先だって、出版業界の大先輩と話をしているときのこと。
神奈川県のご当地グルメ、崎陽軒のシウマイ弁当の話題となった。シウマイ弁当といえば、むっちりとしたシウマイの食感、濃すぎない味付け。
同県民であれば食べたことない人間はいないであろう、ご当地グルメ、いや、ソウルフードである。
さて、そんなシウマイ弁当を製造・販売する崎陽軒のお弁当のうち、先輩曰く…
「しょうが焼弁当の方がうまい」
と言うのだ。
のじ そもそもしょうが焼弁当なんてありましたっけ。
大先輩 あれ食ったことないのに、崎陽軒はソウルフードとか言わないでほしい。フ○ック!
フ○ックは言い過ぎたが、とにかく他県民にここまで言われたら食べるしかないだろう。
急ぎ、話しこんでいた場所から近い、新宿駅内の崎陽軒に走った。しかし、なんと取り扱い店舗ではないとのこと…。
こうなったらなんとしても食ってやりたくなるじゃねえか。
とか思っていたのに、翌日にはすっかり忘れ、時は無情にも約6カ月進んでいくのである。
崎陽軒のしょうが焼弁当のことを思い出す
季節もすっかり変わり、引っ越しやそれにまつわるごたごたを経験した僕は、久方ぶりの休日を過ごしていた。
「さてさて、小田原名物かまぼことわさび漬けでも今夜の肴に買うか」なんて駅ビルを歩いていると、「あ! h$k$”6ahk@a’%!!」
と、声にならない声を発した。なぜなら、見つけたのだ。前述のしょうが焼弁当を! いや、正確には見かけたか。
さっそく購入。急にこのしょうが焼弁当を思い出したことで、強烈なアハ体験をした。
アドレナリンがドバドバ出て、ちょっと興奮気味。さてさて、それじゃあ、このきれいなおべべを脱いでもらいましょうかねえ。ぐへへへへへへ。
厚切り、という訳ではなく、いかにもお弁当サイズの厚さのしょうが焼が4枚ほど。
ポテトサラダの主張の強い盛りつけだ。そして出た! この俵状にまとめられたご飯!
これ見ると崎陽軒って感じだよなー。
都内に越して数年、このご飯の形状はなかなか見なかったよ!
ご飯の上におかれたカリカリの小梅、これもまたアクセントになっておいしいんだよなー。
さっそくいただこうかと思いましたが、一応、比較のためシウマイ弁当も購入。
崎陽軒のシウマイ弁当
このパッケージの色、まさに見慣れた光景。言うなれば、仲のよい友人の家で出てくる食器に近い。
うん、見慣れた…、あれ!?
ひょひょひょ、ひょうちゃんじゃない!?!?!?
ひょうちゃんとは、崎陽軒のシウマイ弁当に入っていた陶器の醤油入れだ。
独特のデザインにファンも多く、コレクターもいるそう。が、なぜかひょうちゃんではなかった。
普通のお醤油入れだ。まさか、やめたのか…。俺がちょっと食べない間に…。ちょっとショック。
HPを見たら、まだあるみたいだけど…。
まあいい、今回の主役は別物だ! 気を取り直して、実食!
しょうが焼弁当の実食
まずはお肉から。勢い余って犬食い。マナー違反ご容赦!
うん! いける! 生涯で一番のしょうが焼! って訳ではないが、お弁当でこんなに柔らかいしょうが焼を食べられるなんて。
冷えた豚肉は、脂が白く冷え固まっているものなんかもあるけど、これはそんなことはない。
冷えていてもおいしい。いや、冷えているからこそおいしい。
脂身の部分はシャキッとした食感を残しているし。
こういう味わいのしょうが焼は初めて食べたかもしれない。
しょうが焼の下には、バランを挟んで玉ねぎを炒めたものが入っていた。
これが食感を残した絶妙な火の通り具合。味も濃いめで、ご飯とのバランスはちょうどだ。
そして…
この、弁当箱右側手前にあるお野菜。高菜とたけのこ、そして鶏そぼろの炒め物らしい。
めちゃくちゃうまい! ご飯に合う! そして、酒の肴にもなる。これをアテに瓶ビールをちびちびやった。
こういう副菜がおいしいところも、崎陽軒のお弁当のいいところだ。
想像以上の出来だった。これから崎陽軒でお弁当を買うとき、シウマイ弁当にするか、しょうが焼弁当にするか、迷っちゃうな。
シウマイ弁当も食べる
せっかく買ってきたので、シウマイ弁当もいってしまおう。
いやー、お弁当2個はキツイかと思ったんだけど、意外とぺろりといけちゃう。
このたけのこの煮たやつ、ほんと変わらないな。じつにうまい。
小梅をいただき…
ご飯を食べて…
完食! しょうが焼弁当は目新しさもあって余計においしく感じたし、シウマイ弁当は安定のおいしさだ。
え、まだ残っているだろうって…
そう、最後はこの干しアンズで締めて、お口もさっぱり。これはシウマイ弁当に入っていた。
しょうが焼弁当はおいしい!
ご当地グルメ全般に言えることだけど、食べて涙を流すほど感動的というものではない。
このしょうが焼弁当も、目から鱗、食べてびっくり、思わず失禁を禁じ得ない、とまではいかない。
どちらかといえば、週一くらいで食べたくなるような、誤解を恐れず言うなら“素朴な”お弁当だ。
だが、こういう素朴さこそが、コンビニや弁当チェーンにはない楽しみではないだろうか。
テレビコマーシャルやブラウザの横に表示されるアドネットワークの広告のように、“極厚肉の〜〜!!”とか“揚げ物爆盛り〜〜!!”とは違う、歴史を感じさせる味に、なんだか頷きながら、これこれ、なんてつぶやいてしまう。
偉そうなことを言ってしまったが、単純においしい。
扱っていない店舗もあるそうだが、是非一度手にとってほしい。
シウマイ弁当だけではない、崎陽軒の懐の深さを感じた。
とりあえず、次に買うのはシウマイ弁当、そしてその次にしょうが焼弁当とローテーションしていくつもりだ。
なんて思いながらHPの商品一覧を見ていたら、一部店舗限定で販売しているホタテと蟹のあんかけチャーハンなるお弁当もあるそう。
食い道楽というものに終わりはない。次回は、お弁当全ての食べ比べでもやってみようか。