ジャズのバンドを組んでライブに出てみよう

これまでジャムセッションへ行きましょうという記事を何度か書き、普段からジャムセッションへ足を運ぶことの重要性を説いています。

ですが、ある程度ジャムセッションに慣れてくるとその限界も垣間見えてくるようになってきます。

初対面の人とでも演奏を通して楽しむことができるのはジャムセッションの楽しいところですが、少し難しい曲や構成が複雑な曲はコールしづらいものです。

またアンサンブルをより深めていくためには、初対面の人とばかりでなく、ある程度固定されたメンバーと演奏することが不可欠です。

そのためにもひと通りジャムセッションに通い慣れてきた方へオススメしたいのが、バンドを組み、そしてゆくゆくはライブへ出演してみるということです。

ジャズでは、ロックなどのジャンルとは、順番が逆ですね。

バンドを組むことのメリット

複雑な曲、難しい曲に取り組むことができる

まずは上にも書いたように、ジャムセッションでコールしづらい曲でもバンドであれば堂々とコールし、練習に取り組むことができます。

僕は学生時代、ジャズ研の顧問の先生に誘っていただいたバンドが、学生同士以外で組むバンドで初めてのものでした。

そのときは、So Near, So Farなど数々の難曲に挑戦させていただき、当時の僕にとって非常に良い経験を得ることができたのを覚えています。

こういった、めったにジャムセッションで演奏することのないような、難しい曲や変わった曲を演奏することは演奏能力の向上に大きく役立ちます。

アンサンブルをより深めることができる

アンサンブルというと吹奏楽部上がりの方からすれば、単にテーマやキメをかっこよく演奏するという意味かと受け取られそうですが、そうではありません。

ジャズでアンサンブルというとアドリブも含めて全体的なことを指します。

まあ考えてみれば当たり前のことですが。

ここで詳しく語りだすと長くなるので割愛しますが、ジャムセッションのように初対面の人と演奏するよりはアンサンブルは深めやすいものです。

また初対面でなく何度か演奏したことのある人同士であっても、その場で決めた曲を演奏するのではなくバンドとして同じ曲を何度も演奏することによってアンサンブルをより深めていくことが可能になります。

モチベーションアップに繋がる

これは単純明快です。

仲間同士でバンドを組んで曲を練習し、ライブまで行うということはシンプルにモチベーションアップに繋がります。

普段の練習にもハリがでるというものです。

ライブをしよう

練習だけのためにバンドを組むということもありえますが、バンドを組んだ場合、大抵はライブをやろうよという流れになることが多いでしょう。

はじめからライブの日程が決まっていて、そのためにバンドを組むということだって珍しくありません。

ライブに出演するというと、プロや上級者だけに許されるものというイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、アマチュアプレーヤーがライブをする機会を得ることは思ったより多いものです。

大小さまざまなジャズイベントだけではなく、ジャズバーでのライブなどでも出演者をよく見てみるとアマチュアのプレイヤーが大活躍しています。

もちろんある程度演奏の腕前は要求されますが、案外ハードルは低いんです。

自分がライブだなんて恐れ多い…なんて思わず図々しくいきましょう(笑)。

ライブに出演するために必要なこと

当たり前のことですがリハーサルが必要です。

ジャズのバンドのリハーサル、またその下準備で、最低限やらねばならないことを順番に書いてみました。

1:曲を決める

まずは演奏する曲を決める必要があります。

曲数はライブでの演奏時間に応じて決めますが、実際のリハーサル時には時間を計りましょう。

曲は基本的に好みの選曲で良いと思いますが、シチュエーションによっては慎重に選ぶ必要もあります。

そうでなくとも雰囲気やキーの同じ曲が続いたりしないように配慮は必要です。

2:楽譜を用意する

これも当たり前のことですが、楽譜を用意します。

ジャズの場合、リアルブックやジャズスタンダードバイブルといった、販売している譜面には基本的にテーマしか書いていないことが多く、あの曲を○○がやっているアレンジでやりたいという場合は楽譜を自作することになります。

