現役音楽講師に聞く、1つも嘘のない音楽教室の選び方

Googleの検索欄へ「トランペット教室」と入力するとその下の検索候補として「安い」が必ず挙がってきます。

それだけこのキーワードで検索をする人が多いのでしょう。

確かに楽器を習おうとしてネット検索で得られる情報なんて、値段と立地と講師の情報くらいですから「トランペット教室 安い」という検索ワードはごく妥当なものです。

僕が同じ立場なら、同じ探し方をするでしょう。

 問題なのは、当然、企業側だってそんなことはお見通しだということです。

他社と比較しづらいような価格設定になっていたり、そもそもネット上に正確な価格を載せていないことだってあります。

価格設定だけ見てもこんな状態ならば、音楽教室はどう選ぶのが正解なのでしょうか。

というわけで、今回は自分でトランペット教室を経営しつつ、某音楽教室でも勤務している僕の立場から、ぶっちゃけた音楽教室の選び方をご紹介します。

ここは何としても「みんな金村盡志トランペット教室においでよ!」という結論に持っていきステマ大炸裂させたいところですが、例によってAOI JAZZ編集部によって封じられてしまいました(笑)。

  今回も結論から書いていきましょう。

1.表向きのレッスン価格だけでの比較ははあてにならない

2.レッスンは1回60分程度を月2回くらいがベスト

3.体験レッスンを予約するときにスケジュールが合わせづらいところは要注意

4.特段の事情がないのならグループレッスンではなく個人レッスンを

5.体験レッスンはいくつか行ってみる。ただし本命のところへは最後に

6.講師の質は実際に受けてみないと分からない

1つずつ解説していきます。

1.表向きのレッスン価格だけでの比較ははあてにならない

冒頭で触れたように、レッスンにかかるお金にまつわることから書いていきましょう。

多くの方が思いつくのはせいぜいレッスン料と入会金くらいですが、実際にかかる費用がこれだけではない音楽教室も存在します。

スタジオ費

最近、音楽スタジオやカラオケ店の一室を企業が契約して借りるという形で運営する音楽教室が増えてきましたが、そのような音楽教室ではレッスン料とは別途スタジオ費が発生することがあります。

また音楽家個人にレッスンを受ける場合も、スタジオなどを利用する場合は当然別途必要です。

ここまでならまだいいとして、レッスン料を割安に見せるために形式上レッスン料とスタジオ費を分離していたところも過去にはありました。

ウェブ上に載せているのは当然レッスン料のみですから、それを見て足を運んだ方は実際にかかる総額を聞いてびっくり仰天です。

さすがに今は改善されたようですが、現在も企業としての評判はあまり良くないようです。

そんな悪質なところはどこかって? ”立場上”とても名前は書けません(笑)。

教材費・その他

教材費はまだ理解できますが、会社によってはよく分からない名目の費用が加算されるところもあります。

キャンセルルール

なんでこれがレッスン価格と同枠に? と思われるかもしれません。

お仕事をお持ちの方にとって、レッスンを直前になってキャンセルしなければならない事態は案外多いものです。

ドタキャンでレッスン料を取られるのは当然としても、音楽教室には一定期間前であればレッスンをキャンセルできるところとできない(=レッスン消化とみなされる)ところがあります。

特にスケジュールの変わりやすい方は、ろくにレッスンを受けられないままお金が引き落とされていってしまい、費用を無駄にしてしまうことになりかねません。

当然音楽教室側もそれを計算に入れた料金設定をしていますから、音楽教室を比較する場合はキャンセルルールについてもよく調べておくべきでしょう。

レッスンキャンセル可能なところでも何日前までは無料、それ以降は有料と会社によってルールが異なります。

2.レッスンは1回60分程度を月2回くらいがベスト。

レッスンの長さやその頻度も音楽教室によって異なりますが、実際のところはどのくらいがちょうど良いのでしょうか。

最低回数

大手の音楽教室では月に最低何回以上通ってくださいね、と公称しているところがほとんどです。

例えば、月最低2回というところはその月に一度も通えなくとも、レッスン2回分の料金を請求されるのが基本です。

ただし効率よく上達するためには、レッスンへコンスタントに通うことは重要です。

そのため、こういった見方をすると最低回数の設定というのは生徒さん側のためでもあると言うことができます。

一方で通えもせず、ずるずる在籍だけ続けてしまい毎月の費用だけが引き落とされていくという方も残念ながら存在します。

これを読んで自分は大丈夫と思う方は多いかと思いますが、僕が某音楽教室で勤務してみての実感や周囲で聞く限りではこんなに!? という人が実際にレッスンへ通うことなく音楽教室にお金を支払っています。

