ジャズトランペット、スウィングと他のリズムだと吹き方は変わるのか

スウィングというリズム(本当はフィールと呼ぶのが正確なのでしょうが)はジャズ特有のものとされていますが、実際にはジャズと呼ばれる音楽であってもそれ以外の多種多様なリズムで演奏されることがあります。

例えばボサノヴァやサンバなど、ラテン音楽にルーツを持つリズム、またイーブン8thや16ビートなどと呼ばれる現代的なフィールなどがそれに当たります。

こういった曲を演奏するときにリズムセクションがリズムに応じて演奏スタイルを変更するのはまあ分かります。

しかし一方で、そのリズムセクションと演奏するトランペットも彼らと共に演奏スタイルを変える必要はあるのかという疑問は多くの人が持つところだろうと思います。

 

結論を言いますと、どっちでもいいと思います。

 

より正確に言うならば、どちらが絶対に正しいという言い方は必ずしもできないということです。

なぜなら芸術は自由です。

なかでもジャズはこれまで革新的なものを追求してきた音楽ですから、そんなものに対して正しいとか正しくないという議論自体、ナンセンスです。

 

しかしこれはあくまで原則論。

例えばジャムセッションなどの場で、共演者とトラブルを起こさず無難に演奏したいというのならばボサノヴァではボサノヴァらしく、スウィングではスウィングらしく演奏した方が良いと言うことができるでしょう。

というわけで、今回は個人的に様々なリズムの違いをどのように意識し、そのために役立つ練習方法を書いてみたいと思います。

基本は2種類のリズム

ジャズはさまざまなリズムで演奏されると先に述べましたが、僕はこれらを以下のように大別して考えています。

それはスウィングかイーブンかの2種類です。

イーブンというのはスウィングしない、要するに八分音符や十六分音符を楽譜に記載されている通りのリズムで演奏するということです。

ですからそのリズムに乗ってトランペットを演奏するのならば当然スウィングしてしまってはおかしなことになってしまいます(芸術的に考えれば「正しくない」わけではありません)。

そのためスウィングせずにイーブンでアドリブソロを演奏するのですが、その時多くの人が陥りやすい罠が存在します。

八分音符の呪縛から逃れる

それはアドリブソロ全体で八分音符ばかりを使いすぎてしまい、演奏が単調なものになってしまうということです。

そもそも音符には全音符、二分音符、四分音符、十六分音符、三連系などなど多くの種類が存在します。

スウィングかイーブンかという話以前に、アドリブソロを八分音符だけで演奏しなければならないルールなどありません。

確かにさまざまな長さの音符のなかで多くの方が最も演奏しやすいと感じるのが八分音符なのですが、そればかりを演奏していては演奏が単調なものになりがちです。

しかも特にイーブン系のリズムで演奏する際はその傾向が顕著に表れてきます。

ですからそこそこスタンダード曲でアドリブ演奏ができるようになってきた方は特に、八分音符以外の音符を用いてアドリブを演奏する練習をするのがいいでしょう。

この練習はリズムの違いにかかわらず、アドリブソロを多彩なものにしてくれることに繋がりますので、イーブン系のリズムだけではなくスウィングの曲でもぜひやってみるといいですよ。

またバラードでは必須といっても良いスキルでしょう。

さらに言うと、実際の演奏で恣意的なリズムの使い分けに陥らないためによく練習しておくことが重要です。

実際の演奏シーンで、この音源のようにさりげなく多種多様な音符を使い分けることができると非常にかっこいいですし、それは説得力のある演奏に繋がります。

ですからそのためによく練習しておくことが大事です。

練習に行き詰まったら

実際にどんな練習をしたらいいか分からない、もしくは練習をしていて行き詰まってしまうという方も少なくはないでしょう。

この練習は自分にはまだ早すぎるのかもしれないなんて思う方もいらっしゃるかもしれません。

そういう方もとりあえずは曲の音源やiReal Proなどマイナスワン音源を流してアドリブを口ずさんでみましょう。

多少声の音程が外れる程度は気にしなくて大丈夫ですが、あまりにも音程が外れてしまう方や、書いてあるコードに対して何の音を歌ったら良いか全く分からないという方は、確かにこの練習に取り組むには早いかもしれません。

なぜトランペットを用いず声で歌うかというと、練習しようとしてトランペットを手にすることによって作られる「トランペット用のマインドセット」から逃れた状態で、この慣れないこと=多種多様な音符を使うということに挑戦した方がうまくいきやすいからです。

実際にトランペットを用いるのは、声でさまざまな長さの音符を使ってアドリブを歌うことに少し慣れてきてからです。

慣れないうちは少しもどかしいかもしれませんが、声で歌う練習は今回書いた以外にもさまざまな面であなたの能力を向上させてくれるトレーニングになります。

ぜひトライしてみてください。



ABOUTこの記事をかいた人

1986年生まれ。中学生から吹奏楽を通してトランペットの演奏を始め、高校生からジャズに目覚める。その後、原朋直氏(tp)に約4年間師事し、2010年からニューヨークのThe New Schoolに設立されたThe New School for Jazz and Contemporary Music部門に留学。Jimmy Owens(tp)氏などの指導を受け帰国し、関東近郊を中心に音楽活動を開始。金村盡志トランペット教室でのレッスンを行いながら、精力的に活動を続けている。