2019年、プロのトランペッターが一番聴いたジャズアルバム

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2019年も終わりに近づいてきましたが、皆さんはどんな年だったでしょうか?

僕個人としてはトランペットの奏法や音楽に関して得られるものが多く、とても充実した年であったと思います。

トランペット教室の方も完全に軌道に乗ったとは言えないまでも、まあどうにかやっていけそうな感触を得ています。

このAOI JAZZでの連載も、1年を経過しているにもかかわらず、未だに連載中止になりそうだという話を聞きません(笑)。

いずれにしろ来年もさまざまな面でブラッシュアップを怠らずに、明るく楽しくそして少しだけ頑張ってやっていこうと目論んでいるところです。

さて、皆さんはこの2019年、どんなジャズアルバムを聴きましたか?

今年どんなアルバムを聴いたかと問われても、必ずしもそれが今年発売された作品とは限らないどころか、何十年も前の名盤だったりするところがジャズの面白さだったりするわけですが、今回は僕にとってのそんな作品をご紹介してみたいと思います。

30年ぶりの共演によって作られたアルバム

2つの作品をご紹介しますが、どちらも同じメンバーにて同時期に収録されたものです。

それは、キース・ジャレットと、惜しくも2014年に亡くなったチャーリー・ヘイデンによる作品。

発売時期は異なるものの、ともに2007年にキースジャレットの自宅スタジオCavelight Studioにて収録されたものです。

Jasmine (2010 ECM)

1.For All We Know
2.Where Can I Go Without You
3.No Moon At All
4.One Day I’ll Fly Away
5.Intro/I’m Gonna Laugh You Right Out of My Life
6.Body And Soul
7.Goodbye
8.Don’t Ever Leave Me

スローテンポのFor All We Knowから始まるこの作品は、全体的にゆっくりとした曲が多く、非常に落ち着いた印象です。

唯一ミディアムアップテンポのNo Moon At Allでも、どこまでも落ち着いたスイングを刻んでいきますが、全体を通してタイトルのジャスミン(=夜に花開き、甘い香りを漂わせる)のように夜に聴くのにぴったりの作品です。

また、ほぼ全曲ジャズスタンダードという選曲ですがOne Day I’ll Fly Awayは少し異色です。

これは僕自身も、この作品のライナーノートを読み直して気付きましたが、この曲についての予備知識なしに聴いているだけだと他のスタンダード曲と全く違和感なく溶け込むような、大変美しいバラード曲です。

Last Dance (2014 ECM)

1.My Old Flame
2.My Ship
3.Round Midnight
4.Dance Of The Infidels
5.It Might As Well Be Spring
6.Everything Happens To Me
7.Where Can I Go Without You
8.Every Time We Say Goodbye
9.Goodbye

こちらもジャスミンと同じくスタンダード曲を中心とした選曲です。

曲調も全体的にゆっくりとしたものが多く、アップテンポのものはDance Of The Infidelsのみです。

変わったところといえば、3曲目のRound Midnightが曲の途中から始まっているのは意外な感じがします。

演奏の途中でトラックを切ったのか、本当にここから演奏しているのか気になるところですが、僕は後者のような気がします。

いずれにしろ些細な問題と言ってしまっては元も子もありませんが…。

Where Can I Go Without YouとGoodbyeはジャスミンでも収録されていますが別テイクです。

曲順にも非常にこだわって作られたという一連の作品の最後の曲がGoodbyeというのもとても感慨深いものがあります。

これはジャスミンにも共通して言えることですが、どちらの作品も音が生っぽいような感じがします。

これもライナーノートをちゃんと読んでみたところによると(普段読み飛ばすので)、音にあまり加工が施されていないようです。

僕は音響に関して詳しい知識がないのであまり多くを語ることはできないのですが、小さな部屋にこの2人の音が充満しているような、なんというか演奏者をとても近くに感じることができる、そんな印象を受けます。

どちらの作品もジャレットとヘイデンのデュオのみでの演奏で、特に変わったアレンジが施されているわけでもありません。

一見すると非常に地味な印象を受ける作品でしょう。

しかしそれでも特にこの2つのアルバムは演奏する楽器(リスナーの方であれば好きな楽器)にかかわらず、音楽を愛する人全てに必ず聴いて欲しいとさえ思う作品です。

この作品によって音楽ってこうだよねと再確認させてくれるような、そんな演奏を聴かせてくれます。

文章を書きながらなんとなく検索してみたら、こんな動画がありました。

どちらのアルバムにも収録されていないHow Deep Is The Oceanです。

そもそもこの2つの作品はチャーリー・ヘイデンのドキュメンタリー”Rambling Boy”の撮影がきっかけとして収録されることになったとのことです。

動画では曲の最後がちょっと変な感じになり、互いに笑いあいそしてハグする姿がこの2人の関係性を物語っているようでもあります。

この2人の共演は少なくとも作品として残されている限りは30年ぶりだとのことですが、そんな2人だからこそ作り上げることのできた奇跡のような作品だと僕は思います。



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1986年生まれ。中学生から吹奏楽を通してトランペットの演奏を始め、高校生からジャズに目覚める。その後、原朋直氏(tp)に約4年間師事し、2010年からニューヨークのThe New Schoolに設立されたThe New School for Jazz and Contemporary Music部門に留学。Jimmy Owens(tp)氏などの指導を受け帰国し、関東近郊を中心に音楽活動を開始。金村盡志トランペット教室でのレッスンを行いながら、精力的に活動を続けている。