大手音楽教室の多くは支払いが口座引き落としですから、実感が湧きづらいというのも影響しているのかもしれません。

レッスン頻度と一回あたりの時間

もし仮に月に同じ時間レッスンを受けるとするならば、基本的に教室へ通う回数は多いよりは少ない方が楽なはずです。

月に120分として、それぞれ60分×2回と、40分×3回音楽教室へ足を運ぶのを想像してみれば分かりやすいかと思います。

ある大手音楽教室では短めのレッスンを平均して月3回程度通うというプランを設定していますが、これってキャンセル狙いで利益稼いでんじゃないの? と勘ぐってしまいます。

通う回数が多くなればなるほどキャンセルが発生する確率は増えますから。

さらにトランペットで言うならばレッスンの初めはやはりウォームアップに費やしますから、1回30分や45分のレッスンでは残り時間でできることに限りが出てきてしまいます。

こういったことも考えると、個人的にはやはり1回60分程度のレッスンを月2回というのが無難なところかと思います。

3.体験レッスンを予約するときにスケジュールが合わせづらいところは要注意

体験レッスンを予約したくて連絡したけどなかなかスケジュールが合わないという場合は要注意です。

ポジティブな見方をすればそれだけ多くの生徒さんで賑わっているのかもしれませんが、このご時世音楽教室業界だけがそんなにウハウハな状況なのでしょうか(笑)。

どんな理由にせよ体験レッスンが予約しづらいのなら、通常のレッスン予約も取りづらい可能性が高いと考えて良いでしょう。

レッスン予約は取りづらいけどそれでも最低月2回は通ってね、という契約を結んでしまったら最悪です。

レッスン日は固定制だから大丈夫? そこでレッスンを受ける限りあなたがそのスケジュールを確保し続けなければならず、レッスン予定日に用事が入ってしまった場合はキャンセル料が発生する可能性があります。

そう考えると固定制は少なくともメリットとは言えません。

4.特段の事情がないのならグループレッスンではなく個人レッスンを

せっかくレッスンを受けるのですから講師を独り占めしてじっくりと指導を受けるのがベストです。

これは教える側から見てもそうで、同時に何人も面倒を見なければならないのよりは1人に集中した方が生徒さんの状況をよりきめ細かく判断できるというものです。

考えてみれば、グループレッスンの料金が個人レッスンの半額以下、というところは皆無です。

仮に2人の生徒がいれば1人の講師に面倒見てもらう時間は単純計算で半分、3人なら1/3ですから結局は損です。

さっきも書いた通り、グループレッスンだからといってレッスン料が半額になるところはほぼ存在せず、実際はせいぜい何割か安い程度です。

ですから、考えてみればコスパという観点だけで見てもお得ではありません。

一方、講師と一対一だと極度に緊張してしまう、生徒同士の繋がりを楽しみたいという場合はグループレッスンも良いでしょう。

僕はヤマハで原朋直先生にレッスンを受けていたときは経済的な理由からグループレッスンでしたが、その当時の同じクラスだった方々とは今もお付き合いさせていただいています。

