プロのトランペッターの楽器メンテを、ちょっとのぞきみ

トランペットのメンテナンスで押さえておいたほうがいいポイント

トランペット メンテナンス

昨年11月のAOI JAZZインタビュー記事で、トランペット磨かないでおいたらなんか黒くなっちゃった(意訳)という恥ずべきエピソードを公開されてしまいましたが、こんな僕だって今はしっかりとトランペットのメンテナンスをしています。

…しているつもりです(笑)。

僕のように銀メッキの楽器のメンテをさぼって黒ずませてしまうというのは言語道断ですが、楽器のメンテナンスというものは普段ストレスなく演奏をするために重要なものです。

実は今回のお題について書いてくれと言われたとき既に僕自身のブログにてトランペットのクリーニングについて書いてしまった後なのであまり書くことがありません。

https://thetrumpetschool.com/2019/03/12/trumpet-cleaning1/

https://thetrumpetschool.com/2019/03/13/trumpet-cleaning2/

ですので概説はそちらに委ねるとしてここでは多くの方が陥りがちなミス、そして意外と見落としやすいポイントについて書いてみたいと思います。

初心者が陥りがちなミス

トランペットを始めたての頃、ピストンにオイルをさしたら突然トランペットが吹けなくなったことはありませんか?

先日も僕の教室へ通い始めて日の経っていない小学生が、「トランペットの音が突然出なくなっちゃったんです」と言うのです。

同行していたお母さんも原因がわからず、せっかく買ったトランペットが壊れてしまったのかと心配されていました。

そのトランペットを見てみると、バルブオイルをさしたときにピストンの向きをデタラメに入れてしまっていたんです。 僕もトランペット教室を開くまでは意外だったのですが、このようなケースは少なくありません。

対処法は「トランペット ピストン 向き」で検索すればいくらでも出てきます。 しかし初心者にとっては突然音が出なくなった原因が、ピストンの向きにあるだなんて思いもよりませんから慌ててしまうのですね。

というわけでトランペットの音が突然出なくなった時の対処法としてはまずこちらをご覧ください。

https://thetrumpetschool.com/2019/02/22/piston/

一部のビンテージを除いてほとんどのトランペットに対応するかと思います。

ほとんどの音は出るんだけど一部の音だけが出づらいとき

あまり多くはりませんが、たまにこういうことも起こるようです。

この場合はウォーターキイ(つば抜き)をチェックしてみましょう。

多くのウォーターキイにはコルクが用いられていますが、そのコルクは劣化します。

劣化したコルクはだんだん欠けたりしてウォーターキイの穴をふさぐことができなくなってしまいます。

リコーダーではないのですから管のどこかから空気が漏れるような状態ではトランペットを正しく吹くことはできません。

ここまで劣化する前にコルクが薄くなってきたなと感じたら楽器屋さんで見てもらいましょう。

コルクが大丈夫そうな場合は、ウォーターキイのバネが折れたりしていないか確認しましょう。

特に水を抜くときにウォーターキイがやたらと軽いなと感じたら要注意です。

トランペット メンテナンス

ウォーターキイのバネは、写真のように2点でウォーターキイを押さえているのですが、金属疲労で片方だけ折れてしまっていることがたまにあります。

折れているのが片方だけならば演奏に支障はほとんどありません。

ただし、もう片方が折れてしまったらウォーターキイを何かで押さえておかなければ穴が開いたままとなってしまいます。

トランペット メンテナンス

(ヤマハ YTR 8335Gのウォーターキイ)

トランペット メンテナンス トランペット メンテナンス

(BACH Stradivarius 180ML37SPのウォーターキイ)

いずれの場合も、特殊なブランドのトランペットだったり、そのお店が忙しいときでなければすぐに修理してくれます。

僕がいつもお世話になっている楽器屋さんではパーツ代だけで修理してくれますが、普通の楽器屋さんでも大してお金はかからないと思います。

小さくて地味なパーツですが壊れたり不具合が生じるとまともに演奏できなくなってしまいます。

少しでもおかしいと思ったら早めに楽器屋さんでチェックしてもらいましょう。

とある大御所トランペッターの方から聞いた話ですが、まだ若かった頃知り合いのライブにシットイン(飛び入り参加)したにもかかわらず何故か音が出ず、その場でトランペットをバラしても原因がわからない…。

後で見てみると、コルクが欠けていたという笑えない話も聞いたことがあります…。

どんなに素晴らしい演奏をしても楽器が万全でなければそれを表現することはできません。

日々の練習もさることながら、楽器のメンテナンスにも気を配ることを忘れないようにしましょう。

 

…と黒ずんでメッキのはげかけた僕の楽器が言っているような気がします(笑)。



ABOUTこの記事をかいた人

金村 盡志(かねむら つくし)

1986年生まれ。中学生から吹奏楽を通してトランペットの演奏を始め、高校生からジャズに目覚める。その後、原朋直氏(tp)に約4年間師事し、2010年からニューヨークのThe New Schoolに設立されたThe New School for Jazz and Contemporary Music部門に留学。Jimmy Owens(tp)氏などの指導を受け帰国し、関東近郊を中心に音楽活動を開始。金村盡志トランペット教室でのレッスンを行いながら、精力的に活動を続けている。