どうもどうも、編集長 のじさとしです。
ツナ、お好きですか。
そう、マグロですね。日本人のマグロ好きは世界に知られている、など言われていますが水産庁の発表(2024年4月発表分、データの内容は22年のもの)によれば日本のまぐろの漁獲量はインドネシア、台湾、メキシコ、スペインに次ぎ5位であり、いわゆる寿司ネタとして人気の本マグロであるクロマグロは世界のマグロ漁獲量のうち数%、ほとんどはキハダマグロだそうで。
国内で消費されるマグロのうち国内生産分は50%を切るともいうので、マグロ好きは正しいのですが、マグロをよく獲ってよく食べる国、というのはあまり当てはまらないかもしれません。
そんな市場状況を象徴するのかしないのか、日本で食卓によくあがるツナ缶、実は結構な数がカツオです。
ツナ、はマグロの英名だと知られていますが、カツオもツナの一種です。
英名は「SKIPJACK TUNA」。
そのためカツオを使用したもののツナ缶という表記も間違いではありません。が、やっぱり味わいは違います。
そりゃマグロの刺身とカツオの刺身を食べ間違える人はそうそういないでしょう。
ヨーロッパの方ではツナ缶をわりと食べる国もあるそうで、イタリア、ドイツと留学していた知り合いが彼の地で食べたツナ缶を使った家庭料理はおいしかったが、日本で食べたら固かった、なんて話していたのですが、マグロのツナ缶を食べたら満足していたのでおそらくこの食感の違いがマグロとカツオの大きな違いということでしょう。
さて、そんなツナ缶、じつは日本のスーパーで見かけるものにもう1つ種類があることをご存知でしょうか。
そう、それこそがブリ缶です。
ブリのツナ缶「エブリ」
ブリ、マグロに次ぐと言っても過言ではないほど日本の歴史に根ざしたお魚です。
日本海側では塩蔵にしたものを神事に使用したり、燻製にしたり、豊作の年には武将にもあげられるなど、これまた時代のついた食材。
モジカルでは前から書いている通り、煮る、焼く、蒸す以外の調理方法がある場合には日本の歴史に根ざした食材であることがほとんどのため、ブリも日本の伝統的な食材の1つと考えてもいいでしょう。
これがツナ缶になっています。
ツナ缶と呼んでいますが、分かりやすいように言っているだけで実際にはツナではありません。
ブリの英名は「YELLOWTAIL」のため、実情に則すならテイル缶という呼び名が正しいかもしれませんね。
が、面倒なのでツナ缶の一種、略してツナ缶でとおさせていただきます。
さて、そのブリのツナ缶ですがこちらです。
シーチキン エブリ。
「EVERY」と魚種の名前である「ブリ」がかかっている商品名。
僕、ブリには目のない方でして、旬の冬の寒ブリに限らず養殖のブリでもうまいうまいと食べてしまいます。
特に最近は黒瀬ブリというニッスイの養殖するブリが年中食べられる上にクセが強くなく、うまい。
一昔前の養殖ブリといえば飼料の影響なのか脂臭いようなものがおおく、ベタッとした感じの食味で好きではなかったのですが、黒瀬ブリはシャキッとしていて脂ノリがよく、ちょっと薄めにイナダのお刺身くらいにしたもので食べると実においしい。
さて、とりあえずブリ缶をツマミ食い。
うんうん、やはりカツオのツナ缶とちがって身はぎっしりとしていながら、どことなくやわらか。
またカツオよりもいくぶんクセがなく、若干食べやすい。あくまで若干ですよ。
さて、これをどう食べるか、ですが、そのままはさすがに。
こういうものは一度しっかりと火を入れて、少しこがすなどしてクセをうまみに変えたい。
しかしフレーク状ゆえに火を通すと見た目がすこぶる悪い。
メインではなくソースとして使用することになると主題がぼやけてしまうので、ソースを主役にした食べ方にしたい。
となると日本料理は無理。ならばやはり簡単で安定の、
パスタだ!
