天狗が建立を手伝った!? 大雄山最乗寺の奥の院までは結構キツイ

先だって公開した大雄山最乗寺までの道のり(詳しくはこちらから)。道のりと行っても、車で伺った上に麦とろ定食をガツガツ食ったところまでという、最乗寺感なしで公開。

なんとも締まらない記事でありましたが、今回はちゃんと奥の院まで参詣します。

いや、しかしキツかった。
参道へ
さて、いざ出発。中央に見える参道と、左側に見える橋を渡る参道の、2つの道順があります。

中央に入れば階段、左に入れば緩やかな坂道が続きます。

石橋
石橋は叩いて渡らなくても大丈夫なくらい頑丈。
杉林
どちらの道を選んでも雄大な自然が待っていてくれるので、お好みでどうぞ。


我々は…
階段を行く
階段を行きます。

いざ奥の院を目指す

スタートの時間
参考までに、奥の院までにかかる時間でも計測しておく。時刻は12:31。さあ、いざ鎌倉! ならぬ、いざ大雄山!

参道の階段
まずは総受付のある本堂近くの白雲閣まで。しかしながら、終わりの見えぬ石階段。一見にて、日和る。

余裕のMr.I
同行の“ひともじ”工作記事担当 Mr.I。ひょいひょい進んでいく。余裕の笑顔を浮かべる。

朽ちた杉の大木
それにしても天然木の雄大さが筆舌に尽くしがたい。建設から600年というが、木石といえどこのように大きくなるのは、真に人知の及ばぬ領域だ。霊山、その名前に唸り声もでる。

門
そして突然のように現れる門や石碑などの人工物。

これがまた緻細な細工のされた良い建築物で。歴史を感じると共に神々しさを禁じ得ない。素晴らしい。

まだ続く階段
が、階段は続く…。相変わらず終わりが見えねぇ…。

天然石の碑
表参道の途中途中にある天然石を使った石碑にも、また、古めかしいという言葉の似合わぬたたずまいがある。あえていうなら、武家風に「時代が付いている」とでも言うんだろうか。

全体マップ
しばらく進むと最乗寺全景と記された看板があった。

現在地と記されているのは下半分の右側、杉林が群生しているように描かれている一画だ。

げ! まだ半分も来てねえのかよ!! 帰る! ゲームオブスローンズ見ながらポテチ食う!

奥の院の地図
と駄々をこねたのに、無視して先へと進んでいくMr.I。

ふしょうぶしょうついて行く。初詣からこれじゃあ、今年もいいことねえな、とか、自分でも思う。

水路
それにつけても、細かな部分にも神々しさが宿る。今風に言うならフォトジェニック、ちゃんと日本語を使うなら、荘厳とでも言うのだろうか。

学がないのが災いして、なんとももどかしい気分になる。

終わらない石階段
そして学があるなしに関わらず、続く石階段。既に1回休憩を挟んだ。

瑠璃門
ようやく門構えが見えてきた。

瑠璃門
瑠璃門到着…。既に2つ3つの仏罰があたってもおかしくないほどの悪態をついている。とりあえずお賽銭でも放って許しを請おう。

本堂から奥の院へ向かう

本堂
こちらが本堂。実は駐車場からなら大した距離はない。一度バスなどが停まるエリアまでくだったことにより、歩くこととなった。

さて、僕が本堂辺りでぼけっとしていると、Mr.Iは御朱印帳を買い求めてくるとのこと。

女子力高ぇな…。

御朱印帳
こちらがその御朱印帳。なんと表表紙と裏表紙は木製とのこと。

これはまた御利益のありそうな。

御朱印帳の中
僕は寺社仏閣の類を参拝・参詣するのは好きだけど、御朱印を集めたことはない。

しかし、そんな僕でも分かる。これは達筆。悪筆で、ゲラの文字が読めないと叫ばれる僕から見れば、神々しさすら感じる。

こんな字体で赤字を入れられるならば、遮二無二修正してしまいそうだ。

鐘撞き堂
鐘楼は、お賽銭を入れて参拝者が鳴らしているようだ。先ほどの石階段を登っているときにも聞こえていた。良い音色。

結界門
本堂から少し離れ、奥の院までの道をさらに進む。結界門までやってきました。手前には橋があります。中央の通行止めとなっている部分は御供橋、両側は圓通橋。中央は修行僧の方しか通れません。かながわ橋 100選の1橋でもあるそうだ。

 

