プロのジャズドラマーが2019年一番聞いたアルバム

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12月に入り、そろそろ年の瀬も近づいてきましたね。

そんな2019年、個人的によく聴いたアルバムを今回は紹介してみようと思います。

昔のものよりはトレンドものが多いですが、どれも良いアルバムだと思うので、もし聴いてないアルバムがあればぜひチェックしていってください。

Walter Smith III – 「Twio」

ウォルターと言えばオリジナル曲を中心としたものが多く、曲がかなり魅力的でスタイリッシュなアルバムを今まで世に出しています。

ですが、この最新作のアルバムではスタンダード中のスタンダード曲をメインにしたアルバム。どんな演奏をしているんだろうと聴く前から期待を膨らまさせるアルバムを出してきました。

メンバーはハリシュ・ラガバン(bass)とエリック・ハーランド(drums)という鉄壁のリズムセクションでゲストでクリスチャン・マックブライド(bass)とジョシュア・レッドマンが数曲参加していてメンバーだけでも間違いないことが伝わります。

内容としては本当にノーアレンジでセッション感覚なんでどの曲もスッと入ってきます。ですがメンバーの個性が光ってとても洗練されてクリエイティブです。本当にここまでスタンダードが現代的にかつルーツを感じる

演奏をされると清々しいですね。とても聴きやすくいつでも聴きたくなる一枚です。

  • リピート率 ★★★★★
  • 聞き応え  ★★★★☆
  • オススメ度 ★★★★★

James Francies – 「Flight」

この間の記事でも紹介しましたが、最近ブルーノートからアルバムを出したピアノのジェイムス・フランシーズのアルバムです。

最近のコンテンポラリージャズの傾向として、完全アコースティックからシンセサイザーやエレピなど少し電機系の楽器をサウンドとして被せるのが当然になっているように感じます。

それが都会的でスタイリッシュなサウンドを作っているわけなんですが、ジェイムスも上手くアコースティックとエレクトリックな感じを混ぜていてアルバムの雰囲気がとてもいいです。

最初はアコースティックな感じから尻上がり的にヒップホップ系のサウンドに展開できるように曲が組まれていて、アルバムとしてよく作り込まれてますね。

コンテンポラリーにありがちな中だるみする感じもありません。

かなり詰め込まれていてアルバム聴き終わるとお腹いっぱいになりますが充分聞き応えあります。

  • リピート率 ★★★☆☆
  • 聞き応え  ★★★★★
  • オススメ度 ★★★★☆

Louis Cole – 「Time」

ドラマー、コンポーザー、キーボーディスト、ボーカリストでマルチプレイヤーのLouis Coleのアルバムです。見た目はとてもふざけた感じでシュールなところもありますが、70年代や80年代流行った音楽のテイストを現代に昇華したサウンドになっています。

いわゆるスイングジャズではないですが、4曲目のReal Lifeという曲のアドリブパートにはブラッド・メルドーも参加しています。

ノリノリなビートでメルドーのウネウネしたダークなソロがめちゃめちゃかっこいいです。

かっこいい曲だったり綺麗でシリアスな一面をもっている曲だったり、聴かせ方のセンスが高いプレイヤーだと改めて知らされるアルバムでした。

YouTubeでも色々動画を出しているので見たことなければぜひチェック。

  • リピート率 ★★★★☆
  • 聞き応え  ★★★★☆
  • オススメ度 ★★★★☆

Chick Corea – 「Trilogy 2」

チックコリア(piano)、クリスチャン・マックブライド(bass)、ブライアン・ブレイド(drums)のトリオであるTrilogyの第2段のアルバムです。

このTrilogyではスタンダード曲が中心なんですが先ほど紹介したウォルターとも違うクリエイティブさがあります。それぞれプレイヤーの反応スピードが速すぎてもはやアドリブに聞こえないくらいバンド全体の完成度が高いです。

こういうジャズを一度はやりたいと憧れる、半分教科書のように聴いてしまう1枚です。

  • リピート率 ★★★★☆
  • 聞き応え  ★★★★★
  • オススメ度 ★★★★★

Blue Note All Stars – 「Our Point Of View」

最近まで、ブルーノート創立80周年記念のドキュメンタリー映画が公開されていたこともあって、割とコンスタントに聴いているアルバムです。

メンバーはロバート・グラスパー(piano)、アンブローズ・アキンムシレイ(trumpet)、マーカス・ストリックランド(tenor sax)、リオネル・ルエケ(guitar)、デリック・ホッジ(bass)、ケンドリック・スコット(Drums)にゲストでウエイン・ショーター(soprano sax)、ハービー・ハンコック(piano)が参加しています。

