しばらく楽器使わないときどうしてる?プロミュージシャンの楽器保管術(トランペット編)

2021年になりましたが皆さんはどのようにお過ごしでしょうか?

今年の抱負はありますか? おみくじは引きましたか?

個人的には以上のようなことはわりとどうでもいい性格でして、年末年始も普段通り普通に過ごしてました。おみくじは引いたけど。

 

さて、残念ながら人間の暦とは関係なく新型コロナウイルスによる影響は現在も継続中です。

音楽業界、特に飛沫の発生しやすい吹奏楽器を扱う分野においてはさまざまなイベントが中止されるだけでなく、みんなで集まって練習するという機会すら激減してしまいました。

例えばレッスンのように2人の人間が向き合うだけならばまだ対処のしようはあります。

僕んとこの教室では昨年早めに感染予防策を打ったせいか、同業とに比べると意外と悪くない……というかむしろいい稼働率を出せてはいます。

一方で吹奏楽団などのように数十人もの人間が一つのスペースに集うとなると感染リスクを下げることは容易ではありません。

ですからやむを得ず活動休止になったりするところが多いのですが、そのためにしばらくトランペットの練習自体をお休みしてしまう方も一定数出てしまっていると思われます。

まあ、新型コロナウイルスによる影響は効果のあるワクチンの普及か自然免疫の獲得によってだんだんと収束はしていくかと思いますが、今回はこれを機としてしばらくトランペットを吹かないときの保管方法について考えてみましょう。

トランペットを吹かないとどうなるか

トランペットという楽器は木管楽器やその他のパーツの多い管楽器に比べて比較的シンプルな構造をしています。

ですから、そういった楽器に比べれば長期保管に関してあまりセンシティブになる必要はありません。

しかし変色や管内のさび、抜き差し管の固着などが起こる可能性があります。

そのため、トランペットを長期保管する場合はそれらを防ぐことが重要なのですが、結論から言ってしまえばネットで言われているほど丁寧にやらなくてもまあ大丈夫です。

もちろんやるかやらないかで言うならやった方がいいのですが、トランペットという楽器は長期保管に関してはそこまで弱い楽器ではありません。

 

一応書いておきますが、僕は製造から50年以上経ったビンテージのトランペットとフリューゲルホルンを3本、その他ほとんど演奏することのなくなったトランペットを常時4,5本、もちろん全て演奏可能な状態で保管し続けています。

変色

特にシルバーのトランペットに起こりがちです。

シルバーといってもニッケルメッキのトランペットは変色しづらいのですが、銀メッキはお手入れせずに放置していれば容易に黒ずんできます。

そこで役に立つのが以下のような銀の変色防止グッズです。

僕も昔使っていたような気がしますが、たしかに変色を遅らせているような気がしました。

まあ銀の変色はbuzzのシルバークリーナーでも使えば綺麗になりますからそこまで心配はしなくても良いかと思います。

シルバーポリッシュなどのように研磨剤が入っていないとのことですので安心して使えます。

 

管内のさび

トランペットの材料となっている真鍮はさびやすい金属です。

 

と書くとぎょっとされる方も多いかもしれません。

真鍮という金属は表面がさび、酸化銅という黒っぽい金属に変化するのですが、その酸化銅による被膜=酸化被膜によって真鍮内部までさびが進行するのを防ぐ効果があるのです。

ということで鉄などのようにさびが進行して穴が開いたりということは起きにくい素材ですから、通常使用している限りはそこまでさびることを気にしなくても良いでしょう。

そもそも多くのトランペットの表面はラッカーや銀でコーティングされているため、酸化被膜を目にする機会は少ないと思います。

 

一方、管内は真鍮がむき出しの状態です。

たまに何がきっかけか管内でいびつに酸化した部分がこぶ状に成長してしまい、吹奏感に悪影響を及ぼすことがあります。

そういった場合は楽器屋さんでこぶ状になった部分を削り取ってもらうのですが、当然そうならない方がいいに決まっています。

ですからトランペットを長期保管する場合はこのこぶ状のさびが発生しないようになるべく多湿なところを避けておく方が良いでしょう。

一般的には管内の水分を綺麗にふき取ってしっかりと乾燥させてから保管するべきとされていますが、わざわざ拭き取らなくとも普通に水分を捨ててケースの蓋を開けて乾燥したところにでも置いておけば、数日ですべての管はカラカラになっています。

どうしても心配な場合は水分が乾くまでそれぞれの抜き差し管を外しておいておけば完璧でしょう。

抜き差し管の固着

抜き差し管の固着もトランペットを長期保管する際に問題となる点です。

一応オイルやグリス類を完全に拭き取ってから組み立て、保管することによって固着を防ぐことができるとされていますが、実際にやったことがないので分かりません。

外部からの衝撃によって固着した場合ならともかく、劣化したオイルなどによる固着は比較的直しやすいと思います。

まずは自分て軽くトライしてみて、それでもだめなら楽器屋さんへ持ち込めばわりと簡単に抜けるようになることが多いかと思うので、実はあまり固着に関しても心配する必要はありません。

また数か月から1年程度であれば固着することはほとんど起きないと思いますので、しっかりとオイルとグリスを差した状態で保管しておくのも良いでしょう。

究極の長期保管(?)方法

長期保管すると言ってもどのくらいの期間保管するかによってどこまでの対処を行うかは異なってきます。

例えば少なくとも10年以上は使わないしメンテもできないという場合でしたら、全ての策を講じても多少のダメージを受けることは避けられないでしょう。

今回は長期保管=なるべく長い期間メンテナンスをしないという想定のもとで書いてみましたが、そもそもせっかく手に入れたトランペットなんだから全く吹かなくたって年に1回はお手入れ(分解清掃&グリスアップ)してくれよというのが本音です。

年1回くらいの頻度でメンテナンスを続けてあげれば、トランペットに対するダメージを最小限にできるだけでなく(多少の変色は免れないかもしれませんが)、なんらかの異変が起きていたとしてもメンテナンスの際に早期発見し、軽度のうちに対処することができます。

 

 



ABOUTこの記事をかいた人

1986年生まれ。中学生から吹奏楽を通してトランペットの演奏を始め、高校生からジャズに目覚める。その後、原朋直氏(tp)に約4年間師事し、2010年からニューヨークのThe New Schoolに設立されたThe New School for Jazz and Contemporary Music部門に留学。Jimmy Owens(tp)氏などの指導を受け帰国し、関東近郊を中心に音楽活動を開始。金村盡志トランペット教室でのレッスンを行いながら、精力的に活動を続けている。