「Sonny Clark」ピアノトリオアルバムの醍醐味を味わえる1枚

sonny clark trio

みなさんはピアノトリオといえば何を思い浮かべますか?

ビル・エバンス、オスカー・ピーターソン、キース・ジャレットなどいろいろなピアノトリオを思い浮かべるかもしれませんが、今回はビバップど真ん中、ソニー・クラークのアルバムをピックアップしてご紹介したいと思います。

Sonny Clark「Sonny Clark」(1957)

パーソネル

  • Sonny Clark(Piano)
  • Paul Chambers(Bass)
  • Philly Joe Jones(Drums)

曲名

  1. Be Bop (by Dizzy Gillespie)
  2. I Didn’t Know What Time Is Was (by Richard Rodgers)
  3. Two Bass Hit (by Dizzy Gillespie, John Lewis)
  4. Tadd’s Delight (by Tadd Dameron)
  5. Softly As in a Morning Sunrise (by Oscar Hammerstein)
  6. I’ll Remember April (Gene DePaul)

名曲ぞろいのアルバム

“I Didn’t Know What Time It Was”、”Softly As in a Morning Sunrise”などジャムセッションでやるような有名なスタンダードを収録していて、ジャズを始めて間もない人にもかなり参考になりそうな内容になってます。

だからと言ってスタンダードナンバーを集めたただのセッションアルバムという訳ではなく、曲に少しアレンジを利かせていて、これがジャズ経験者の参考にもなるようなアルバムです。

1曲目の”BeBop”はいきなりのスピード感あふれるスイングで始まります。

この曲の半分以上はソニー・クラーク自身がソロをとっていて、音数で攻める感じやインタープレイをそこまで気にせず我が道をいくソロの感じがビバップらしくて爽快ですね。

“I Didn’t Know What Time It Was”はテーマのメロディにキックをつけていて、ベースとドラムがメロディとシンクロするように一工夫されて軽快なアレンジになっています。

徐々に盛り上がりを見せたところで”Two Bass Hit”でドラムのフィリーにスポットが当たりこのアルバムの見せ場になっています。

ここでのフィリーはスイッチが入ったようにかなりアクティブに叩いているのがわかりますが、待ってましたと言わんばかりの変わりようが音から伝わってきますね。

この曲はマイルスの「Milestones」でもフィリーは演奏しているのでどう叩き分けているか聴き比べると面白そうですね。

“Tadd’s Delight”はタッドダメロンの曲でビバップの要素が詰め込まれたような曲です。タッド・ダメロンはビバップが始まった頃からバリバリやっていたのでソニーは憧れを持っていたのだと思います。

しっかり自分のフレーズにしながら丁寧に弾いているテイクなので、この曲からはタッド・ダメロンへのリスペクトを感じられますね。

“Softly As in a Morning Sunrise”は普段セッションで頻繁に演奏する曲ですね。慣れすぎている人は自分の固定概念で演奏しがちですが、それをハッとさせられるのがこのテイクでしょう。

私はそこまで演奏したいと思わない曲のひとつなんですがこアルバムのソフトリーはカッコいい。。

特にフィリーがピアノソロの途中で倍のテンポで叩いていて本当にいいタイミングで入ってくるので「おー」と声をあげてしまいます。

最後の曲はこれもスタンダードの定番曲の”I’ll Remember April”。

ラテンとスイングを使ったノリのいい曲で知られているのですがこのテイクではまさかのソロピアノ。メロウで明るいサウンドでアルバムの最後をしめくくっています。

このアルバムは名盤と言われるだけあって流れがしっかりしたかなり良いアルバムになっています。

Paul ChambersとPhilly Joe Jonesの鉄壁のバッテリー

ソニークラークが一番目立っているアルバムなのは間違いないのですが、このアルバムを引き立てているのはなんといってもポール・チェンバースとフィリー・ジョー・ジョーンズの存在が大きいでしょう。

アップテンポのスイングでソニーがあそこまで弾き続けられるはこの二人の強力なスイング力があってこそです。スムーズで途切れない推進力が最初から最後まで続くこの2人のコンビネーションは本当に強力です。。

他の曲でもポール・チェンバースのベースラインはソニーの演奏の流れを汲み取ってさりげなくリードしたり、ソニーのフレーズにしっかり応えるようなフィリーのコンピングがバンドの一体感を出しています。

個人的にドラマー目線でいうとフィリーの美味しいドラムソロが3,4曲目で聴けるのがポイントです。

フィリーがノリに乗っている時期なので、ソロにフィリーならではのフレーズがたくさん入っていてついつい参考にしたくなります。

そもそもマイルスバンドで一緒に演奏している2人なのでこのバッテリーは間違いないでしょう。

王道だからこそ

聴いておきたい1枚です。

スタンダード多めだからついつい雰囲気で流し聴きしそうですが、ちゃんと聴けばスタンダードを演奏する上で大事な要素がかなり含まれています。

今はタイムモジュレーションやアンサンブルの反応の仕方が複雑になっていますが、このくらいシンプルでもいいんだなと改めて思わされました。

それに集中して聴いていても30分ちょいでサクッと聴けてしまうので身構えずに気軽に聴けるアルバムなのもいいですね。



ABOUTこの記事をかいた人

野澤宏信 1987年生。福岡県出身。12歳からドラムを始める。2006年洗足学園音楽大学ジャズコースに入学後ドラムを大坂昌彦氏、池長一美氏に師事。在学中には都内、横浜を中心に演奏活動を広げる。 卒業後は拠点をニューヨークに移し、2011年に奨学金を受けニュースクールに入学。NY市内で演奏活動を行う他、Linton Smith QuartetでスイスのBern Jazz Festivalに参加するなどして活動の幅を広げる。 NYではドラムを3年間Kendrick Scott, Carl Allenに師事。アンザンブルをMike Moreno, Danny Grissett, Will Vinson, John Ellis, Doug WeissそしてJohn ColtraneやWayne Shorterを支えたベーシストReggie Workmanのもとで学び2013年にニュースクールを卒業。 ファーストアルバム『Bright Moment Of Life』のレコーディングを行い、Undercurrent Music Labelからリリースする。 2014年ニューヨークの活動を経て東京に活動を移す。現在洗足学園音楽大学の公認インストラクター兼洗足学園付属音楽教室の講師を勤める。