きちんとした楽譜が書けない場合、口頭や参考とする音源で説明することもあります。

しかし、たとえばレンタルスタジオなどでリハ中に説明をおこなうと、時間をロスする原因ともなるのでなるべくきっちりとした楽譜を用意するべきでしょう。

ニュアンスやイメージを伝えるのは、実際かなり時間のかかるものです。長時間借りられればいいのですが、実際には数時間、ということが多くなりがちです。

また、トランペットやサックスなど移調楽器のための楽譜も書くことができるとなお良いでしょう。

ポップスやロックでは、ギター、ベース、キーボードなどが構成楽器の中心となりますね。

これらはキーが同じ楽器ですが、トランペットやサックス、トロンボーンなどの楽器は、キーが違います。

そのため、コンサートキーと呼ばれるピアノなどと同じ楽譜を渡しただけでは、すぐに演奏できないということもあるんです。

3:リハーサルをする

上記2つを用意できらら、実際にリハをします。

多くの場合はスタジオなどを利用することになりますが、先述の通り、当然時間には制約があります。

なるべく、リハ当日の流れも事前に決めておいたほうがいいでしょう。

ここらへんは人によってやり方が異なるかと思いますが、僕ならまずリフやキメの確認などを行い、全体の形が整ってきたら曲を通して演奏します。

現場で本番直前のリハ一発などの場合は、リフやキメの確認だけしてあとは本番で、ということもしばしばです。

ただし、これではバンドを組んで上達しようという趣旨から外れてきてしまうので今回は割愛します。

ちなみに、他ジャンルの音楽に比べてアドリブをしている時間が圧倒的に長いジャズではアドリブそのものに関しての細かい取り決めはあまり行いません。

テーマに戻るのが心配な場合や、特殊な構成の場合はこのフレーズが来たらこうしてね、というような取り決めをしておくこともありますが例としては多くないでしょう。

 

演奏時間の都合などでアドリブするコーラス数を決めておくこともないわけではありませんが、なるべくしない方がスマートです。

アドリブの部分に関してはその場の演奏の成り行きに任せるというのがジャズの醍醐味でもありますし、上達のための秘訣でもあります。

逆に言えば成り行きでどうなっても良いように、普段からきっちりと練習をしておくべきです(笑)。

最後に

上記以外で重要なことは人脈でしょうか。

ライブに出演したいのならお店やイベント主催者とブッキングをする必要がありますが、ライブに出演したことのある人のバンドに入れてもらうのが一番早い出演法方です。

出演経験のない人のみでバンドを組んでリハをしてライブに出演というのもないわけではありませんが、やはりはじめのうちは経験者に頼るのが一番です。

なぜなら、そういった人はライブに最低限人を呼ぶ人脈も持っていることが多いからです。

ジャズバーだって慈善事業ではありません。

プロだろうがアマチュアだろうが、ライブをやる以上は出演者がある程度お客さんを呼んでくれなければ経営が成り立ちません。

お客さんを呼んでくれるという人には喜んでブッキングしてくれるお店は多いんです。

こういった場合、既にライブに出演することになれている人は、人を呼ぶための人脈というものを持っていることがほとんどです(もちろん、そういうのが苦手という人もいます。よくライブを開いている人には少ないですが…)。

知り合いがたくさんいるから自分でも呼べるよ、という人もいますね。しかし、ライブは1回開催でしょうか、それとも定期開催でしょうか。

毎回きてくれるという人は、結構少ないんですね。

もちろんその人の人脈に頼りきりになるのではなく、いずれ自分自身も集客に貢献できるようにいろんな意味で努力する必要があります。

最後になりますがギャラに期待してはいけません。

演奏後に入った安居酒屋での一杯が美味ければ全てはOKなのです(笑)。

これもジャズとの良い付き合い方の1つの形でしょう。



ABOUTこの記事をかいた人

金村 盡志(かねむら つくし)

1986年生まれ。中学生から吹奏楽を通してトランペットの演奏を始め、高校生からジャズに目覚める。その後、原朋直氏(tp)に約4年間師事し、2010年からニューヨークのThe New Schoolに設立されたThe New School for Jazz and Contemporary Music部門に留学。Jimmy Owens(tp)氏などの指導を受け帰国し、関東近郊を中心に音楽活動を開始。金村盡志トランペット教室でのレッスンを行いながら、精力的に活動を続けている。