北海道の硫黄山と川に流れる温泉をとんでもない距離を走行して見に行く

硫黄山

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北海道横断自動車道をひたすら走る

某日、我々はひたすらに長い道路を走行していた。

モジカル編集長である私、のじさとしと、新メンバーDongoros(ドンゴロス)くんの2人だ。

ドンゴロスくんは新人ながら、既に原稿を3本ほど飛ばし続けている猛者だ。

もはや車のアクセルをちょこちょこ操作する私の右足首は悲鳴を上げ、腰はどれだけ姿勢を変えようが痛みというレスリング選手がどうしても手を離さない。

何本目かのノンシュガーエナジードリンクの最後の数滴を口の中にたらし、再度気合いを入れ直す。

ここは、北海道横断自動車道。あの広い北海道を西は寿都、東は根室(東は網走に分岐することもできる)まで、文字通り横断する。

今回は野地サイクル喫茶部の買いだしをかねて札幌近辺から屈斜路湖までを目的地としており、予想走行時間は休憩なしで6時間ほどを想定していた。

学生時代には東日本大震災の復興ボランティアのため、東京から岩手は大船渡まで一晩で車移動したこともある。

その後の新聞記者時代には社用オンボロ軽自動車を1日4時間は乗り回し取材やら業務やらしていた人間だ。

なんなら今も1日で運転しない日はないほどである。これくらいは余裕であろう。

と、思っていた。

はっきり言って、北海道を舐めた行程にほかならない。

そもそも、高速道路を走っていて一車線という過酷な環境を想定していなかった。

後続車は北海道になれた車両、前方を走るのは大型のトラックやなにがしかの薬品を満載した車両、これらが猛スピードかつ追い越し車線の概念のない1車線を団子になってはしる。

また関東近郊で見かけるような中央分離帯という概念は存在せず、そこそこのスピードでつっこめばすっとんでいきそうな、グランドセフトオートに出てくるようなお情け程度の棒の立った中央分離帯。

そんなすぐ近くの反対車線をスティーブン・スピルバーグ監督の初監督作品“激突”よろしく飛ばしていく道内ドライバーの皆様。またお仕事をがんばっていらっしゃる大型ダンプの運転手の皆様。

目を血走らせハンドルを握りつぶさんばかりに握り込み、エヴァンゲリオン並みの前傾姿勢で運転を続ける私。

命の価値とは、大自然のなかではかくも小さきものであると思い知らされるばかりであった。

しばらく(おおむね3時間半ほど)行くと高速道路は終わり、牧歌的な風景が広がる。

そう、広がっている。

永遠ではないかと見まごうほどに。

とにかくどこまで行っても森と畑と放牧場。あと狭い車道。

とにかくここでは人間の肩身が狭い。

北海道の自然や、圧倒的スケールにおいて行われるアグリビジネスの中を門外漢を乗せたこれまた門外漢な車がこそこそと這っていくような、なにやら腰布一枚の間男のような頼りなさを覚える。

そうしてそこからさらに走行は続いていく。

気の利いたロードムービーなら何か起こりそうなものの、我々はひたすらになつかしのアニソンを叫びながら山間、森間、草原間、牧草地間を行く。

好きで叫んでいるのではない。眠いのだ。

最初は牛だ! 広大な自然だ! 悠然とした山野だ! と、ワーキャーはしゃいでいたが、ハッキリ言って30分もすれば見慣れる。

どこまで行っても同じ光景。高速道路もそうだったがあまりにも同じだ。

眠気対策は必須である。

硫黄山

そしてようやく到着したのが、硫黄山だ!

