テーマがかっこいいジャズの曲

今週のお題はずばり「テーマがかっこいい曲」。

かっこいいと言ってもそんなの個人の価値観によって全然違うし、そもそもプレイヤーかリスナーか、そしてどの程度演りor聴き続けてきたかによっても変わってくるものでしょう。

まあそんなことを言い出しても始まらないのは毎度のこと。

ここは個人的趣味全開+ちょっとだけ初心者、リスナー様の顔色を伺いつついくつかセレクトしてみようと思います。

Jinrikisha

うん。さっき趣味全開って書いたし良いよね…。

というわけでトップバッターはジョー・ヘンダーソン作曲、“Jinrikisha”です。

“Jinrikisha”とは発音したまま人力車を指すようで、なんとなく東洋的な色彩を帯びた曲調です。

なんというか…、リリカルで口ずさみやすいテーマでは決してないので、初心者の方にとっては少しとっつきづらいかもしれません。

当然ながら音の跳躍も多いためトランペットで演奏するのはちょっと難しく、僕はこのテーマを演奏してその日の調子を確かめたりします。

上に挙げた音源はジョーヘンダーソンの“Page One”というアルバムに収録されたものです。エディ・ヘンダーソンによる演奏(”Inspiration”というアルバムに収録)も大変素晴らしいのでぜひ聴いてみてください。

激ウマトランペットと素晴らしいリズムセクションのスリリングな展開を耳にすることができます。

ジョー・ヘンダーソンといえばこの曲以外にもRecord Meやブルースを少しいじったIsotopeなど複雑で美しいテーマを持つ名曲が多いのですが、僕個人としてはJinrikishaが一番好きな曲です。

Isfahan

イランの古都、イスファハーンの名前を冠したこの曲もどこかオリエンタルな雰囲気をもった美しい曲です。

作曲はデューク・エリントンの右腕とも言われたビリー・ストレイホーン。言わずと知れた超名コンポーザーですね。

他にも”A列車で行こう”や”Lush Life” “Chelsea Bridge”などストレイホーンによって作られた名曲を挙げたらそれだけでもう1記事書けてしまいそうです。

その数々の名曲の中から今回取り上げたこの曲はジャムセッションでもたまに演奏されることがあり、難易度もまあまあです。

ですから、ある程度ジャズの演奏に慣れた方であれば少しアナライズしてから練習すれば十分演奏可能であると思います。

Jordu

トランペッターである僕としてはこの曲は絶対に外すことはできません。

残念なことに25歳で交通事故のため亡くなったクリフォード・ブラウンですが、その短い活動期間のわりには多くの作品を残しています。

なかでもブラウンによって書かれた曲、例えば”Joy Spring”や”Sandu”などは素直でありながらもよく練られているなと感じます。

アドリブを勉強するのに、ビバップの曲のテーマを練習するといいなどと言いますが、用いられているコードに対して素直にメロディが描かれているという点ではブラウンのオリジナル曲にも同じような効果があります。

しかも、彼の曲はプレイヤーにとって人気のある曲も多いですからアドリブにも役立つだけでなく、そのまま演奏する機会に恵まれることもあるでしょう。

ジャズトランペットあるあるですが、名トランペッターってあんまり長生きできない方が多いなんて言われたりしますよね…。僕は長生きできそうですが(笑)。

Green Chimneys

少しジャズを聞きかじったことのある方であれば、セロニアス・モンクの曲といえば複雑なコードチェンジに、これまた複雑なメロディを乗せたようなテーマが特徴かと思われることでしょう。

確かにその通りなのですが、“Green Chimneys”のようにシンプルながらもおふざけのようなエッセンスを持つテーマも少なからず存在します。

特にこの曲は、キーこそAbマイナーというちょっとめんどうくさいキーではあるものの、コードチェンジ自体はとてもシンプルにできています。

多くの曲がコードチェンジやメロディを複雑にする、いわば何かを付け加えるようにして曲をよくしようとするのに対して、この曲はなるべくシンプルでありながらもモンクらしさを存分に感じることのできる曲であると思います。

トランペットプレイヤーならウィントンマルサリスの”Live at House of Tribes”での演奏を思い浮かべるかもしれませんが、個人的には上に挙げたモンクによるオリジナルの演奏(”Underground”というアルバム)が好きです。

まだモンクなんてよく知らない高校生の頃、図書館で借りたこのCDに収録されている演奏はもちろんのこと、ジャケットの絵にもおったまげたのをよく覚えています。

Beatrice

サム・リヴァースという異色のテナーサックスプレイヤー(ここはカッコつけてサキソフォニストとか書いておくべきか…)が書いた非常に美しい曲です。

この曲が収録されているアルバム”Fuchsia Swing Song”は、恐らくリヴァースのキャリアの中で最も有名な1枚でしょう。

単に有名であるだけでなく、この曲以外のオリジナル曲も特徴的なのでチェックしておくといいです。

さてこの曲、ジャムセッションなんかだと少し腕に覚えのある方がコールする傾向にありますが、それもそのはず。コードチェンジがちょいとイレギュラーなのです。

それでも今回取り上げた中では最も手を出しやすい曲なのですが…。

というわけで、テーマのかっこいい曲ということで5つ挙げてみました。

お気づきかもしれませんが、今回は作曲者がかぶらないようにセレクトしています。

ですので、この中にもし気に入った曲があったら、その作曲者の別の曲を探してみるとお気に入り曲を増やすのに役立つかもしれません。

そういえば、週は脱初心者を目指す方へ向けた記事を書き、その中では曲をアナライズしようなんてことを書いたような気がします。

通常、アナライズというとアドリブを上手く演奏できるために主にコードチェンジをアナライズするものですが、今回紹介したような曲はテーマでどんな音が使われているかもアナライズしてみるときっと思わぬ発見がありますよ。



ABOUTこの記事をかいた人

金村 盡志(かねむら つくし)

1986年生まれ。中学生から吹奏楽を通してトランペットの演奏を始め、高校生からジャズに目覚める。その後、原朋直氏(tp)に約4年間師事し、2010年からニューヨークのThe New Schoolに設立されたThe New School for Jazz and Contemporary Music部門に留学。Jimmy Owens(tp)氏などの指導を受け帰国し、関東近郊を中心に音楽活動を開始。金村盡志トランペット教室でのレッスンを行いながら、精力的に活動を続けている。