意外と関係あるヨガとJAZZ

こんにちは、マイク松田と申します。

自分は毎週火曜日19時から、神奈川県のコミュニティラジオ局のFM小田原にて「JAZZ ROOM」という音楽番組のパーソナリティーを務めています。

JAZZが好きで、今回からJAZZにかかわる連載を務めることとなりましたが、

世の中にJAZZ関連のコンテンツが溢れている!

しかも、有名JAZZ喫茶のマスターや販売店の皆様が、日夜名文による音楽レビューを書いていらっしゃるので、自分のような若輩者が偉そうにレビューしても怒られそう…。

また、モジカル編集会議(月一開催)でもただのレビューはありきたりだよね、と無茶ぶりされ…。

ちょっと変わったJAZZの話を書いていくことにしました。JAZZって変なミュージシャンばかりって知っていました?

れでは、第一回の連載スタート。

音楽とヨガのちょっと変わった関係

いきなりJAZZではないのかよ、となりそうですが、ちゃんとJAZZのお話になりますので、ちょっとお待ちを。

まずはこれを聞いておきたい。ヨガ、お好きですか?

朝の公園を通りかかったとき、スターバックスなどのオシャレな喫茶店の前を通りかかったとき、さまざまなシーンでヨガを楽しむようになりましたよね。

このヨガ、実は70年代前後の音楽と非常に密接な関係にありました。

代表的なエピソードとしては、1969年に開催されたウッドストック・フェスティバルについてが分かりやすいですね。

今やノーベル文学賞受賞者であるボブ・ディランやグレイトフルデッド、ジミ・ヘンドリクス、ザ・フーなど、枚挙にいとまがないとはこのことかと思われるほど、後にロックの教科書に名を連ねる出演者達。

当時の映像を見ると、観客が多すぎて後ろの方の人なんも聞こえてねーんじゃねえか、なんて思います。

このウッドストック・フェスティバルのオープニングスピーチを飾った人こそ、ヨガの指導者スワミ・サッチダナンダでした。

ヨガをやったことないので、ヨガ自体についてはそんなに詳しくないのですが、この前偶然NHKのドキュメンタリー番組に出演していることを目撃(容姿がかなり変わっていたのですが、名前同じなのでおそらく本人)。

現在もかなり著名な方らしく、なんだか宗教的指導者のような様相でした。

話を元に戻します。ウッドストック・フェスティバルの頃のアメリカというと、ヒッピー文化のまっただ中。

資本主義にハンするという信条を持つ彼らからすると、ヨガの考え方や、東洋っぽい神秘性にえらく影響され、ヨガなんかを始めたり、瞑想(メディテーション)をやったりしていたようです。

それで、ロックの祭典のオープニングスピーチを任されることになったんですね。ロックのフェスにヨガか、という疑問はここでようやく解決します。

また、この辺りの影響は、何もリスナーだけではなく、ミュージシャンにも波及していました。

ここでようやくJAZZのお話に。

今回紹介するのは1枚のアルバム。アリス・コルトレーン/ワールド・ギャラクシー〜至上の愛。

アリス・コルトレーンといえば、偉大なサックスプレイヤー“ジョン・コルトレーン”の奥さんとして有名。

コルトレーンの亡くなる前のバンドに、キーボードとして参加していたこともおもしろいエピソードです。

元々ミュージシャンであった彼女、当時のコルトレーンの人気は、いまさら言うまでもないですが、そんな夫を亡くした後、人間としてだけではなく、ミュージシャンとしても葛藤があったことでしょう。

その彼女の救いとなったのが、どうも、冒頭で述べた、スワミ・サッチダナンダさんだったようです。

アリス・コルトレーンとヨガ

先述のアルバムは、コルトレーンが亡くなってから約5年後、ウッドストック・フェスティバルからは2年後の録音。

アルバムジャケットに、既にスワミ・サッチダナンダさんは登場しています。

また、アリスは70年代も後半にさしかかると、インドの方の名前に改名。根っからのサッチダナンダ一派へと成長していきました。

JAZZといえば、教会音楽などの宗教とは切っても切れない縁がありますが、しかし、まさかヨガに影響を受けるとは思っていなかったでしょう。

紹介したアルバムでは、アリスの夫ジョン・コルトレーンのレパートリー“マイ・フェイバリットシングス”や名アルバム“至上の愛”から1曲を収録しています。

ヨガ、の影響かは分かりませんが、ストリングスを使って大胆にアレンジしているのを聞くと、夫の音楽性からは解放されつつ、過去を踏襲している姿に、なんだか感動すら覚えます。

それと“ナレーション”という名目で、スワミ・サッチダナンダさんの語りなども入ります。

曲名そのものになっていることも。これ、他に聞いたことあります?

曲の中に他のミュージシャンや人物の語りが入ることはありますが、ヨガの指導者がパーソネルに入っているというのは初めてみました。

ヨガはロックだけではなく、JAZZにも大きな影響を残した証です。

ロックと違うのは、ヒッピーの存在でしょうか。

確か、テナーの大家ソニー・ロリンズもヨガにはまっていたと記憶していますが、一見、あまり関係なさそうなJAZZとヨガ。

よーく目を凝らしてみると、特に70年代は、そこかしこにヨガの影響が。意外や意外。

残念ながらアリスは2007年には亡くなってしまいましたが、今も生きていたら、アメリカのスターバックスあたりで、朝ヨガ、なんて活動をしていたかもしれませんね。

今日は、意外と関係のあった、JAZZとヨガについてのちょっと変わった話でした。



ABOUTこの記事をかいた人

アバター画像

FM小田原にて毎週火曜 夜7時から1時間のJAZZ専門ラジオ番組「JAZZ ROOM」のラジオパーソナリティを担当。モジカル前身のジャズ専門サイト・CDショップ「AOI JAZZ」の企画をしました。