生七味はマジでうまいぞ

こんにちは、編集長のじさとしです。

みなさん、お買い物は好きですか。

僕は大好きです。

生来の食いしん坊、もとい現在では食いしんおじさんのため、特に食べ物に関するお買い物が止まりません。

前は方々のお店に出向いてバックパックがパンパンになるほど買い込み、ちょこちょこ食べては「こいつぁうまい」「こいつはまあまあだ」「うまいからもう一回買いに行こう」「ほー、食べたことのない味だ」「これ、○○の△△にそっくりだ」などとチマチマ個人的寸評をしておりました。

ちなみに母の教育の賜物か、はたまた最近のトレンドについていけないのか、昨今ブームの食べ歩きというものにお行儀の壁を感じてしまい。いつも自宅まで持ち帰って食べます。

が、人は老い、身体は日増しに衰えるもの。一日中歩いて買い回ると、次の日もしくは翌々日に足全体が痛む!

昔は筋肉痛だの、歩きすぎ、走りすぎだのの痛みは当日の夜には感じていたのに、なぜ1日程度の待機期間をもって痛みがくるようになったのか。

アラフォー近くなると悩みが増えます。四十不惑ってほんとにあるの・・・。

そんなこんなで最近好きなのは駅地下デパートでのお買い物。

地下食品街では惣菜や加工食品がひしめき、デパート直営のお店では地方の珍しい食品を取り扱っていたり、特に高島屋のお酒売り場では日本酒や焼酎の珍しいものをこれでもかと取りそろえていたりと、1~2時間くらいうろついて過ごせます。

それでも1つの建物の中、もしくは歩いて数分以内に店が集まっているためさすがに足が痛くなることもなく。

昔祖父や祖母がデパートでの買い物が好きで。当時はそれぞれの専門店に行ったほうがいいのに、なんて思いましたが、今にして理由が分かる。

ようやく本題に入ります。デパートの売り場をうろついていると普段入らないお店の商品なども目に入るもの。

いろいろ買うと失敗もままありますが、人にオススメできるものはなにかあるかと問われれば、即答できるものが1つ。

それこそが生七味でございます。

生七味はスープに溶かさず食べる方がうまい

七味をご存知ない方も、そうそういらっしゃらないと思うのですが、江戸時代から日本で使われるいわゆる薬味でして。

薬味の名のとおり従来は薬膳、つまり渡来の漢方の1つとして使用されるような食材を、日本の食味に合わせて使うようになった、というものです。

最近はあまり見かけませんが七味売りの口上なんてものも昔は聞いたことがあります。

うろ覚えのためなんとなくですが「唐辛子はやつふさのほにゃらかでゴマは血圧を下げふんたらかんたら〈カンカンカンと器を叩く音〉、松葉のような美しい青海苔が加わりこれが身体にどうたらこうたら・・・」と、調子よく目の前で調合してくれ、辛み少なめ、とか、陳皮(柑橘類の皮を乾燥させて粉状にしたもの)多め風味豊かめで、なんて、縁日の屋台で祖父がリクエストしていたのを覚えています。

やはり渡来の薬膳食材ですから、乾燥していてふりかけて使用します。

乾燥した薬膳を粉にして服用するのは日本のお得意調理方法で、代表的なものでは抹茶などもそうですね。

今では薄茶という比較的飲みやすい抹茶が多いですが、本来の茶道で扱われる濃茶はそのままの茶葉の姿ではあまりに苦く、口当たりも悪く、服用しにくいため乾燥したものを粉末状に加工して茶筅でよーく泡立てて空気を含ませ、甘い菓子などと合わせて飲む、という式法になっています。

