うなぎ屋なんだけど…
小田原駅から徒歩10分くらいだろうか。その昔小田原の繁華街であった場所から、ほんの少し離れた場所にある。
かなり雰囲気のいい店構えで、店内にはBGMなどもない。いわゆる昔ながらのお店。
訳の分からん「キミと僕と会いたくて光の中を一緒に進んでいたら怖くなくて一人じゃないそばにいる」歌が流れているよりも百倍リラックスして食事を楽しめるお店だ。
テーブル席と座敷があり、卓上小物入れに至るまで年季の入ったいい味を出している。
うなぎ屋さんではよくうな重だけを食べる人がいるが、うなぎ屋さんほど一品料理に粋なもののそろっているお店も珍しい。
うなぎを蒸したり焼いたりするのにも手間と時間をかけていらっしゃるので、僕はいつも白焼きを注文してから一杯やる。
そして、柏又はこの一品が、特にとり料理が…抜群にうまい!!!!!!!!!
今日はそんなとり料理をご紹介したい。
とり料理の抜群にうまい柏又
まずは熱燗で意気を上げる。日本盛の小瓶を直接あたためてくれるところも、個人的にはツボだ。
トマトサラダ
一品目はトマトサラダ。このつるりとした見た目がなんともかわいらしい。
そして、とり肉がないじゃないか、とのお言葉は少し待っていただきたい。
まるで赤ちゃんのお尻のようにキズ1つない。これだけでも大変な手間だ。
そして、トマト内部の食感の悪い部分をキレイに取り除き、そこに…
蒸しなのかゆでなのか悩むほどにうまみが強く、食感はやわらかながら歯ごたえはある。絶妙だ。
これに和辛子の和えられたマヨネーズが合う。冷菜なので比較的早くでてくる。1品目にもってこいだ。
モツ焼き
うなぎ屋でモツ? 肝焼きか、と思われるかもしれないが柏又のモツとは、とりモツを指す。肝焼きは肝焼きで別にあるのでご心配なく。
これが件のモツ焼き。年間60店近くモツ焼きを食べに行くだろうか。
地方、都内でもめぼしい店は結構行っていると思うが、いまのところ、トップ3から陥落したことはない。
ハツ、レバー、とり皮が1つの串に刺さっていて、それぞれ1つずつを味わってももちろんおいしい。
しかし、是非、いくつかを同時に口にしてみてほしい。
バラバラでは味わえないおいしさの調和、そして食感のことなるモツの生み出す、こりこりねっとり感、抜群にうまい。
串に刺す順番は決まっているのか、いつ食べても三位一体となった味わいを楽しめる。
そして写真だと分かりにくいがかなり大ぶりだ。お猪口と比較すると分かりやすい。
普通の焼き鳥屋で出てくるものの1.5倍ほどある。
モツは朝仕入れたものだけを使用するようにしているというが、下処理もいいらしく、ちょっとこういうレバーは他では食べられない。
とり焼き
モモや胸などの照り焼きに近いかな。これもまた写真では分からぬほどのボリューム。
この後ご飯ものを頼むなら外しておいたほうがいいだろう。
値段だけ見るとどうしても焼きとり数本程度を想像してしまう。
ご飯もの
さて、普通ならこの辺でうなぎの登場だが、実はまだまだとり料理はある。
玉子丼
ここまでとりをめいっぱい味わっているので、親子丼もあるが、玉子丼がオススメだ。そしてまあ、なんと香りのいい玉子丼か。
出汁の香りと卵のふわりとした食感。そして三つ葉、海苔の香味、味わいが混然一体となり、うまい。
実を言えば僕は軽度の玉子アレルギー。しかし、それを度外視してしまうほどうまい。
キジ丼
さきほどのとり焼きとご飯を合わせたものだが…
最小限の調味で最高の状態へと仕上げる。和食はすばらしい。
そしてぬか漬けなどもまたすばらしい。この前、3年かけて育ててきたぬか床をダメにしてしまった私は分かる。
これは一朝一夕ではできないぬか床で漬けられている。
和食のお店でも、最近ではあまりぬか漬けを出してくれるところは少ない。
手間のかかるものだからだろうか。
合理化を望む一方、少しわびしくもある。
食後のお茶までティーパックでお金をとるお店は、どうかしてるんじゃないだろうかと思うときがある。
柏又には、20年くらい通っている。僕が小学生の頃から好きな店だ。
週末は混むことのある時間帯があり、予約したほうがいい。
本当にいい店は、なかなか知れ渡らない。箱根を除き、小田原にはほかにもうなぎ屋がある。
しかしながら、柏又以外で地元民にうまいと聞いたお店はほぼない。小田原に来たのなら、一度は食べてみてほしい。
テイクアウトもできる
最後にテイクアウトもご紹介しておこう。
うまい店というのは、心配りもまた、おいしい。