ギャバンのコショーはたっぷりふりかけるとうまいんだよ

ギャバン コショー

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どうもどうも、編集長 のじさとしです。

コショー。魅惑のスパイス。

かつてコショーを求めた人々は過酷を極めた海運貿易の道を切り開き、原産地であるインドを目指した。

特にヨーソローと海に飛び出したのはヨーロッパ人で、過熱していく輸送競争はいいのか悪いのか世界を狭くすることになりました。

なんとなく、このヨーロッパの海運貿易をもってコショーが世界で使われるようになったようなイメージを持っていましたが、原産国である彼の地では実はそれ以前にコショーのアジア圏への輸出に成功していて、中国やインドネシアなどとは定期的に貿易が行われていたそう。

しかしながらヨーロッパ人の登場により、イギリスインド会社とオランダインド会社というとんでもない会社が設立され植民地化が推し進められ、それまでうまく回っていた輸出政策はもののみごとに崩壊。

麻薬は蔓延するは、おびただしい血は流されるは、どれだけの人が煮え湯を飲まされたのか、これらの原因と結果が歴史に名を残したのはみなさんの知るところ。

一方でヨーロッパ人や現地の一部の人は巨額の富をもうけ、これを原資に投資を行いこれまた歴史に名を残すような偉業を達成したり、国際貿易の基盤をなす一端をにない、現代まで続く食文化の流れにも大きな影響を与えたり、人類の技術的、文化的発展の根底にはこのコショーにまつわるお金がふんだんに使用されていて、今の私たちの生活を支えるものの草創期につながる部分が複雑にからみすぎて、悲喜こもごもの様相を呈す様は善も悪もニーチェの言う「彼岸」を超える大谷の特大ホームランボールにくっついて宇宙に飛び出ているような訳の分からん感情に襲われます。

そんな人々を狂乱に落とし入れたスパイスの歴史は古く、みなさんご存知文化の転換点ローマ帝国時代にも使用されていました。

原産地インドではアーユルヴェーダ(非常にシンプルかつ無礼に言うならマッサージとヨガと食事療法などを組み込んだ生活習慣の指針、だが、考え方や捉え方が複雑で一言で表しにくい)の考えのもと使用されていたコショー(サンスクリッド語では黒胡椒の呼び方がマリチャなのでホワイトペッパーはあまり使用しなかったのかな?)を服用薬や軟膏として用いる様が記録として残っています。

さまざまな症状に効く薬とされていたようですが、特徴的なところでは頭痛薬や咳止め代わりや皮膚病への使用など。

正直ヨーロッパを中心に使われ方が多種多様すぎて一概にこう、とは言いにくいのですが、気になる方は少し調べてみるだけで僕が言い淀む理由をわかっていただけると思います。

薬用としても食用としても使用されていましたが、現在のように食用を中心に変化していくのは有力な説では中世ヨーロッパ。

すこしずつ価格が安定した際の使用方法としてはやはりお肉などの臭み消しだったのかなと思います。

日本人の食生活は鮮度というものをことさら大切にしており、とくに発酵の力によって食材を悪い状態にすることがない、もしくは遅くしていることもあってあまり経験はありませんが、海外のレシピ本などで取り扱われる古いレシピを見ると鮮度の悪い風味の悪くなったお肉などを食べるためにコショーをかなり使用するように記述された一節が数多く残されています。

特にイタリアのレシピではコショーと赤ワインをたっぷり使ってお肉を煮詰めていくレシピが結構多く。トスカーナのペポーゾなんてまさに、なレシピです。

日本にもクセを消すために生姜や大葉などを使用することはありますが、そこまで鮮度が悪いものをわざわざ食べる様式というものはほとんど見かけません。

まあ、日本食の作り方というもので記録が残っているものは庶民のものではないということも理由になっているかもしれませんが・・・。

さて、そんなコショー。みなさんのご家庭にもありますよね。

大学生の頃にはぜんぜん自炊しないという後輩の家の台所にも塩とコショー、ないし塩コショーの一体となった調味料があり、コショーが日本国民に定着したポピュラーなスパイスであることに驚いたものです。

