必要も無いのですが。

ただ、いまだジャムセッションへ行ったことのない人へのアドバイスとして1つだけ挙げるとするならばそれは「ウジウジ考えるくらいなら行け」です。

ジャムセッションは慣れるまでは恥をかく場所

残念ながら初挑戦のジャムセッションで全く恥をかかない人は稀でしょう。

かと言って、いつまでも1人でシコシコと練習しているだけでは上達のスピードなんてたかが知れています。

もう既に、少しアドリブをかじっていて何曲かテーマの演奏ができるのに「いや、ジャムセッション行くのはもうちょっと練習してから…」なんて言っていると上手くなれないんです。

ですからここはあえて開き直って、「私は初挑戦です。何も分からないので手取り足取りよろしくねっ!」という気持ちでジャムセッションに臨みましょう。

猛者がうようよする一部のお店を除いて、暖かく迎えてくれるはずです。 とりあえずはじめの3回目くらいまでは「初挑戦なんです」は通用するものと思いましょう。

もちろんそれをやる場合は同じ店には行かないように注意が必要です(笑)。

というわけで繰り返しになりますが、初挑戦のジャムセッションで演奏が上手くいくことなんて稀ですから全てを諦めてジャムセッションへ行ってみましょう。

2、3曲テーマを吹くことができれば良いですが、たとえ1曲しか知らなくとも構いません。

演奏できる1曲をやってしまってから後は聴いているだけでも勉強にはなるものですし、一度行ってしまえば2回目までの気持ちの上でのハードルはぐっと下がるはずです。

セッション中の“恥”はその後の自分のためになる そもそもなぜこんなにもジャムセッションを勧めるのか、それはジャムセッションに参加することによって演奏に必要な耳が鍛えられるからです。

他人と演奏せず1人でアドリブを勉強するのは、英語を勉強するときにリスニングやスピーキングを全くしないで勉強するのと同じようなものです。

ジャズに限ったことではありませんが、演奏はつまるところ共演者、オーディエンスとの対話です。

お勉強も大事ですが、それを実際に使ってみなければ音楽で対話をするための感覚が磨かれることはありません。

初心者ジャムセッションを活用しよう

近年、ジャズを聴くだけでなく実際に演奏する人の割合が増えてきているように感じますが、その動向を察してかジャズバーのなかにもライブだけでなくジャムセッションを開くお店が増えてきています。

その中でよく目にするようになってきたのが初心者ジャムセッションです。

初心者ジャムセッションとは読んで字の如くのジャムセッションなのですが、お客さんの相手をしてくれるホストミュージシャンも初心者の扱いに慣れていることが多いので「初挑戦」もしくは「初心者です」と言えば親切に教えてくれることかと思います。

ただし初心者ジャムセッションにはホストミュージシャン自身の演奏レベルが低いことも少なからずあります。

ですから個人的にはジャムセッションに少し慣れたら初心者ジャムセッションは早めに卒業するのが良いと考えています。

ジャムセッションのシステム

そもそもジャムセッションへ行ったことのない人からするとジャムセッションってどんなシステム? と思われることでしょう。

もちろんシステムは店によって違いますが、大体こんな感じというものを紹介しましょう。

1.料金

ミュージックチャージセッション参加費などと呼ばれます。

店によってその料金プラス1ドリンクオーダーが義務となっているところや、既にミュージックチャージに含まれているところがあります。 大まかにですがチャージは安いところで1,000円から、高いところや有名な人がホストミュージシャンとなっている日だと2,5003,000円くらいでしょうか。

もちろんチャージが安くとも有名な人をブッキングする店もあります。

美味しいお酒が置いてあるところも多いのですが、くれぐれも飲み継ぎには注意しましょう(笑)。

ちなみにジャムセッションでは他の人が使う楽器が無造作にその辺のカウンターに置いてあることがあります。

それらを引っ掛けて落としたり傷つけてしまわないよう注意するのはもちろんのこと、同時に自分の楽器が人に傷つけられることのないよう置き場所には気を配りましょう。

2.入店

入店して、ジャムセッション参加希望ということを伝えると、ノートに名前と楽器を記入するように言われます。

このノートに記入することによってエントリー完了です。

ついでにオーダーをし、先払いのお店ではチャージを払って空いている席に着きましょう。

3.待ち時間

名前を呼ばれるまで席で待ちましょう。

混み具合によってすぐに呼ばれることもありますし、なかなか順番が回ってこないこともあります。 気持ちに余裕があれば他の人の演奏を聴いて楽しみましょう。

そうでなければ待っている間楽譜を見ていても良いですね。

必殺呪文「ジャムセッションハジメテナンデス」を小声で唱えて練習するのも良いでしょう。

楽器の準備に時間をかけないよう、なるべくスタンバイしておけるとベストです。

4.演奏

さあ順番が回ってきました。

ステージへ向かい、ホストミュージシャンへ向かって呪文「ジャムセッションハジメテナンデス」を発動しましょう。

「ニンニクヤサイマシマシアブラカラメ」は別の業界の呪文です。ご注意下さい。

状況にもよりますが、気配りしてくれるホストミュージシャンであれば、初心者になるべく選曲を任せてくれようとするでしょう。

そうなったら練習してきた曲をコールします。

本来ならばそこからテンポを決め、イントロはどうするか…ということを決める必要もあるのですが、先ほどの呪文が効いていればホストミュージシャンがある程度提示してくれます。

そして演奏開始です。 とまあ、大まかな流れはこんな感じです。

うまく演奏ができなかったとしても気にすることはありません。

一番大切な前提は、あなたはプロとして人から金をとって演奏するのではなく、むしろお金を払って楽器を演奏して楽しむためにきたのです。

だから、演奏が下手だったとしても誰からも責められるいわれはありません。

まあアドリブ中にロストしたりエンディングで失敗したりなど恥ずかしい思いはするかも知れませんが、それらは全てジャムセッションへ行かなければわからなかったことです。

あまり気にすることなく、帰ってから少しだけ練習して次回もジャムセッションへと足を運んでみましょう。

これを何度か繰り返すうちにあなたの演奏に対する感覚は物凄い速さで磨かれていくはずです。



ABOUTこの記事をかいた人

金村 盡志(かねむら つくし)

1986年生まれ。中学生から吹奏楽を通してトランペットの演奏を始め、高校生からジャズに目覚める。その後、原朋直氏(tp)に約4年間師事し、2010年からニューヨークのThe New Schoolに設立されたThe New School for Jazz and Contemporary Music部門に留学。Jimmy Owens(tp)氏などの指導を受け帰国し、関東近郊を中心に音楽活動を開始。金村盡志トランペット教室でのレッスンを行いながら、精力的に活動を続けている。