変拍子はジャズでよく使われる
今回のお題はジャズにおける変拍子について。
多くの場合、変拍子とは一般的によく演奏される3拍子や4拍子ではなく5拍子やそれ以上の拍子のことを指します。
例えば以前の記事で紹介したことのあるTake Fiveなどはジャズにおける変拍子の曲の代表的なものです。
近年ではブラッドメルドーやジョシュアレッドマンらを中心にスタンダード曲を変拍子にアレンジして演奏するのが流行ったりもしました。
ブラッドメルドーのAll The Things You Areは、ジャズファンなら一度は聴いたことがあるという人も多いはず。
僕もたまに練習しますが、ああいった変拍子の曲を自然に演奏するのはなかなか難しく、未だにマスターするには程遠い状態です。
どうでも良い話ですが、長谷工のCMソングは7拍子ですね。
CMソングに7拍子って…、非常に珍しい。確かにインパクトはありますね(笑)。
というわけで、今回は変拍子を用いたジャズの曲と、少し変わったものについてもご紹介したいと思います。
5拍子
伝わりづらいことを承知で個人的な感覚でいうならば、5拍子とは「3拍子の速いやつ」という感じでしょうか。
5つの拍を5そのままで捉えるのではなく、3拍子+2拍子で捉えることが多いので、このような感じになるのだと思います。
そう、変拍子とは、そのままの拍子で数えるだけではなく、分解して捉えることが多いんです。
ほとんどの場合そうでしょう。
今回の3拍子+2拍子で捉える、というのは比較的スタンダードな捉え方です。2+3というものはあまり見かけませんね。
7拍子
こちらも個人的な感覚でいうならば、7つの拍を4拍子+3拍子で捉えるため「4拍子の速いやつ」という感覚です。
普通の曲を変拍子にするだけでも大変なのに、もともと難しい曲を変拍子にアレンジしている例も少なくありません。
演奏者は、きっとひねくれた性格に違いありません!
ちなみに冒頭で紹介したブラッド・メルドーのAll The Things You Areは一般的なキーから半音上げて演奏されています。
ひねくれ具合ここに極まれりです(笑)。
とはいえ、ここら辺まではまあよくあるパターンの変拍子でしょう。本当に恐ろしいのは、ここから…。
9拍子
少し変わったのだとこんなのもあります。
僕の留学していたニューヨークのニュースクールでは、ビリー・ハーパーのアンサンブルのクラスを取っていたのですが、この曲には全く歯が立たず、クラスメイトを思いっきりげんなりさせていたのを思い出します。
今思えば、何で僕以外のみんなはすんなり演奏できていたのか謎です(笑)。
9拍子なら3拍子+3拍子+3拍子で楽勝じゃんと思った、そこのアナタ!
この曲、基本は4拍子+4拍子+1拍子で、1小節だけ(3+2)+4という、もう自分でも何言ってるんだかわからないくらいの恐ろしい曲なんです…。
今聞いても、難しい…。
12拍子
そもそも12拍子を変拍子という括りに入れて良いのかという気もしますが、まあ書いてしまいましょう。
3拍子、4拍子それぞれのフィールでアドリブすることが可能です。
まあ普通の4拍子でも同じことなのですが…。
いずれにしろ3でも4でも割ることのできる12という数字はとても便利な数字です。
アドリブには大分慣れたんだけど8分音符ばかりのソロになってしまう、といった方はこういった曲を練習課題としてみると良いと思います。
個人的には大学生の頃にサークルの顧問の先生に誘っていただいた無茶振りバンドで、この曲をはじめとして数々の難曲に挑まされた思い出があります(笑)。
おまけ、意味不明な拍子
ドン=エリスというトランペットプレイヤーがいますが、この人がもう変態(褒め言葉)なのです。 まずはこちらの音源をお聞きください…。
曲名の33 222 1 222の通り、19拍子の曲です。
ナニイッテルカワカンナイシ、シリタクモナイ、という世界です。
ついでに言うとこの人、拍子だけでは飽き足らず半音のさらに半音を吹き分けることのできるクォータートーントランペットというものをホルトンに依頼して作らせていたりします。
これ、どうせキワモノ的な演奏だろうと思いきや… ものすごくカッコいい演奏なのです。
ドン=エリス、他にもトランペットにエフェクターを使ったり、インド音楽へ傾倒してみたりとなかなか革新的な試みを同時進行で行っていたようです。
というわけで最後には脱線しましたが、今回はさまざまな変拍子の曲をご紹介してみました。
変拍子とは言っても、実際はできる人に言わせれば慣れれば何拍子も同じっていうオチなのですが、これに慣れたうえで4拍子や3拍子の曲を演奏することによって多彩なアイディアを用いることが可能になります。
なんとなく上級者しか手を出せないというイメージがありますが、自由なインプロビゼーションをする上では避けては通れない道です。
臆することなく手を出してみましょう!