自分はそこまで使用しないのですが、やはりコショーは挽き立て、もしくは炒りたてがうまい。

そのため電動ミルを使用することがほとんどでした。

が。

とあるラーメン屋で衝撃的なコショーと出会います。

そう、ギャバンのコショーです。

いつもは家系ラーメンか二郎と自宅では再現困難なこってりの極地のような一杯を好みますが、このときはどうしてもさっぱりとした中華そばを食べたくて。

それっぽいお店を見つけ入店し中華そばを注文。

先に入店していた隣りのおじさんを横目に「オムライスあるタイプの中華料理屋さんてだいたいうまいよな」なんて思いながらメニューをじろじろ見ていると、お隣に先に着丼。

同じ注文のようです。

チラリと流し見て希望通りの見た目に心の中でにっこりとした後、再びメニューに視線を落とすと視界の端で特徴的なカラーがちらつきます。

もうお分かりですね、このカラーとは銀と青です。

「ギャバンだ!」

反射的に首をまげずにカウンター正面を一心に見つめ視界を広げます。

中身のコショーが少ないのか5振り6振りと回数を重ね、ようやくレンゲ片手にスープを楽しむおじさん。

うんともすんともいわず麺をズズズズとすすりまたスープを。

どことなく香るスープとコショーのマリアージュ。

これはたまらん。

しばらくカウンターの木目を数えてラーメンが到着したので、さっそくコショーを。

とはならず、さすがに半分ほどそのまま楽しみます。

うまい。さっぱりしているけれどしっかりとしたうまい醤油。

そこまでスープは濃くなく麺が透けて見えているところもいい。

少し縮れてモチっとした麺は最近ではめずらしく体にやさしい。

鶏ガラの効いたいわゆる昔ながらの味わいにホッとして、満を持して登場するのが、そう、ギャバン。

いきなり丼に振りかけるのは新進気鋭の書道家が身の丈ほどもある半紙に巨大なリーゼントを蓄えた昭和のヤンキーの頭くらいある筆を用いて一筆書きを始めるが如く。

そのような度胸は持ち合わせておりません。

レンゲにスープをひとすくいしその中だけを狙って慎重にコショー缶を振り、ズズッ。

うまい。

決してクセが強かった訳ではないスッキリとしたスープですが、非常にうまくクセが飛び、うまさへと変わる。

自宅でこだわって炒って挽いているホワイトペッパーともまったく違う。

なんだろうかこの独特の風味は。

なんでこんなに合うんだ。

これは、いい!

ラーメンスープを丼を持って飲み干し、目から落ちるウロコを抑えながらスーパーへと向かいました。

ギャバンのコショーを使ってみる

ギャバン コショー

買って参りました。ギャバンのコショー。

文頭から胡椒をコショーと表記しておりますが、本来好きなのはやはり漢字表記。

しかしこのカタカナのコショーという文字。なにか心躍る。

ということでコショーと表記していきます。

ギャバン コショー

このコショー、ホワイトペッパーとブラックペッパーのミックスです。

それこそコショーが人々を海へと駆り立てていた時代、まだ写真などもないですから、人々は原産地にてどのように栽培されているか知らず、舟でコショーを運んでいる本人たちですらホワイトペッパーとブラックペッパーの見た目の違いに2種類のコショーが栽培されているのだと勘違いをしていたそうですが、どちらも同じもの。

コショーがまだ緑色で若いときに収獲して天日干しを行い果皮の部分が黒くなったのがブラックペッパー、果皮を取り除いて乾燥させたものがホワイトペッパーです。

ちなみにピンクペッパーを同じコショーだと勘違いされている方もいますが、ホワイト・ブラックペッパーがコショウ科の植物の果実であるのに対して、ピンクペッパーはウルシ科(ピンクペッパーに使用される植物は種類がいくつかあるので主に使用されるもの)の果実のため分類がちがうものです。

