ラムの和風焼き
和風焼きという呼び名が正しいのかどうか。
ラム肉といえばタレに漬け込んで野菜と焼くジンギスカンや、香草と混ぜ合わせたパン粉をまぶして焼く香味焼きなど、調理方法が幅広い。
特徴的なのはラム独特のクセを他の食材で打ち消す調理方法。今回は和風調味料で香り高く仕上げる。
ラム肉の下処理
使用するのはラムの骨付きロース。これが切り分けられた状態だと急に高くなる。
ブロック状のが安いのでこちらのがおすすめ。冷蔵、冷凍共に血がしみ出していることが多い。
この血をそのままにしておくと臭みにつながる。きっちりとぬぐい去る必要がある。
キッチンペーパーを用意。2重にしておく。
キッチンペーパーをもう1枚のせ、ギュッと押しつけて血をぬぐい去る。
魚ではやりすぎると旨味が抜けた上に身を押しすぎて食感も悪くなる。
お肉は脂も強ければ身の繊維も強いので、ある程度ぎゅーぎゅーいっても大丈夫。下処理の中では一番大切な作業。
キレイになった。画像中央にある血のかたまりとなっている部分も、あれば取り除く。血は火にかけるとコゲるわニオイは出るわであんまりいいことはない。
切り分け方法
ブロックのままだと食べにくいので、骨に合わせて切り分けていく。
ラムロースを立て、骨の間に包丁を入れる。ラムのアバラは、肉をまな板と並行に寝かせたとしても、斜めになって生えている。
そのためお肉を寝かせて切ると均等に切り分けにくい。身を立てて、上から下まで骨に沿って包丁を引きながら下げると、簡単でキレイに仕上げられる。
そして海塩よりも岩塩の方がするどく脂にまけない。オススメ。
そして白コショウも。コショウはすりたてがいちばん香りがいい。
できるだけホールで購入することをオススメする。電動ミルなら楽にすれる。
ひとたちかけていったら手ですり込んで、常温にしておく。今回は15分ほど置いておいた。
ローストする
強火で熱したフライパンで表面に焼きを入れる。既にオリーブオイルをすり込んでいるのでフライパンに油は引かない。
事前にオリーブオイルをすりこんだのは、油のまわりをよくするため。骨付き肉は骨近辺に火を通しにくい。
そのため、焼きにくいところにも油をすりこんでおくことで熱を通しやすくしてやる。
同じように焼く。両側に焼き目がついたら、中火にして、しみ出した脂で揚げ焼くように火を通していく。
合わせ野菜を調理する
焼いている間に、ラムに合わせる野菜を調理する。まずは玉ねぎを3mm角くらいの粗みじんに。
粗みじんにすることで食感も出る、またひときわ香味の強い野菜である玉ねぎは、大きめに刻むことで口に入れたときにより強く香味を感じるようになる。
そしてまだ火はつけない。そして油も使わない。
うまみのためのお酒と、香り付けのみりんをそれぞれ大さじ3ずつ用意。
まず玉ねぎを焦がさぬよう気をつけながら、強火にしてフライパンを一気にあたためる。
そして玉ねぎがコゲる寸前にお酒をジャッと入れる。
カンカンに熱したフライパンにお酒を入れることで、アルコール分を飛ばしながら少しコゲをつけることができる。
こうすることでよりお肉に合った香りが出るようになる。いわゆる酒炒りに近い。
画像くらいコゲがついたら弱火にしてみりんを加える。みりんを加えてから1分ほど火を通す。
炒める、よりも蒸す感じに近い。調味料を玉ねぎに吸いこませるイメージ。
そして薄口醤油大さじ2を加える。普通のお醤油では色味がつきすぎてしまう。
玉ねぎは他の食材の香りや旨味をふっとばすので、なんにでも使用してしまうというのはオススメできない。
今回のようによほどクセの強い食材と合わせるならいい。
完成
お肉が焼けてきました。現在約10分ほど経過。一番大きなお肉の中央部を菜箸で押して、ある程度グッと弾力があれば火が通っている。
ぷにぷにとしているとまだ生。火が通っていることを確認できれば、最後に強火にして外側がカリッとしたらOK。
焼き上げたお肉は盛りつける前にフライパンからあげて数分放置。余熱で火を通しながら落ち着かせる。
皿にあげると接地面のカリッと感がなくなる。網状になっている、揚げ物用のバットなんかがあればそっちのがいい。
ラムの強いけどさらりとした脂。カリッとした表面の食感に玉ねぎの香味がクセを打ち消してうまい!!
そして注意。玉ねぎは食べる直前にのせること。玉ねぎをのせると汁気をお肉が吸いカリカリの部分がしっとりしてしまう。
サーブして食べる直前にかける。
また、クセを打ち消す、というのが大事。あの独特のクセはラムの旨味なので、クセがまったくないとなると味わいの薄いラムになる。
ときどきクセのないラムを提供してくれるお店があるけれど、あれはあれで満足感がない。
最終的には手づかみでいく。これこそ醍醐味。
こういうのは焼酎お湯割りが合う。