男33歳、趣味がありません。一般的に趣味と呼べる範囲で行っているものはすべて仕事に直結しており、結果ワーカホリックです。
朝起きてから夜寝るまで、食事時以外の8割近くを仕事をして過ごしています…。
そんな中、まったく仕事につながらない唯一の趣味が、読書です。
最新作もわりと読んでいるのですが、最近はなかなかおもしろいものに当たらないので、昔読んだ作品を読み返す日々。
そこで、そんな読み返し作品の中で、33歳になった今でもオススメできる本をご紹介します。
文学作品ではなく、娯楽小説に限った内容にしてみました(しかも長く楽しめるシリーズもの)。
気楽に読めるので、あまり肩肘張らずにどうぞ。
正直、ここ最近で一番頭を使ってまとめたかもしれない…。
※ネタバレが嫌いなのでストーリーには言及しませんのでご安心を!
プリズンホテル
何度読み返したか分からないのがプリズンホテルシリーズ。
登場人物は極道やロクデナシばかり。
作者の浅田次郎先生は日本ペンクラブの会長を務められた経験もあり、緻細な研究が紡ぎ出す中国の歴史小説が大きく取り上げられますが、極道モノ・ピカレスク小説は原点です。
本を読んで爆笑したことはありますか?
プリズンホテルは笑って泣けます。
浅田先生の作品は娯楽小説のなかでも特に涙を誘うモノが多く、天切り松 闇語りシリーズもオススメです。
どちらの作品も登場人物は悪人ばかり。しかし、社会や法律から悪とみなされても、彼らは心の中にある正義と自分たちなりの信念に従って行動します。
貧困や苦しみの渦中にいる人を、平等で、公の正義は救ってくれません。
そして、そこにつけいる悪人に、信念を持って戦いを挑む。
体を傷つけるのではなく、また暴力に訴えない。
社会から見放された悪人だけが持つ愛が、どん底にいる登場人物たちをすくいあげる。
人間愛あふれるストーリーです。
電車の中で、泣いたなあ。
上記2作品を読んだあとは壬生義士伝を。
涙が止まらなくなります。
シャーロックホームズシリーズ
もう一度記憶を消して読み返したい作品と聞かれれば、シャーロックホームズの物語。
言わずと知れた探偵ものですが、バディものの原点です。
ワトソンと一緒にさまざまな事件を解決する様は痛快そのもの。
ホームズ特有の科学にのっとった推理にて、登場する人物たちの矛盾や疑問点をことごとく解決していく様が空想小説でありながら現実感すら覚えます。
ストーリーはワトソンが雑誌に事件のあらましを寄稿する形で進行し(ホームズの1人称で進行するものもあります)、なかには小説内に事件名しか登場しないものも。
これがまた想像力をかきたてる。
基本的に短編集ですが、バスカヴィル家の犬などの長編も読み応えがあっておもしろい。
奇妙な天才であるホームズと一般常識に長けたワトソンという対極のバランスだけではなく、誰よりも賢いけれど完璧ではないホームズとそれを補うワトソン。
2人の関係はどのようなものか推察する人もいるくらい。
僕は、できることならば、リオゲネスクラブに加入したい…。
多数のドラマ化、映画化も経験していますが、映像作品としてもっともおもしろいのは通称「グラナダホームズ」。
イギリスのグラナダテレビにて放映されたシリーズ。
ホームズを演じるジェレミー・ブレットの表情や一挙手一投足までが、小説(正典とも呼ばれる)版のイメージ通り(あまりにホームズらしくてグラナダホームズに引っ張られている部分もあります)。
はっきり言ってハリウッド版映画のアクション満載のやつは●ソです。
百鬼夜行シリーズ
京極夏彦先生のデビュー作、姑獲鳥の夏から始まる一連の作品。
おどろおどろしい、妖怪が引き起こしたとしか思えない事件を主人公の中善寺秋彦が解決する構成ですが、解決するまでがおもしろい。
とにかくこじれる、とにかく先が読めない、次々と増える被害者に一重どころか十重以上に謎を深める事件。
もしや本当に妖怪の仕業では、と心がモヤモヤしたところに、憑きもの落としの主人公が立ち上がる。
登場人物たちはラノベのキャラクターくらい個性がハッキリしているので、人数は増えていっても苦になることはありません。