弟子屈町の硫黄山に到着

これはまた写真では伝わらない・・・。

僕は神奈川県は小田原市の出身で、小田原のお隣といえば箱根があり、こちらにも硫黄山がある。

道さえ空いていれば自宅から車で30分ほどでいける。

見慣れた景色だと言えば見慣れた景色。

が、スケールがちがう。縮尺がおかしくなる。遠いのに近い。

まったくおかしな話だがディズニーランドのアトラクション感のある現実味のなさ。

硫黄山

この硫黄山という呼び方は通称で、本来はアトサヌプリという。

こちらはアイヌ語。意味は「裸の山」。

硫黄山

これだけ雄大な自然の北海道の山中で、たしかに草木の一本すら生えていない状態は珍しい。

なんだかここだけ急に出現したような異様さすら覚える。

硫黄山

そして湧いている。そう、温泉。

摩周湖の伏流水が硫黄山の地中で温められ噴出している。

今一番欲しい。一番入りたいタイミングだ。

しかしここはさすがに強すぎる。

観光で行っているから感じないが、旅の途中の勇者ご一行なら確実にボス戦となるのが分かる背景である。

体にいい感じは微塵もしない。

しかし何度見てもでかい。そして衰えない迫力。

写真では無理だ。現地に行ってみていただきたい。

硫黄山

あまりの自然の驚異に、一時的にしようと思っていた「だ、である調」の文体から直らない。

非常に雑にすごいものを見た。

駐車場は入場料500円だった。あんな雑にあんなすごい地球を見て良かったのだろうか。

もっとこう、登山家のような重装備で、テントを張って、無線を使いこなすようなパーティーで行くべき場所のような。

Tシャツ、短パン、スニーカーでよかったのだろうか・・・。

なんだかおかしな気分でお宿を目指す。

川湯温泉に到着

と、いうことで、ようやく当初の目的地川湯温泉にやってまいりました。

実際の走行距離は休憩時間などふくめず7時間半程度だったと思います。

さあー、右足首、腰、手の平、首が痛い。

馬力はいらないですが走行感のいい車をオススメします。

あと、僕達はお安めレンタカーのため付いていなかったのですが、オートクルーズコントロール。

あったらいいなが止まりません。

さて、川湯はその名の通り。川に温泉が流れてます。

さっきの硫黄山よろしく、摩周湖の伏流水が地中のマグマであたためられているものが湧いているそうです。

鼻はすぐに慣れますが湯気の出る川というのが赴き深い。

川湯温泉

その昔、道路状況の改善から多くの団体客でにぎわい、数々の店がつらなった街並みも、今や兵どもが夢の跡。

どことなくノスタルジックな散歩を続けると出てくるのが、その名の通りの川湯です。

川湯温泉

こちらは川湯神社脇。少し分かりにくい場所にあります。

ハッキリ申し上げれば初見の印象は大した散策路ではないなと思いました。

それがどうですか。

川湯温泉

いい景観です。

川湯温泉

ここにも、北海道の神様でもいるのでしょう。

夕暮れどきでしたが陽が射し込んでくるとなんとも言えない心持ちです。

川底の緑色はおそらく藻ですね。川湯の温泉は強い酸性だそうですが、草津に行った際も強い酸性の泉質の桶に緑の藻が生えていて、酸のつよい部分に生えるものだと聞いたことがあります。

川湯温泉

いつも見る川なのに、いつも見る川ではない。

川湯温泉

不思議な気分でこちらを後にします。

川湯温泉

少し行くともう少し広い川もあります。こちらは近くに足湯もあります。

川湯温泉

結構唐突に川が出現するので驚きます。

一時期このあたりにはゴミの堆積などもあったようですが、地元住民の方たちの努力でここまで回復したそう。

ほんとうに、夢の跡だなあ。

川湯温泉

周囲に人がいないので、すごく静かで。

川湯温泉

水音が耳に心地いいです。

このあと、近くにあった日帰り温泉に入ってからお宿に向かいました。

泉質は最高。

お宿の温泉と合わせて何度も入って居舞いました。

帰るときには化粧水も使っていないのにお肌ツルツル。

もうここには来ないかもしれない。けれど、きっとまた思い出す。

そんな場所でした。



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大学卒業後に新聞社に入社、その後ビジネス書の制作を得意とする編集プロダクションに転職。フリーでWEBや紙媒体での企画、編集、執筆、撮影などを担当し、現在はモジカル編集長。趣味の料理が高じてレシピ記事なども制作。