今の時期の、ブリはうまい

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冬の味覚は数有れど、2月も半ばとなると大分春めいてくる。

が、まだまだ寒い時期に出る旬のものも活況としている。今回はそんな一品。

ブリ。出世魚と呼ばれ、成長するにつれ名の変わるこのお魚は、カサゴ、鯛、ノドグロに次いで好きだ。

イナダの段階でも十分おいしいが、ブリまで成長すると脂のノリが大きく変化する。

僕の住む小田原では天然ものが揚がるので、養殖はあまり食べつけない。

この日も懇意のお魚屋さんから朝どれのブリを半身でいただいた。

わずか3,500円。お店なら15,000円ほどかな。値段設定がぶっとんでいる。

3種類の調理でいただく

塩焼き、造り、ブリ大根など、調理方法は多くあるが、それぞれの部位によって適したものが変わる。

今回は各部位のオススメ調理法と一緒にご紹介したい。

まずは中落ち。まぐろなどでも有名な中落ちは、いわば背骨周りの身のこと。

話はそれるが、天然の本マグロのものはテンパと呼ばれ格別の味わいらしい。非常に貴重なものでなかなかありつけない。

実はまぐろがあまり好きではないが、これだけは食べてみたい…。

さて、この中落ちの部分に身が多く残っているのはあまり褒められた捌き方ではないものの、しっかり食べたいなら少し多めに残してもいい。

中落ち焼く前
今回は背骨に沿ってちょうどいい案配に残っている。

お魚屋さんは和食の料理人と同じくらい包丁を使える。いい仕事ですねー。

中落ちに関しては骨から外さず塩焼きにする。

脂の多い部分なので、ブリのような脂肪をたくさん蓄えたお魚の中落ちであれば塩焼きに限る。

粗塩をふって焼き網で10分ほど。

芳しい匂いがたまらん。


サクどりした身はもちろん造り! 厚すぎると強い脂に飽きがくる。

このくらいの厚みに造るとちょうどいい。

ブリ大根
血合いの部分はブリ大根! 血の濃いお魚なので、少し香り強く仕上げるとちょうどよくうまい。

コツはぐつぐつに煮立たせた煮汁にいれること。量が多い場合は少しの時間差でいれてもOK。

煮汁がさめた状態で入れると魚臭さが抜けない。温度が下がることに注意だ。

ちなみに、ブリは内臓もうまい。心臓は串焼きにするといい肴になるし、小腸なんかは湯がいて酢味噌でもいける。

食感よく深い味わいに、焼き肉のホルモンとは違う滋味がある。

ただし、養殖モノの内臓はあまりおいしくない。天然のブリだけで味わえる部位だ。

今回はお魚屋さんの方で食べちゃった模様。なかなかスーパーなどでは見かけない。書いてて食いたくなる。

いただきます!

造りを食べる
まずは造りから。花穂紫蘇を散らした醤油にちょこんとつけ、わさび多めでたべるとこれは絶品!

つるりとした食感にもっちりの身。そしてうまみたっぷりの脂。日本人でよかった…。

ブリの腹身
腹身の方は特に脂がのっている。うめえ。

ビールを開ける
ここいらでちょっと失礼しまして。

刺身醤油
醤油に薄く脂がのる。養殖モノではこうはならない。

もっと脂の筋のようなものが流れる。天然の証拠といってもいい。

ブリ大根を食べる
ビールで口をゆすぎつつ、ブリ大根なんかもいただく。煮しめすぎるとブリは固くなり、細かくほろほろとくずれていく。今回はうまく煮上げることができた。

オススメの薬味

実は今回の主題はこれだ。薬味。

造りはわさび、塩焼きには大根おろしがついてくると思う。しかし! 僕のオススメは“しょうが”だ。

中落ちの塩焼き
中落ち部分の脂はくどさもある。徐々に飽きがくるといってもいい。

そいつに、しょうがは1アクセント加えてくれる。

特に血の濃い魚独特の身の甘さを際立たせてくれる。

気持ち細かめに、大根おろしと同じ器具でするといい。

しょうがでいただく
うま!

腹身にしょうが
造りなら、しょうがは特に腹身に合う。焼いたときと違い香りが他のものに負けやすい。

こちらは少し弱めに香味を出してあげたい。さきほどと同じようにすると強すぎるので、洋食を調理するときに使う、チーズなどを削る器具でしょうがをするといい。

粗めにしてあげることで食感もでる。

ブリ大根に使用するなら針のように細くした針しょうがだが、こちらはクセを消す役割として用いられる。

今の時期の水分を蓄えた大根と、朝どれのブリには似合わない。今回は外した。

とにかく、しょうがとブリの相性は最高だ! しょうがで食べたことないなーという人は、是非一度試して欲しい。世界が変わるほど合う。

余ったブリ

ちなみに、半身で買うと1日では食べきれない。この日は来客もあったので、造りは皿鉢料理の大皿並みに出した。

それでも少し余ったので…

ヅケ
ヅケにしました。煮きった酒、みりん、醤油を1:1:1で割り、一晩冷蔵庫へ。

これもまたコックリとした旨味が出ていい。

かんずり
唐辛子の発酵調味料“かんずり”。ぴりっとした辛みと独特の風味が好きだ。

水炊きなんかにも合うけど、ブリのヅケくらい強い脂をさっぱりとさせてくれる。

ヅケとしょうが
そしてやはりしょうがは合う。

旬のものをシンプルに味わえる和食は、季節の変わり目が一番楽しい。

そろそろ山の息吹を感じるあいつらが目を覚まし始める。こうなってくると天ぷらなんかを冷やでやるのもいい。

念頭の所感は断酒だった。すまん、過去の僕。



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大学卒業後に新聞社に入社、その後ビジネス書の制作を得意とする編集プロダクションに転職。フリーでWEBや紙媒体での企画、編集、執筆、撮影などを担当し、現在はモジカル編集長。趣味の料理が高じてレシピ記事なども制作。