神奈川県箱根町の観光資源といえば、温泉、山、芦ノ湖など、さまざま。そんな中、ススキ草原という比較的マイナーな観光地が存在する。
一面に広がるススキの生命力、季節で移り変わるススキの色合い、なかなかに絶景だが、夜はかなり怖え。
通りかかることはあっても実際に体験したことはないので、行ってみることとした。モジカルの工作担当Mr.Iと。
ススキ草原にMr.Iと行く
時刻は18時ごろ。11月では既にとっぷりと日は暮れている。
湯本駅から車で30分ほどで到着。ススキ草原近くには無料駐車場もある。少し歩くが、まあまあの距離だ。
そしてもう1つ。寒い! ススキ草原は仙石原という場所にある。標高高いので寒い。
小田原は15度くらいだったが、仙石原は7度となっていた。
僕はシャツにセーターのみ。Mr.IはMA-1という出で立ちだが、寒いと言っていた。
もちろん、僕は凍えるような思いだ。
駐車場からの道は暗い。街頭ほぼ無しの道を行くのは心許ないと話すと、おもむろに懐中電灯を取り出すMr.I。
さすが…。世界にゾンビが溢れたら行動を共にしたい人間No.1だ、
入り口近辺には街頭やコンビニなどがある。ちょっとほっとする。
電灯、というのは人間の開発した偉大な商品だ。
遊歩道に到着。奧には月がぽっかり出ている。なかなかの景観。
が、ちょっと怖い。歩道の両側には提灯型の電灯が並ぶ。これが絶妙な“黄泉の世界への道”感を演出している。
少し進むとコンビニの灯りと街頭が届かなくなる。ご覧いただきたい、どう考えても稲川●二の世界だ。
提灯風の電灯は黒と白のシックな感じ。ススキモチーフの白抜きデザインがオシャレだが、これがより一層のホラー感を醸し出す。
立て看板の地図を見るとこの遊歩道もとい“黄泉の世界への道”は700メートルあるらしい。
そのうち目で見える電灯エリアは200メートルほど。
あとは月明かりのみという雰囲気のある場所。ちなみに、人気はほぼない。
ススキは山肌一面に広がっていて、グッとくる。
これだけ広大なススキ草原はなかなか見られないだろう。
斜面がうねるようになっているので、視覚的な面白みもある。
しばらく歩くと遊歩道の電気の点灯がなくなる。
画像奧をご覧いただきたい。さすがに怖すぎて最奧まではいけない…。
Mr.Iと顔を見合わせ、あと少しだけ進んで引き返すことにした。
ここから見える飲食店はもの凄くよさげに見える。
しかし、結構遠くにある。心細い。
ついに電灯なしの遊歩道にたどり着く。
懐中電灯の明るさと、カメラの感度を上げているので明るく見えるが…
実際の目視ではこの程度に見える。
民家などは周囲になく、広いススキ草原にはもちろん商店もない。
こええええええ!!
急に足元が悪くなる。スニーカーよりもブーツ向きの悪路だ。
しかし景色はいい。ススキ草原よりも奧にある檜の林とススキのコントラストもなんとも言えない。
デート的な感じであれば、キャッキャッ言いつつ楽しく、そして少しの感動を味わえるだろう。一方こちらは30代男2人である。
懐中電灯とカメラ片手にびくつきながら進む姿は、B級映画の冒頭で死に様も見せず殺害される端役である。
すると…
急にススキ草原から物音が!
人でした。この辺りは撮影ポイントになっているようで、三脚を持った人が2〜3人ほど、ススキ草原内の広場のような場所にいた。
ケツから内臓飛び出すかと思ったわ。
この辺で僕のビビりポイントがMAXに。引き返すことを提案し、同意を得る。
振り返ると、散策路入り口近辺にあったコンビニなどの灯りがとてつもない光源として輝く。
人の住む場所は明るすぎるな。
帰り道、脇に目をやると僕の恐怖などお構いなしに雄大な自然が続く。
街で過ごしていると気づかないが、僕達の営みにはなんの関わりもなく、自然は成長していく。
これらを己の範疇でコントロールしようというのが、そもそも間違いなのかもしれない。
暗く灯りもない、ぽっかりと空いた自然に放り込まれると、安い言葉で言えば雄大さ、に圧倒されてしまう。
ここで散策終了。怖さもあるが、自然に触れるというゾクゾク感もたまらない。
人や街に疲れたときにはオススメできる場所だ(画像右に写るのはMr.I)。
日中のススキ草原にはない大きな魅力を感じた。
足元が悪いので、是非懐中電灯と歩きやすい靴を忘れないでほしい。
あと、防寒はしていった方がいい。僕は次の日風邪を引いた。