科がちがうとなるとイヌとネコ(イヌはイヌ科、ネコはネコ科)くらいの違いがありますので似て非なるものです。

余談を挟みましたがブラックペッパーとホワイトペッパーの混合だから独特の風味なのかな。

ほかにはなにも入っていないようだし、この調合比率は気になるところです。

とりあえず中身を小皿に振ってみてみましょう。まずこちらはいつもの電動ミルで擦っている白コショー。

ギャバン コショー

こちらがギャバンのコショー。

これだ、このビジュアルと香り。これこそギャバンのコショー。

ブラックとホワイトの混ざり具合。

これだけでひとなめ。

うん、香りはギャバンの独特な感じ。それとコショーだけなのになにかうまみを感じる。

なにかほかにも入っているのかとおもっていたけれど、ちがうのか。不思議。

コショーだけなめていてもしようがないのでフライドポテトを作りましょう。

生の小芋を揚げました。生の芋の場合強火で揚げると中心に火が通らずに揚がってしまうので、弱火で10〜20分近くジワジワと揚げて最後に火力を揚げて色づきを調整すると簡単です。

揚げあがりに油に少しバターを入れると風味がついてうまい。

ボウルに芋を移して塩、

コショーを加えてボウルをふりながらあえて、

完成。うまそう。

では、いただきます。

うんうん、うん、うんうんうん。

うん! なんか合わない!

なんだ、中華そばのときのような感動がない。なにこれ、ちょっとえぐみあるかも。

いつものホワイトペッパーをかけてみます。

うん、いつもの味。うまい。

これ、ギャバンのコショーが結構強い味わいのため、クセの少ない食材だと調味料との力関係がうまくいかないのかも。

よし、いろいろ試してみるか。

フライドチキンのコショーたっぷりがけ

まずはフライドチキン。

普段あまり食べないのですが、たまにいただくとこれ結構クセある品だと思うんですよね。

鶏肉の料理の中でもひときわ鳥の風味を全面に押し出している。

コショー一振り。

では、いただきます。

お! さっきの小芋のフライより断然うまい!

なんというか、より海外感があるといえばいいのか。

そもそもフライドチキンって日本料理ではないですが、コショーの力でより国内の料理ではないおいしさが際立つ。

これはいい。

マリアージュはクエン酸サワー。いただきます。

うめぇぇぇぇ。強い味わいが引き立て合う。

口中もさっぱりしていい。

ギャバン コショー

「もっとコショーガッツリかけちゃおうかな」なんて思いながらコショー缶を振ったら想定以上の量が飛び出しました。

やっちまった・・・。

しかしものは試し。ガブリ。

こ、これは! この量のコショーでも、まったくえぐみがない。

多分ある。えぐみはある。だけれどもフライドチキンの強い油と塩味でコショーのえぐみはうまみへと転じる。

これはハマった。うまい。この量のコショー、ありです。

 

同日さらに深夜。

クエン酸サワー3杯でしたたかに酔い、なんとなくお腹がへりました。

バターご飯のコショーたっぷりがけ

この飽食の時代! お腹が減ったのを我慢しなければいけない理由がどこにある!

皿に!

ちょっといいバター!

オンライス!

ざっくりと混ぜ合わせ!

醤油ぶっかけ!

ギャバン コショー

そしてコショーたっぷりぶっかけ!

立ち昇るバター、米、醤油、コショーの香りがたまらない!

どれ1つも欠けることなく均等に食欲を利かせてきやがる!

ギャバン コショー

深夜の背徳飯・・・!

いただきます・・・!