ブリ缶をパスタソースにして食べる
パスタソースはある程度ペースト状や崩れた素材になっても問題なく盛りつけられるので盛りつけのことを考えなくて本当に楽。
1.2%の塩水でパスタを投入しブリの調理に移ります。
フライパンにニンニクスライスとペペロンチーノ半分程度を入れオリーブオイルを加え弱火にかけておきます。
その間にタマネギ用意。新タマネギの4分の1くらい。
細かくしすぎるとすぐに火が通ってしまい食感が薄くなってしまうので、少し大きめにしておいたほうがいいです。
ひねタマネギなら気持ち小さくしてもいいかな。大きくて火の通りがあまいと噛んだときに辛いので。
ニンニク、ペペロンチーノが色づいてきたらこげる前にアンチョビを入れます。
最近ちょっとアンチョビ高くなってきたのでペーストでも十分。
ペーストならティースプーン半分くらい。
そしてブリ缶投入。缶の中の汁も半分くらい入れます。
お魚の栄養分って結構茹で汁に持ってかれるのでうまみを戻すこともふまえて入れます(オイルを使用したブリ缶の場合は入れすぎると油っぽくなるので注意)。
あとは底味をつけるために塩をひとつまみだけ。
少し火がはいって缶の汁が煮詰まってきたらタマネギも加えます。
水分量が画像のようになってとろみが出てきたら、
日本酒イン。
大さじ4くらい。
後はパスタがゆだるまでアルコールを飛ばしつつ弱火で火を入れて煮詰めていきます。
このときなるべくフツフツとした状態を維持して、ソースに少しこげが入っていくとおいしくなります。
パスタがゆであがる1分〜30秒前にフライパンにイン。
1.9mmの太さのパスタなら1分前とかでいいですし、1.6mm近辺なら30秒前とかがいいですが、ゆで加減、かなり人の好みによるので試食して決めたほうがいいかも。
とにかく最後の仕上げはフライパンで茹でる感じで。麺が太い場合にはレードル一杯分の茹で汁、細いなら半分くらいを入れます。
ちなみに今回はバリラの1.9mm。余談ですがニューオークボの1.7mmがモッチモチでうまい。
今回は太めがいいのでバリラ。そのためレードル一杯分の茹で汁。
半分くらい茹で汁が煮詰まったら強めのオリーブオイルを入れて混ぜ合わせながらさらに一煮立ち。
パスタを動かしたときに水分がしっかり見える状態ではなくなったらOK。
完成! 本来ならパセリとかイタパセとかが登場するでしょうが、僕はお魚の風味が好きなので入れないです。
それに今回はブリ缶の味わいを楽しみたいしね。
では、いただきます。
これは、うまいっす。
なんと無難かつ失敗のない味わい。
シンプルだけどうまみがあって、ブリが口中に含まれたときとパスタばかりのときで味わいが変わります。
パスタのときはうまい魚のこげた風味が小麦と塩味と相まって広がり、ブリが多く口中にあるときは血合いの多い魚独特の強いうまみが広がります。
これが交互にくるのでうまい。
パスタ料理に合う表現ではないかもしれませんが滋味がある。
とくに夏にいい。
オイルだけど、なんとなくさっぱりしていてしつこくない。
レモンとか絞ったりするとクセがよりさっぱりするかもしれませんが、個人的にはこのままがいいかな。
このそこまで魚のクセを消してしまうならアンチョビだけでもいいような気がします。
あえてブリを使用するならこの感じを楽しみたい。
ただ、アンチョビとブリは一緒に使ったほうがいいかなーとは思うものの、塩味の調整が大変かも。
塩っぽく仕上げないのもアンチョビと茹で汁の塩味を把握していないとしょっぱくなりやすいかもしれません。
あんまり普段お料理しない人なら細かく味見したほうが無難ですね。
魚のうまみってすごいよな−。
ということで、ブリ缶でした。
カツオよりもマグロ、そしてブリ。
どの魚種を使っているかはパッケージに表記されているので、今度ツナ缶を買うときにパッケージを見てみてくださいね。