全く個性の異なるレッスン生同士で触発されあい、とても楽しく有意義なレッスンでした。

5.体験レッスンはいくつか行ってみる ただし本命のところへは最後に

いくつか行ってみるべきだというのは特に説明は不要でしょう。

もちろん通える範囲に教室が1つしかない場合は別ですが。

体験レッスンへ行ってみると「実は本日ご入会いただきますとこんなお得な割引きが…」という案内があります。

これは普通に考えてみればお試しで訪れたお客さんを逃さないためのビジネスの鉄則です。

しかし、実際にお得になるということも多いため、こういったシステムを逃さないためにも、本命と思った音楽教室へは最後に体験レッスンの予約を入れましょう。

最初に行くと、後日ほかの音楽教室と比較するために割引を受けられない、ということも発生します。

6.講師の質は実際に受けてみないと分からない

多少レッスン料が高かろうが場所が遠かろうが、経験豊かな優れた講師に習うことができればいいのです。

しかし、どんなに洒落た見やすいHPでも、電話問い合わせの対応がよくても、講師が優れているかどうかなんて実際にレッスンを受けてみなければ分かりません。

さらに言うならば、そもそも生徒さん自身が(初心者の場合は特に)その講師の質などというものを正確にはかることなどできるはずがありません。

プロ同士で話をしていても意見が分かれることもあるのですから。

そういった場合は、もうシンプルに有名なプレイヤーに習うのも良いかもしれませんが、僕の知り合いでは全く名前は売れていないものの素晴らしい(というか凄すぎて逆に怖い)技術を持ち、その上レッスンに熱い情熱を注いでいる人も存在します。

運営会社によって講師の質は異なるのか

音楽教室を運営する会社によって講師の質が変わるかどうかという疑問を持たれる方もいるかもしれません。

持論となりますが、会社によって、ということはないでしょう。

講師の待遇があまりにも悪く、そのために問題行動が発生してしまう音楽教室もありますが、実名はこれまた“立場上”申し上げられません(笑)。

レッスンカリキュラム

講師の質という言葉で思い出しました。

基本的にはレッスンは講師が生徒さんの悩みやレベルに合わせて組み立てるのが基本ですから、ほぼ講師の指導力によると考えていいでしょう。

一方、全国的に一定のクオリティのレッスンを提供するためか、某大手音楽教室では結構厳密なカリキュラムが存在するようです。

実際の運用は分かりませんが、課題の異なる人に対して統一カリキュラムは馴染まないのではないかと思います。

まるで「消費税は全国民が負担するから平等だ!」みたいな詭弁ですが、これに騙される方には統一カリキュラムがおすすめかもしれません(笑)。

一定のクオリティを保障するためなのか、ろくなレッスンもできない人間にそれなりのレッスンをさせるための手引きなのか…。

結局のところ

有名だろうが無名だろうが、そしてどんな音楽教室であれ最終的にはあなたが信頼してレッスンを受けることのできる人に習うのが一番です。

なぜなら「この人の言う通り練習しても上手くなれるかな…」という不安を抱かせられるようではその講師がどんなに素晴らしいレッスンを提供したとしてもなかなか練習に身が入らないものです。

もちろん初回のレッスンから信頼してレッスンを受けるというのは不可能です。

しかし何度かレッスンを受けるにつれて、だんだんとこの信頼感を得られないようであるならば、そういった意味での講師の力量が不足していたり、あなたとその講師の相性はあまり良くないのかもしれません。  

 というわけで気がついたら業界全体を満遍なく敵に回すスタイルになってしまいました…。

まあどんな業界でも本音の話を書いちゃうとこんな風に、いやもっと酷い話になっちゃいますよね(笑)。

 最後に余談ですが、僕は師という存在に関しては抜群に恵まれました。

それはトランペットを教えてくださった先生方だけでなく、専修大学在学中に学問の学び方について教えてくださった先生などさまざまです。

これから誰かに教えを乞おうとする、ここをご覧の皆さんにも良い師との出会いがあることを祈っています。



ABOUTこの記事をかいた人

金村 盡志(かねむら つくし)

1986年生まれ。中学生から吹奏楽を通してトランペットの演奏を始め、高校生からジャズに目覚める。その後、原朋直氏(tp)に約4年間師事し、2010年からニューヨークのThe New Schoolに設立されたThe New School for Jazz and Contemporary Music部門に留学。Jimmy Owens(tp)氏などの指導を受け帰国し、関東近郊を中心に音楽活動を開始。金村盡志トランペット教室でのレッスンを行いながら、精力的に活動を続けている。