うっま! やはりバターくらい強い風味があればコショーのえぐみがうまくなるおもった。

使い所はむずかしいけれど噛み合えばシンプルな食事にスパイシーという彩りをあたえてくれる。

完食。

うまかった。こういうのいいよな。

たぶん、また深夜に食べる・・・。

ミニラーメンのコショーたっぷりがけ

満足した、と思わせてさらにもう一品。

今日お休みだから! いいんです! 週に一度くらい! と、誰にでもなく言い訳をする。

マグカップで作るミニラーメン。

これにもコショーを入れて。

うん! 箸洗い。

これは明日顔パンパンやわ。

ツナマヨおにぎりのコショーたっぷり和え

続いてツナ。カツオではなくちゃんとマグロ。ブリ缶でもよかったのですが(ブリ缶についてはこちらから)ここはやはりツナでしょう。

ギャバン コショー

こちらにもコショーを。

そしておにぎりに。

これは素朴でうまい。おにぎり自体の塩気を気持ち強めにしたほうがよりおいしい。

たらこスパゲティーコショーたっぷりがけ

北海道から送ってもらった塩たらこを皮ごとよく叩いて。

バター、醤油、エクストラバージンオリーブオイルであえました。

1.2%の塩水で茹でているので塩はなし。

ギャバン コショー

いつもは地元産の酸味強めのレモンをひとしぼりするんですが今回はギャバンのコショーたっぷりがけなのでレモンなし。

いただきます。

うん! これはすごい。たらこの皮ってよく叩いてやるとパスタと和えたときにすごくおいしい旨味がでますが、クセが強くなりすぎて。

鼻に抜ける風味があまりよろしくないのでいつもはレモンで打ち消していましたが、ちょうどの量が難しく酸っぱくなりすぎるときが多くて。

コショーでクセを打ち消すと分量の調整が楽でいい。そしてやはり濃厚さを保ったままうまい。

これ、今後レモンでなくコショーたっぷりにしようかな。

豚バラ焼きコショーたっぷりがけ

今度はご飯のお伴。豚バラの塩焼き。

ギャバン コショー

の、コショーたっぷりがけ。

いつもは柚子胡椒ですが、今回はコショー。柚子胡椒は胡椒という感じは入っていますが実際は青唐辛子の調味料。

ああ、もう香りだけでお腹すく。

こういう強い味には白米でなく麦飯が好き。

まずはこの厚切りの豚バラを一口で。

ああ、うまい。コショーとお肉の相性はもはやリーサル・ウェポン。

さっそく麦飯をかっこむ。

これは、この豚バラ1枚でかなりの量の麦飯を食べられてしまう。

でも、ちょっと水分量が足りないかも。コショーって見た目通り粉状なので舌触りがやはり水分少なめになってしまう。

これを補うには・・・。

ギャバン コショー

醤油だ!

ギャバン コショー

これはいかん・・・。

これは、本当にいかん・・・。

うまい、うますぎる・・・。

どんぶり飯一杯いただきました。

目玉焼き丼のコショーたっぷりがけ

ギャバン コショー

これはもう説明なし。

ベーコンエッグにギャバンのコショーたっぷり。

ギャバン コショー

このビジュアル、たまらん。

醤油をぶっかけてかっこむ。

うまぁぁ。

ギャバンのコショーは油ものに抜群に合う

ギャバンのコショー、ほんとうにうまい。

今回いろいろ試して分かったのはたんぱくすぎる味わいのものだと、コショーを少量にしなくては苦味などを感じやすいこと。

いつも使用しているホワイトペッパーなどは擦りたてなのもあってかそこまで感じませんが、コショーは結構風味が独特。

その分、いつものペッパーは油ものや強い味わいに負けてしまい、これならなくてもいいかもと思うときも多々ありますが。

やはり味が強く、お腹にたまるものに非常によく合いますね。

なにしろふりかけるだけでいいという手軽さも相まって使い勝手がいい。

もしも学生の初めての1人暮らしで台所に置く調味料に悩んでいるならば、塩とこのギャバンのコショーをおすすめします。

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GABAN(ギャバン)

余談なのですが、

この、日本の典型的なパン朝食に、

コショーではなく、ギャバンのブラックペッパーをかけてみました。

ギャバン コショー

これはですね。うまい。

うまいんですが、急にジャンク感が増します。

不思議。

 

コショー、魅惑のスパイスか。うまく言ったもんだ。

しかし、人生の楽しみ方なんてのは案外、中華料理屋のカウンターの隅にでもころがっているのかもしれない。

そこに目を向けられるかどうかが、心意気ってやつなのかな。



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大学卒業後に新聞社に入社、その後ビジネス書の制作を得意とする編集プロダクションに転職。フリーでWEBや紙媒体での企画、編集、執筆、撮影などを担当し、現在はモジカル編集長。趣味の料理が高じてレシピ記事なども制作。