ブルーノートオールスターズは今まで何代かに渡ってアルバムが出ていますが、スイングが少なめのアルバムは今回が初めてじゃないでしょうか。

コンセプトとしてはメンバーがそれぞれリーダーとしてブルーノートからアルバムを出しているので、そのメンバーの代表作を1曲ずつ持ち寄って演奏している感じです。

セッション感は強いですがそれぞれの個性が光っていてとても強い音楽力があります。

5曲目のWitch Huntは原曲のミディアムテンポと違って疾走感あるアップテンポスイングがスリリングで聞き応えがあります。

もちろん記念映画も見にいったのですがスタジオでこのアルバムがレコーディングされている映像もありました。

ハービーやウエィンがレコーディングにいたのもあって、思ったよりスタジオ内は緊張感があったんだなとこっちも手に汗握る思いになりました(笑)。

  • リピート率 ★★★★★
  • 聞き応え  ★★★★☆
  • オススメ度 ★★★★☆

CRCK/LCKS – 「Temporary」

この間出たアルバムですが、これをリピートすることが最近はほんとうに多いです。

バンド名はクラックラックスと読むんですが、今をときめく日本のジャズミュージシャンで結成されたバンドです。

ジャンルでくくることはできませんがしっかりジャズを通ってきた人がやるポップスという感じでしょうか。

あまりこういう風にジャンルで縛りたくはないんですが、雰囲気を伝えるためにあえてジャンルというものを使っています。

ポップスという曲の枠組みがしっかりと決まっていますが、その中でメンバーがジャズマンとしての演奏の自由さをしっかり出していて、ジャズを知っている人にもポップスが好きな人にも受けるバンドなんだなと感じます。

このアルバムではよりポップス色が強まっています。

心にグッとくるメロディーだったり、風景が出てくる様な歌詞だったりそれぞれがカッコいいプレイだったり色々盛り込まれてますが、とても聴きやすく聴き終わってももう一度最初からかけたくなる1枚です。

  • リピート率 ★★★★★
  • 聞き応え  ★★★★★
  • オススメ度 ★★★★★

なぜこれらのアルバムをよく聴いたのか

私が今まであげたものは2018年の新譜がほとんどです。

その理由は、新譜ラッシュです。

こんなに出るかというぐらい毎月のようにミュージシャンが新譜を出してくれて追いつかなくなりました。

なので今年もじっくり聴いているものが残ったという感じです。

他にもいいアルバムは沢山ありますが今年よく聴いたと言えば以上のアルバムになるでしょう。

流行の傾向

2019年に限らず、ここ数年でコンテンポラリージャズは変わってきました。

10年前くらいはメロディーやコードが超難解で変拍子なものが多かったイメージですが、今は変拍子であってもメロディーがシンプルでコードの動きや響きがコンテンポラリーな感じのものが多いです。

それとアルバムに限っては1曲の長さが短くなって曲数が増えました。

とても聴きやすくなった分少し物足りない感じもしてしまうのですが、その分アルバムで曲を知ってライヴに行くと絶対に想像を超えた演奏をミュージシャンがしてくれるのでとても楽しいのです。

なのでアルバムで曲の雰囲気やコンセプトを楽しむ。ライヴで熱量のあるプレイ、どこまでもいくソロを楽しむという感じが昔もそうですが今はより強いと思います。

二極化というわけではないですが、アメリカではロバートグラスパーやフライングロータス、カマシワシントンなどのヒップホップが強いブラックミュージック系であったりジェラルドクレイトン、ミゲルゼノン、ベンウェンデルなどのいわゆるアコースティック系のコンテンポラリージャズだったり同じコンテンポラリーでもコンセプトや趣向がかなり別れています。

だからといってミュージシャン同士のへだたりはないでしょうが、発信したいと思うサウンドが違ったりするのでフォローするファンはもしかしたら別れているのかもしれません。

日本ではジャズミュージシャンがヒップホップやポップスの現場でも活動するようなマルチなミュージシャンが増えました。

どうしてもアメリカで流行ったものの流れが日本で流行る傾向はいなめないですが、J-Popとジャズを合わせた ものんくる やCRCK/LCKSなどの日本語歌詞のオリジナルバンドがこれから増えたらもう少し世の中にジャズに興味を持つ人が増えるかもしれませんね。



ABOUTこの記事をかいた人

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野澤宏信 1987年生。福岡県出身。12歳からドラムを始める。2006年洗足学園音楽大学ジャズコースに入学後ドラムを大坂昌彦氏、池長一美氏に師事。在学中には都内、横浜を中心に演奏活動を広げる。 卒業後は拠点をニューヨークに移し、2011年に奨学金を受けニュースクールに入学。NY市内で演奏活動を行う他、Linton Smith QuartetでスイスのBern Jazz Festivalに参加するなどして活動の幅を広げる。 NYではドラムを3年間Kendrick Scott, Carl Allenに師事。アンザンブルをMike Moreno, Danny Grissett, Will Vinson, John Ellis, Doug WeissそしてJohn ColtraneやWayne Shorterを支えたベーシストReggie Workmanのもとで学び2013年にニュースクールを卒業。 ファーストアルバム『Bright Moment Of Life』のレコーディングを行い、Undercurrent Music Labelからリリースする。 2014年ニューヨークの活動を経て東京に活動を移す。現在洗足学園音楽大学の公認インストラクター兼洗足学園付属音楽教室の講師を勤める。