最乗寺に伝わる天狗伝説

橋を渡るMr.I
圓通橋を渡る。奧に続く結界門とは、その名の通り奥の院へ続く参道の、結界としての役割があるらしい。

石碑
これより先は、不浄のもの入るをゆるさず、か。とりあえず門前で「うわ〜、入れぬ〜〜〜!!」とか、お決まりのリアクションをする。

気づくと、Mr.Iは既に先の階段を登っていた。周囲のご老人の苦笑は、30歳男性に向けられたものではなかった。

とりあえず、奥の院ではさらに賽銭をはずもうと決意する。

小天狗像
結界門の両脇には天狗像がある。これは、最乗寺に伝わる天狗伝説に由来する。どうやらこんな話であるそう。

大天狗像
さかのぼること600年以上前。最乗寺を建立することを啓示として受けた了庵慧明禅師(りょうあんえみょうぜんじ)。

その話は弟子である後の道了大薩埵(どうりょうだいさった)にも伝わったそうだ。そこで同坊は神通力を持って天狗の姿へと変わり、空を飛んではせ参じたそう。

最乗寺建立にあたっては、建設作業をその天狗の力によってことごとくこなし、完成に寄与したとか。

また、了庵慧明禅師は最乗寺建立の後に遷化(せんげ)されるのだが、その折には、なにやら神々しい装いとなり、白狐の背にまたがり山中へと消えていったらしい。

壮絶である。

まあ、もっと詳しいお話が最乗寺のHPでもご覧いただけるし、最乗寺には紙の資料もある。

僕は不心得者なので、さらりと読んでもよく分かっていないが、とにかく天狗となった道了大薩埵のお力添えによって建てられたので、現在も天狗の像や下駄などが各所に見受けられる、とパンフレットなんかから読み解けた。

お顔を拝見するに、不浄のものは本当に入れなさそうだ。威風堂々のたたずまい。

結界門の印
また、最乗寺の印の入ったものには、ことごとく天狗の扇がかたどられている。

まことに仏罰の類が当たりそうだが、この門構えの色味を見ると、どうも食欲が湧く。

帰りしなに、ふもとの土産屋で売っていた天狗せんべいを買っていこう。

更に奥へ進む

 

石垣
見事な石垣に見守られながら結界門の辺りを抜けると…

杉林
さらに緑が濃くなる。もはや日の光は差し込む程度だ。

再び石階段
そして、出たよ…石階段。Mr.Iは途中途中、僕の方を振り返りながら登っていく。

どうしてあんなに軽快に登れるのか。僕は既に膝と腰に鈍痛がある。

御神殿
登り切ると御神殿がある。

納札所からの煙
納札所近くでお焚き上げでもしているのだろうか。煙がふわりふわりと漂っていた。

グロッキーなのじ
僕は寒さと疲れでグロッキー。しかしながら、奥の院はまだ先だ。

奉納された高下駄
御神殿脇には奉納された高下駄がたくさんある。

巨大な高下駄
こちらは和合下駄というそう。下駄は一対で事をなすことから、夫婦円満の象徴らしい。僕もMr.Iも独身街道まっしぐら。素通りする。

了庵慧明禅師
こちらは、さきほどの了庵慧明禅師の遷化を表した石像だろう。

どうも、師も天狗と化して最乗寺を守護しているらしい。

確かに、これは神々しいお姿だ。

奥の院までの階段

最後の階段
よし、最後の階段だ。これを登れば奥の院!

傾斜のキツイ石階段
今までで一番傾斜キツイ。

振り返る
3分の1くらい進んで振り返る。ここで階段落ちはできないな。

天狗像①
こちらにも…

天狗像②
天狗像があります。見事な造形だ。

最後の石階段
あと少し!

余裕のMr.I
余裕のMr.I。


他の参詣者の方達も肩で息をしている。

奥の院
ついに奥の院へ到着。いやー、筋肉痛になるなこれは。

かかった時間
写真を撮りながらだったので、普通に歩くよりも時間はかかったが、大体50分くらい。机にばかり座っている僕にはかなりの運動となった。

これは登り切った達成感もあり、パワースポットと呼ばれるのも分かる。これまでの悪

行を悔い、念入りに手を合わせ帰路につく。体はぼろぼろだが、なんとも満足げな時間となった。

帰路

帰路
奥の院裏手からは、行きよりもゆるやかな帰路がある。

よたよた歩き①
膝と腰が痛くて…

よたよた歩き②
まっすぐ足を前に出せない。逆ハの字に足を開き…

よたよた歩き③
中腰でしか進めない…。漢30歳。衰えは着実にきている。

疲れ切るのじ
疲れ切って立ち止まる。Mr.Iはなんともないそうだ。鍛え方が違う…。

大雄山最乗寺は、合格祈願を祈る場所や、さまざまな寺院建物がある。ここまで来て分かる。パワースポットという言葉では安い。

次くるときは登山に挑むような準備をしてこよう。

皆さんも、是非登ってみて欲しい。大雄山最乗寺。ここは、今も天狗の息を感じる、霊場だ。



ABOUTこの記事をかいた人

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大学卒業後に新聞社に入社、その後ビジネス書の制作を得意とする編集プロダクションに転職。フリーでWEBや紙媒体での企画、編集、執筆、撮影などを担当し、現在はモジカル編集長。趣味の料理が高じてレシピ記事なども制作。