良薬口に苦しの成り立ちが分かります。

そして生七味はその名の通り「生」なので、従来の七味のように乾燥していません。

生七味

こちらが生七味。茅乃舎の商品です。

最初に記しておくと、茅乃舎のお出汁、ほぼ使ったことないです。

お出汁は毎日自分で好みに合わせた食材と分量でとっているので、茅乃舎ファンではないです。あしからず。

さて、こちらの生七味。生というからには乾燥していません。

生七味

しっとりとしている。

乾燥させるとやはり幾分風味が抜けるほか、やはり味が相当感じにくくなりますからね。

味や風味のある水分が口中に広がるというのはそれだけ味覚に大きな影響を及ぼすのでしょう。

あと、生七味はちょっと塩味もあります。

柚子胡椒に似ている。

個人的にはこいつとの相性が抜群です。そう、緑のたぬきです。

こういった老若男女が食べる商品は子供やお年寄りにもやさしい風味で作られているので、もうひとパンチ欲しくなるのですが、普通の七味よりも断然生七味が合います。

お湯、イン。最近は熱湯表示の3分より少しだけ長めに待ちます。天ぷらがぐずぐずになっているのをすすりこむのがいいのよ。

完成〜。

時刻は深夜2時。カップそばが一番うまい時間帯です。

同時に、将来の経済的、また健康的な不安に襲われる時間でもあります。

そういったものを「まあ、いいか、明日のことは明日の自分がなんとかするだろ」と思わせてくれるのが、カップそばの役割でもあります。

この天ぷらを。ぐしゃぐしゃにしてからいただくのが好きです。

ではひとすすり。うんうん、うまいうまい。

そば好きですが、蕎麦屋さんとはまったく別のベクトルで好きです。

生七味

では、生七味の登場です。が、通常の七味のようにふりかけて混ぜ込んですする! よりも、うまいと感じるのが、麺にちょこっとのせて食べる方法。

まずは容器の縁に適量の生七味を。

ちょいと七味をつまみ麺を手繰り・・・。

生七味

そのまますすりこみます・・・。

ズルズル。

うまい! これこれ。生七味の塩味、辛み、風味、そしてうっすらと感じるちょっとだけざらりねっとりな舌触り。

とくに青海苔の水分の風味が鼻に抜けておいしい。

元来の薬膳的なおいしさよりも、ある種ジャンクな味わいがある。

汁に溶かし込んでしまうとこのジャンク感が消えて風味の良さが際立つんですよね。

あまり鋭い塩味や辛みを感じたくない人は溶かしたほうがいいと思いますが、ひとパンチ欲しいぜ、という人にはこちらのほうがおいしく感じると思います。

ちなみに汁を吸ってぐずぐずになった天ぷらとも合う。

これでビール飲める。

あっという間に麺は完食。

この生七味と天ぷらのぐずぐずと汁をつまみに・・・。

ギネスを飲みます。黒ビール、合うなあ。いきおいよく飲んだから最後の一口まで写真撮り忘れました。

ごちそうさまでした。生七味はこういうジャンクなものに合うわ。

ちなみにカップ焼きそばにも合います。普段はUFO派ですが、生七味のときはペヤング派。

たまに食べるペヤングってなぜこんなにうまいのか。

ちなみにまた深夜。

ふたたび生七味。

そしてふたたび健康不安。

ええい! 疑念よされ!

緑のたぬきと同じように、端っこに少しのせ。

生七味

ちょいとつまんで麺と一緒にすする。

うまい! ソースとも合うよ。やはり七味とはいえどこかジャンクみがある。

風味のよい塩味、というのがいいのか。これもお酒のおつまみにいいわ。

お肉や厚揚げにも合う

インスタント食品にもいいですが、もちろん普通のお料理にも合います。

鳥肉にも合うと思うものの、よりクセのあるお肉によく合います。

僕は豚肩肉と食べるのが好きです。

肩肉をかる~く底味をつける程度塩にしてゆで、脂を落としたものにタマネギ、米酢、砂糖、濃口醤油、薄口醤油(塩味を濃口に頼りすぎるとタレの色みが濃くなりすぎてしまうので)、白ワインビネガーを隠し味程度、したタレをかけたのと相性がいい。

では。

うんうん、うまい。豚肩肉はクセが強めなのでお酢やタマネギでクセを旨味にしますが、せっかく酸味が効いているのにタレに塩を加えすぎるとどうしてもミネラル分のトゲが出て、お酢とクセの出す旨味のある丸みが薄くなってしまいます。

が、生七味は丸みを損なわず塩味と香りを加えてくれる。

塩にするときと醤油の分量は通常の半分くらいにするといいです。

あと、非常に個人的な好みですがゴマ油とはあまり相性よく感じません。

あくまで個人的な嗜好だと思いますけれども。

また、生七味が加わる前は一品料理という感じですが、上にのせてパクりといくと急にご飯のおかずになる。

一切れでご飯半分いける。

あとは厚揚げとの相性もいいですね。

年とってから好きになった食べ物の代表格。

醤油ひとたち。

生七味

生七味オン!

完食!

お酒のあてにちょうどいい。

逆に言えばお酒を飲まない人で、かつ一緒に白ご飯もいかないとなるとこの食べ方は少し塩味を強く感じるかも。

生七味

それから、生来のそば好きが影響して自分でもそばを作るのですが、こちらも非常に個人的な好みながらちゃんと厚削りやさば節などでとったお出汁だと、そこまで合わないんですよね。

お出汁の香りを邪魔してしまうというか、塩味も出しゃばりすぎな感じがして。

緑のたぬきとの相性は抜群なのに。

ということで、生七味、オススメです。

特にインスタント系の食品を一段おいしくしてくれる。

また、深夜に冷蔵庫から冷えた生七味と缶ビールを取り出す瞬間。

最高ですぜ。



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大学卒業後に新聞社に入社、その後ビジネス書の制作を得意とする編集プロダクションに転職。フリーでWEBや紙媒体での企画、編集、執筆、撮影などを担当し、現在はモジカル編集長。趣味の料理が高じてレシピ記事なども制作。