戦後間もない混乱期だからこそ起こる、現代では考えられない事象に陰陽師の末裔である主人公、なんとなく横溝正史先生の金田一シリーズを彷彿とさせますが、こちらのほうがよりおどろおどろしい。
不思議なことがたくさん起こりますが、デウス・エクス・マキナの演出方法で中善寺秋彦が1つ1つ解き明かしていくたびにプレッシャーから解放されるような爽快感があります。
そして、文庫版でも圧巻のボリューム。
ハッキリ言って1冊で辞書くらいのページ数があるので、電車の中で立った状態で読むのがつらくてつらくて。
それでもページを手繰る手が止まらない。
どうなっちゃうの、この事件!? ぜひ一度ご体感ください。
映画版も制作されましたが、キャラ設定無視では…という部分が多々あり、僕はあまり合いませんでした。
外伝的な作品も出ているので、まずは姑獲鳥の夏からどうぞ。
ちなみに、ずいぶん前にラジオドラマ化されたんですが、これが、いい。
実にいいラジオドラマです。自分はわりとNHK-FMなどで放送されるラジオドラマを聞いていますが、これまで聞いたどのラジオドラマよりもおもしろい。
コミカルで、恐ろしくて、これもまた先が気になる。
ラジオ好きなら是非ご一聴を。ただし小説版を読んだ人向けの内容なので、未読にて聞き出すと分からない部分もたすう。けれども、ほんとにおもしろいです。
さくらももこ先生のエッセイ
残念ながら2018年には鬼籍に入られたマンガ家・イラストレーター・エッセイストのさくらももこ先生。
自身の幼少期をモデルにしたちびまる子ちゃんでおなじみですが、エッセイで体感するほうが格段におもしろい。
一番好きなのは「もものかんづめ」。
サクサク読み進められ、読んでいる間中にやけづらになります。
こういったエッセイは一度読んでおもしろくても記憶に残らないものが多いのですが、たまに思い出し笑いをしてしまいます。
しかも、はずれの巻がないのでどれから、どうやって読もうがおもしろい。
毎回書籍タイトルと表紙イラストもおもしろいので是非一度手にとっていただきたい。
最初に紹介した浅田次郎先生のエッセイも爆笑ものです。
マジメなお話もあるし、勉強になるお話もありますが、まるで落語のようにオチがつきます。
人前で読むとにやけ顔が目立ちますので、自室にてこっそりお読みください。
合わせて一読を。
真実の剣シリーズ
いまや書籍販売ランキングの人気作品として珍しくなくなった海外のファンタジー小説。
僕が初めてハマったのは指輪物語でもハリー・ポッターでもなく真実の剣シリーズでした。
登場人物の心理描写、なんかおいしそうだけれど実際作ってみるとそうでもない異国の料理、剣も魔法も出てくるけれど万能ではない世界で戦い、心を傷付けながら旅を続けるパーティ。
ちょこっと出てくるエッチな描写は、思春期の僕のハートをがっちりつかみました。
単純に最強の剣を持ってバッサバッサと敵を倒していくのではなく、とまどったり悩んだり、理解を深めながら進行していくので主人公に対して応援の言葉を贈りたくなります。
これの2巻がなかなか見つからず(当時はAmazonとか普段使いするものでなかったので)、昼過ぎに出かけて夕方近くに自転車で2時間かかる本屋さんで購入したのはいい思い出。
指輪物語が合わなかった人は、これにハマるかも。
以上。こうしてまとめてみるとまた読み返したくなるのが不思議です。
何度も読んでるのに!
学校の授業中も本ばかり読んで、成績と偏差値がとんでもないことになってしまいましたが、今もすり切れたページを手繰る度に、こいつらを読んだことは間違いではなかった。
そう感じさせてくれます。
本屋大賞をとった訳でも、受賞歴の多い作品ばかりでもありませんが、掛け値なしでオススメできるものばかり集めました。
もちろん、個人の趣味があるので誰が読んでもおもしろいという訳ではないと思いますが、一度、読んでみてください。
暇な時間を好きな本を読んで過ごす時間は、死の間際に思い出したい大切な時間です。