みなさんSF Jazz Collective(サンフランシスコジャズコレクティブ)というバンドをご存知ですか?
2004年から年に数回のペースで活動している8人編成のバンドですが、実は普通のバンドとは一味違います。
通常、バンドはリーダーがいてバンドメンバーがいると思いますが、このバンドはリーダーが不在でみんなが演奏する曲のアレンジや作曲を担います。
そして歴史に残るアーティストを毎年1人フィーチャーしてその人の曲をバンドでアレンジして演奏しているんです。
サウンドもアレンジもソロも、どれをとっても一級品の演奏なので知らなければ是非チェックしたほうがいいバンドですよ。
そんなSF Jazz Collectiveの魅力や凄さを今回はご紹介していきたいと思います。
バンド形態
8人からなるバンドですが楽器編成も少し変わっています。
- アルトサックス
- テナーサックス
- トランペット
- トロンボーン
- ビブラフォン
- ピアノ
- ベース
- ドラム
珍しい編成で4管にピアノトリオ+ビブラフォンです。
ビッグバンドよりは人数が少ないですが、コンボ編成にしては多いのでビッグバンドとコンボの中間ですね。なぜこの編成なのか理由がありそうです。
編成のメリット1
テーマのメロディはビッグバンドのようなサウンドの厚みが出せて、ソロではビッグバンドより自由にソロを展開できることは大きな魅力です。
ビッグバンドはある程度流れが決まっているのでコンボのように長く、自由にソロをとれません。
コンボは自由にソロをとれますがビッグバンドのようなサウンドとアレンジ力は出せません。
この2つの短所を補うようなバランスでこのバンドが成り立っている気がします。
編成のメリット2
管楽器でメロディをとることが多いですが、ビブラフォンでメロディをとって管楽器をバックでハーモニーをつけたりできるので曲によってサウンドに変化を出せます。
もちろん誰かのソロのバックにもホーンアレンジをつけることができるのでこれもビッグバンドのようなことができますね。
大人数ですがしっかりそれぞれのプレイヤーの個性が光る編成になっています。
現メンバーと歴代のメンバー
バンドメンバーは固定ではなく活動時期によって交代していきます。
2004年から活動して今年で16年くらいになりますので沢山のプレイヤーがいますよ。
ざっと紹介していきましょう。
アルトサックス
- ミゲル・ゼノン: alto saxophone/flute (2004-2019)
テナーサックス
- ジョシュア・レッドマン (2004–2007)
- ジョー・ロバーノ (2008–2009)
- マーク・ターナー (2010–2012)
- デイビッド・サンチェス(2013-2019)
トランペット
- ニコラス・ペイトン (2004–2006)
- デイヴ・ダグラス (2007–2009)
- アビシャイ・コーエン (2009-2015)
- シーン・ジョーンズ (2015-2017)
- エチエンヌ・チャールス(2018-2019)
トロンボーン
- ジョシュ・ロスマン (2004)
- アイザック・スミス (2004–2005)
- アンドレ・ハワード (2004–2007)
- ロビン・ユーバンクス (2008-2018)
ビブラフォン
- ボビー・ハッチャーソン (2004–2007)
- ステフォン・ハリス (2007-2013)
- ウォーレン・ウルフ(2014-2019)
ピアノ
- レニー・ロスネス (2004–2009)
- エドワード・サイモン(2010-2019)
ベース
- ロバート・ハースト (2004)
- マット・ペンマン (2005-2018)
- マット・ブリューワー (2019)
ドラム
- ブライアン・ブレイド(2004)
- エリック・ハーランド (2005–2012)
- ジェフ・バラード (2012-2013)
- オベッド・カルベーレ (2014-2019)
楽器別に歴代のメンバーから現在のプレイヤーまで並べてみました。
どのプレイヤーを見ても最前線でリーダーとして活動しているプレイヤーばかりなんです。
いうなれば、ジャズ界のオールスターバンドなのでこれは是非聴いておきたいところですよね。
これまでにピックアップされたアーティスト
先ほど述べたようにこのバンドは毎年近代の有名アーティストを1人ピックアップして、その人が作曲した曲を題材にしてバンドでアレンジして演奏しています。
今までには、以下のアーティストたちがピックアップされました。
- オーネット・コールマン(2004)
- ジョン・コルトレーン(2005)
- ハービー・ハンコック(2006)
- セロニアス・モンク(2007)
- ウエイン・ショーター(2008)
- マッコイ・ターナー (2009)
- ホレス・シルバー(2010)
- スティービー・ワンダー(2011,2012)
- チック・コリア(2013)
- ジョー・ヘンダーソン(2014)
- マイケル・ジャクソン(2015)
- マイル・スデイビス(2016)
- オーネット・コールマン、スティービー・ワンダー、セロニアス・モンク(2017)
- アントニオ・カルロス・ジョビン(2018)
2017年は振り返りの年になっていますが毎年これだけの有名ミュージシャンの曲がピックアップされています。
SF Jazz Collectiveの聴き所
有名な曲でいくつかyoutubeの動画があがっているので実際の演奏を聴いてみてください。
・Moment’s Notice(ジョン・コルトレーン)
・Superstition(スティービー・ワンダー)
・Don’t stop ‘Til You Get Enough(マイケル・ジャクソン)
・Spain(チック・コリア)
最後のチック・コリアのスペインは本人も参加しています。
こうやってジャズファンがよく知っている曲を大人数でのコンテンポラリーアレンジをするいことで、新鮮味があって聴きごたえがありますよね。
あとはジャズの醍醐味であるテーマからのアドリブソロもたっぷりあるので、リズムセクションとソリストのインタープレイも楽しめます。
最初のテーマで曲のアレンジを楽しむ。ソロでそれぞれのソロやコンピングを楽しむ。最後にまた最初のテーマとは違うアレンジを楽しむという風に最初は注目してみるといいかもしません。
またソロの掛け合いも聴きごたえがありますね。
これはドラムのエリック・ハーランドのユニオンという曲ですが、テーマが終わった後2:13あたりからサックス2人で同時にソロをとり始めます。
お互い邪魔することなく、むしろ絡みながらソロが進んでいってますね。
その後のピアノソロもひと味違う展開で盛り上がり、そこから畳み掛けるようなドラムソロに入ります。
曲の流れがとてもアツいので是非見てみてください。
なかなかジャズバンドでここまで凝ったアレンジとソロ展開が、同時に楽しめるバンドも少ないと思います。
最後に
SF Jazz CollectiveのCDはちょっとお高いです。
2枚入りのアルバムで毎年出されていますがこれで1万円弱くらいします。
普通のCDだと1枚3,000円くらいで買えるのでちょっと値が張るかもしれませんが、ぜひこの年のこれが聴きたいというものがあれば買うのをお勧めします。
ちなみに僕のオススメの年は2004年、2007年、2011年の年のものがオススメです。
個人的に2004年はジョシュ・アレッドマンとブライアン・ブレイドが参加していて、2007年は新メンバーになってからSF Jazz Collectiveの良さがよく引き立っています。
2011年はスティービーのアレンジが気に入っているのでこれもよく聴きます。
今はYouTubeの方でも公式でチャンネルが作られているので、そこから動画をたくさん見てみても面白いですよね。
あとはストリーミングサービスのApple Music, Spotifyなどで聴けるアルバムもいくつかあるので、持っている人はそこから聴いてみてください。
このバンドの演奏に興奮することは間違いないので聴いたことなければすぐにチェックです。