紙パックの鬼ころしをストローでチューチュー吸いたい

とある日のこと。

神奈川県は平塚市を車で暴走。いや、すいません。普通に車で買い物にでかけていました。

平塚には競輪場があるので、レースの日は多数のおじさまを見かけます。

ちょうどこの日もレースがあったようで、キャップをかぶった人がちらほら。

そして、あの光景を目にしました。

車を停めて駅の近くに行き交ったところ、ベンチに座っているおじさまが。

おそらく競輪帰りであろうことは落ちた肩を見てすぐに判明。

競輪場から意気揚々と帰ってくる人見たことないな、などと思いながら前を通り過ぎるときになにかを飲んでいるのに気づきました。

それは小さく、そして冷えているのか結露し、細いストローがささっている。

もう、お分かりですね。

鬼ころしです。

鬼ころしって大学生くらいのときに大きなパックで買ってきて友達と熱燗で飲み、ベッロベロに酔っ払って以来手に取ることがありませんでした。

手のひらサイズのちいさいパックでストローで飲む。

暑い夏の日に、これがうまそうで。

生唾をゴクリ。

コンビニに売っていたはずだと急いで車に戻り購入。大慌てで帰りました。

が、まだ午後4時ほど。

なんだか今が飲み頃ではない気がして。とりあえず冷蔵庫に入れて時期を見計らいます。

しばらく経ち時刻は翌午前2時。

今だ。今こそ、この鬼ころしを飲むときだ。

鬼ころし パック

ということで冷蔵庫から取り出しました。

冷えた堅めのパックがなぜかそそる。

この高揚感はなんだろう。

そしてこのストロー。

これがたまらない。

ストロー挿すところ広く開けるタイプのやつだ。

久しぶりに見たな。昔フルーツジュースの紙パックとかこれだったよね。

では、とりあえず。

うっま。辛口の冷酒。

たぶんグラスで出てもうまいだろうけれど、この細いストローでチューチュー吸うことで2倍はおいしく感じる。

さすがに日本酒なのでごくごくいく訳にはいかず、この量でもしばらく持ちそうですね。

鬼ころしだけだと寂しいのでおつまみでもいただきましょうか。

キハダマグロのべっこうです。

べっこうというのは伊豆諸島の北端の方に位置する大島のご当地料理。

大島といえば東京都内の住所となりますが神奈川県民としては静岡県の島という感覚。

彼の地では島とうがらしという辛味強めのとうがらしと醤油を合わせて日をおいたものに、お刺身を30分ほど漬けて食べるのですがこれが個人的に好物でして。

お寿司になることも多いですが僕はお刺身のまま食べるのが好き。

沖縄の大東寿司は同じような調味液に刺身をつけ込みますが、あちらはみりんなどの甘みのある調味料を合わせるためにべっこうのほうがいくぶんサッパリとしています。

鬼ころしと一緒にいただきまーす。

うん、うんうん。うん? うん。 うん? うーーーん。

思ったより合わない。

まずくはないけれど、なんというか別にこれでなくてもいい。

ストローで鬼ころしをすするときに、どうも生臭みのようなものを感じてしまう。

べっこうのみで食べるとむしろこのクセがうまみとなっておいしいのに。

あと、お箸で食べた後に細いストローですするという行為が脳に悪影響を与えるような。

お行儀の壁なのかあまり経験がないからなのか、おいしく感じない気がする。

こうなると探究心に火がつく。深夜のキッチンで鬼ころし(ストローver.)に合うつまみを探そう!

ということで定番の乾き物。

べっこうを食べているときに感じたのですが、ストローを口中に運んだ際に水分の多い食べ物が口の中にあるのがどうも嫌味に感じているように思って。

では、まずはせんべいを。

ここのおせんべいは本当においしい。小田原のあおいやさんのものですが海苔と醤油がスーパーのせんべいや、なんなら有名店のものと比べても頭1つ以上抜けているんだよな。

サクサクとガリガリの間の食感に風味のよさ、いつもはお茶と食べるけれどこれならなんとなく鬼ころしにも合いそうだ。

では、いざマリアージュ。

うんうん、なるほど。

合わない!

ちょっと上品すぎるな。

鬼ころしの味とストローという組み合わせがある種のジャンク感を醸成しているため、おつまみが上品すぎると合わない。

風味のいいものだとやはりストローですするという行為の際に風味の鼻通りがよすぎる。

プロヴァンス風スープを飲みながら牡蠣フライを食べている気になる。

困った。深夜のキッチンでもっとジャンクなものを探さなくては。

見つけた。缶詰のソーセージ。

先日、自衛隊の方が行軍中に食べるMREの話題に触れたエッセイを読んで食べたくなって購入したもの。

食べる機会を逸していたのでちょうどいい。

開封。いや、開缶? 開缶は塗料容器の言葉かな。まあ、いいや。

この独特なある種システマチックな見た目がいい。なぜかうまそう。

この照り。いいね。

では、いただきます。

ああ、おいしい。とってつけたような皮部分のぱりぱりとした食感。

魚肉ソーセージに近いようなやわらかくうまみのある歯触り。

塩味にうまみ。

いいね。シャウエッセンなんかよりドイツの白ソーセージ、ヴァイスブルストに似てるよな。

あっちは皮食べないけれど。

しかしながら缶詰ソーセージが主役ではない。

主役はこいつだ! 鬼ころし!

いくぜ! ソーセージぱく! 鬼ころしゴクッ!!

うまい!

これは偶然にも最高の相棒を見つけてしまったのではなかろうか。

夏場なので缶詰ソーセージは若干ぬるく、冷たい鬼ころしとの温度差がすばらしい。

おまけに塩気と辛めの日本酒の味わい。

正直ヘタな料理より合うぞこれ。めちゃくちゃおいしい。

量のバランスもちょうどいいんだよな。

缶詰ソーセージは小ぶりなので一口に対してちょうど鬼ころし一吸いで事足りる。

これは抜群の相性。

おもわぬところから見つけてしまった。

 

ということで、鬼ころしは冷やしてストローで飲むとうまいし、アテには缶詰のソーセージが合う、と思う。

こればっかりは試してもらわないと分からない。

このソーセージを食べ進めるとドラムマガジンの弾倉から弾がなくなっていくような見た目も好き。

普段食べない、飲まないものでもやはりおいしいものはまだ世にあふれている。

どこまでもいこう。うまいものを探して。



ABOUTこの記事をかいた人

アバター画像

大学卒業後に新聞社に入社、その後ビジネス書の制作を得意とする編集プロダクションに転職。フリーでWEBや紙媒体での企画、編集、執筆、撮影などを担当し、現在はモジカル編集長。趣味の料理が高じてレシピ記事なども制作。