トランペットはこんなときに修理に持って行こう

落とした、ぶつけた

楽器が壊れるというとまず思いつくのがこれでしょう。 数年前、公園で練習中にけつまずいて転んだ際にトランペットのベルを思いっきり潰してしまったことがあります。

トランペット 故障

いつもお世話になっている楽器店で修理してもらい、パッと見た感じではわからないレベルまで修復できました。

が、肝心の鳴りに関してはウデのせいなのか楽器のせいなのかよく分からないというのが正直なところです(笑)。

以前知り合いのクラシックプレイヤーに演奏したもらったところ、ちょっとベルが変だねと言われたことがあるのでやはり響きは正常には戻らないのでしょう。

このようなケースは見た目のインパクトは大きいわりには(外見的な意味での)修復は比較的簡単だそうです。

一方、例えばベルの付け根の部分などを破損した場合は修理に使う器具がうまく使えないため、ベルを本体から外す必要が生じます。

そうなると当然ベルを固定しているハンダを外しての作業になるのですが、もし仮に下の画像の赤い丸の部分が凹んだとすると青い丸の部分のハンダを外す必要があります。

トランペット 故障

当然ながらハンダを外す際と、再び取り付ける際にその部分を加熱することになるのですが、この工程によって楽器の鳴りに影響が出てくるとのことです。

そのため、このように管の奥まった部分の修理は大したことのない凹みでも修理するのは一苦労で、後に残る影響も決して小さくはないそうです。

どの程度の変形なら楽器屋へ持ち込むべきか

これは変形してしまった部位にもよるので一概には言うことができません。

ベルの先端部分なら多少変形しても構わずそのまま使っていたりします。下記の映像はテレンス・ブランチャードの演奏。

43分44秒あたりが分かりやすいでしょうか。ペコッとベルの先端がへこんでいます。 ただ単に修理する時間がなかったせいかもしれませんが……。

この状態でも、プロのミュージシャンはライブで使用することもあります。

一方、マウスパイプなどはちょっとした変形でも吹奏感に大きく影響するようです。

基本的にはあまりにも小さな変形は気にしなくてもいいと思いますが、吹いていて少しでも気になるようなら楽器屋さんへ相談してみましょう。

メッキがはげてきた

楽器表面のラッカーやメッキが多少はげるくらいならそのままにしておいて全く構いません。

問題はその部分の腐食がさらに進んでいって、明らかに真鍮の地金の部分がへこんでいっている場合です。

手汗の体質なのでしょうか、人によってはトランペットをだんだんと溶かしていってしまう人がいるようで、残念ながら僕もその1人です。

トランペット 故障

これを放置しておくと当然トランペットに穴が開いてしまいますから、腐食を止める対策を2つ紹介しましょう。

プロテクターや布を使う

トランペットのプロテクターというものが存在します。

トランペット 故障

大切な借り物のマーティンコミッティ用に最近買ったものです。

プロテクターとはその名の通り、トランペットを手汗による腐食からプロテクトするものです。

これは付けっぱなしにするとかえって腐食が進んでしまうとのことですので、着脱容易なベルクロタイプがオススメです。

毎回忘れずに着脱するのを怠らないようにしましょう。

また左手を布で覆い、その上からトランペットを持つというやり方もあります。

ぱっと見た感じはルイアームストロングのようになります。

トランペット 故障

この場合はプロテクターとは異なり、左手が楽器に触れる部分を完全にゼロにすることも可能です。

ただし持った感じはかなり違和感がありますし、特に3番スライドの操作には慣れが必要でしょう。

どちらの場合も楽器本来の振動が若干吸収されてしまうというデメリットもありますが、トランペットを保護するという観点からは最も手軽で有効な手段であると思います。

 

マニキュアのトップコートを塗って修復する

えっ、それはどうなの……という感じですが、僕は知り合いに教わって以来メインのトランペットにはこの対策をしています。

そもそも管楽器で多用されているラッカー仕上げとはラッカー塗料のクリアを塗った仕上げのことで、大雑把に言えばマニキュアのトップコートに近い性質のものです。

少なくともヤマハのラッカー仕上げのトランペット(YTR-8335G)に試したところでは、トップコートの方が弱い性質の溶剤を使っているようで、元から塗ってあるラッカーを侵食することもありませんでした。

仮にラッカーを侵食したとしても特に問題はないでしょうが、念のためビンテージ楽器などには用いない方が良いでしょう。

どんな楽器に行う場合もくれぐれも自己責任で行なってください。

メリットとしては、先に書いた方法より安上がり、楽器の振動をあまり妨げない(気がする)、毎回着脱する必要がない。

一方、デメリットは見た目が悪い、塗るのがちょっと面倒という感じでしょうか。

トップコートは100均で売っているもので十分です。

何ヶ月かするとぺりぺりと剥がれてきますが、気がついた時にまた塗り直してやりましょう。

塗り方は簡単です。

ラッカーやメッキがはげてこのままだと地金が薄くなりそうだという部分に付属のハケでちょんちょんと塗ってやるだけです。

うまくいくコツは以下の通りです。

1.塗る前に汚れをきちんと取り除く

塗りたい部分をクロスで拭いてホコリや汚れを取り除いておきましょう。

2.一度に厚塗りしない

薄く何回かに分けて塗るようにしましょう。

一度にたっぷり塗った方が手間がかからず楽なのですが、厚塗りすると乾かしている途中に垂れてくることがあります。

それがスライド面やバルブセクションに入り込んだりでもしたら非常に面倒です。

また厚ぼったく塗るとその内部まで乾燥するのにやたらと時間がかかることがあります。

僕は薄く2、3回に分けて塗りますが、慣れないうちは「ちょっと薄くて物足りないかな」くらいを目安にしましょう。

3.よく乾燥させる

塗っている間はシンナー臭がするので換気の良い場所で行いましょう。

30分もすれば一応乾きますが、実際に使うまで2時間くらいは置いた方が良いでしょう。

重ね塗りした場合はかなり多めに、半日くらい空けた方が確実です。

中途半端に乾いた状態だとその部分をギュッと握り込んだ時に指紋がついたりします。

僕は塗った当日とその翌日くらいまでそのトランペットは使わないようにします。

 もしスライド面などに付着してしまったらすぐにティッシュなどで拭き取りましょう。

付着に気づかずそのまま固まってしまった場合はうすめ液を使って溶かして拭き取ります。

また上で楽器の振動を妨げないと書きましたが、あくまでも柔らかい素材であるプロテクターなどと比べた場合です。

厚塗りし過ぎれば当然振動を殺す要素になりえるのでくれぐれも薄めからスタートしていくようにしましょう。

ということで最後はトランペットのセルフケア(?)という感じになりましたが、トランペットを溶かしてしまう体質の方はぜひ参考にしてみてください。

そもそも物持ちの悪い僕のことなので凹ませたりパーツを落としたり、挙げ句の果てに溶かしたりはわりとよくやってしまいます。

そもそも楽器は大切に扱えというのが基本ですね……反省。



ABOUTこの記事をかいた人

金村 盡志(かねむら つくし)

1986年生まれ。中学生から吹奏楽を通してトランペットの演奏を始め、高校生からジャズに目覚める。その後、原朋直氏(tp)に約4年間師事し、2010年からニューヨークのThe New Schoolに設立されたThe New School for Jazz and Contemporary Music部門に留学。Jimmy Owens(tp)氏などの指導を受け帰国し、関東近郊を中心に音楽活動を開始。金村盡志トランペット教室でのレッスンを行いながら、精力的に活動を続けている。